健康を維持したり、病気の予防に欠かせない栄養素。そのなかでも、「ビタミンB2」にはどういった働きがあるのかご存じでしょうか?
必要量が足りているからこそ、私たちは当たり前に毎日をすごせるのですが、不足してしまうといくつものデメリットが出てくることに…。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、「ビタミンB2」が不足することでどのようなことが起きるのかと、効率よくとるための食べ方について紹介してもらいます。

「ビタミンB2」の働きとは?
「ビタミンB2」とは、水に溶けやすい性質を持つビタミンの一種です。小腸で吸収されると、肝臓で酵素の働きを助ける補酵素に変えられて全身に作用します。
栄養ドリンクや目薬などにも配合され、多くとると尿の黄色を濃くする成分としても知られています。また、黄色の着色を目的に添加物として使われることも。
そんな「ビタミンB2」の働きは、おもに次のとおり。
・補酵素として糖質・脂質・たんぱく質をエネルギーに変える
・細胞の再生や成長を促進し、皮膚・粘膜・髪・爪などを健康に保つ
・補酵素として抗酸化作用を助け、活性酸素の害から細胞を守る
・角膜の新陳代謝を促し、目の疲れや充血を予防する
このようなことから、「ビタミンB2」は健康的で若々しい体を維持するために欠かせない栄養素となっているのです。
「ビタミンB2」不足になると起きることとは?
そんな「ビタミンB2」が不足すると、さまざまな不調が見られるようになります。
たとえば、舌炎、口内炎、口角炎、口唇炎、脂漏性湿疹など、粘膜や皮膚が荒れることが多いです。また、体や目が疲れやすくなったり、子どもの場合は成長障害につながることも…。
ちなみに、脂漏性湿疹とは皮脂の多い部分(とくに顔や頭皮)が赤くなったり、炎症を起こしたりする症状です。フケのように皮膚がはがれたり、ヒリヒリ感やかゆみを伴ったりすることもあります。
令和5年国民健康・栄養調査におけるデータを見てみると、食品からの「ビタミンB2」の1日の摂取量は、とくに60歳未満の男性に不足していることがわかっています。65歳未満の女性も、推定平均必要量(半数の人が必要量を満たす量)は満たせていますが推奨量(ほとんどの人が必要量を満たす量)には達していないため、不足している可能性があります。
なお、日常的に食事量が少ない、偏食ぎみである、油っこいものや甘いものを多く食べる習慣がある、ストレスが多い、運動量が多い場合には、不足しやすくなったり消費量が多くなったりするため、とくに意識してとるようにしましょう。
「ビタミンB2」を多く含む代表的な食材
ここからは、「ビタミンB2」を多く含む食品についてご紹介します。
・レバー(肝臓)
・ハツ(心臓)
・わらび
・アーモンド
・うなぎ
・モロヘイヤ
・納豆
「ビタミンB2」は、動物性食品、植物性食品のどちらにも幅広く含まれています。
また、あまり一度に多く口にする食品ではありませんが、海藻(とくにのり、岩のり、青のりなど)、乾燥きのこ(まいたけ、しいたけ、きくらげ)、せん茶・抹茶・玉露・紅茶の茶葉、青汁、脱脂粉乳(スキムミルク)、唐辛子、うずらの卵、粉チーズなどにも「ビタミンB2」が豊富です。
ちなみに、「ビタミンB2」は水溶性のため、とりすぎた分は尿として排出されやすく過剰摂取の問題はありません。
効率よく摂取するための食べ方や、おすすめの組み合わせ
「ビタミンB2」は水に溶けやすく、光やアルカリ性に弱い、やや熱に強いという性質を持ちます。そのため、効率よくとりたい場合には、調理時はできるだけ煮汁ごと食べるようにする、日光や蛍光灯に長時間さらさない、新鮮なうちに食べる、長時間煮込んだり高温で揚げないようにするのがおすすめです。
なお、体内にとどまる時間が短いため、一度に多くとるよりも毎食こまめにとることも意識してみましょう。
また、「ビタミンB2」だけでなく、ビタミンB1・ビタミンB6・ナイアシンといったビタミンB群といっしょにとると相乗効果を発揮します。肉、魚、卵、全粒穀物(玄米や胚芽など)には、これらの栄養素を幅広く含むものが多くなっていますよ。
ただし、特定の栄養素のことばかりに目を向けて、基本の食事がおろそかになっては元も子もありません。
主食・主菜・副菜をそろえ、炭水化物・脂質・たんぱく質が偏らないような食事を意識し、そのうえでご紹介した栄養豊富な食品をとり入れるようにしてみてはいかがでしょうか。