体力低下やしびれ、貧血になるリスクも!?じつは怖い「ビタミンB12」不足
2024/06/23
健康を維持したり、病気の予防に欠かせない栄養素。その中でも、「ビタミンB12」にはどういった働きがあるのかご存じでしょうか?
必要量が足りているからこそ、わたしたちは当たり前に毎日を過ごせるのですが、不足してしまうといくつものデメリットが出てくることに……。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、ビタミンB12が不足することでどのようなことが起きるのかと、効率よくとるための食べ方について紹介してもらいます。
ビタミンB12の働きとは?
ビタミンB12とは、水に溶けやすい性質(水溶性)を持つビタミンの一種です。
肉や魚などの動物性食品や海藻類に多く含まれ、植物性食品にはほとんど含まれていないという特徴があります。
そんなビタミンB12の働きは酵素の働きをサポートすること(補酵素)で、おもに次のようなことに関わっています。
・葉酸(ビタミンの一種)とともに正常な赤血球をつくる
・脳神経の機能や発達を正常に保つ
・たんぱく質の代謝を促進する
また、細胞を新しくつくり出すときに関わる働きもあり、全身の健康的な機能を維持するためにも必要不可欠な栄養素となっているのです。
ビタミンB12不足になると起きることとは?
ビタミンB12が不足すると、正常な赤血球がつくられなくなって巨赤芽球性貧血が起こります。
巨赤芽球性貧血とは、一般的に多くみられる鉄欠乏性貧血とは異なり、赤芽球(未熟な赤血球)が異常に大きい状態です。本来であれば赤芽球が成熟して赤血球に変わるのですが、巨赤芽球性貧血の場合は赤血球になれず貧血が起こってしまいます。
すると、動悸、息切れ、疲労感、体力低下、便秘、食欲不振、体重減少といった症状が起こりやすくなります。
また、舌炎、味覚障害、しびれや手足のチクチクする感覚などの神経症状、歩行障害、記憶力や集中力の低下が起こることも……。
令和元年国民健康・栄養調査におけるデータを見てみると、食品からのビタミンB12の1日の摂取量はどの年代でも充足しています。
一般的な食事をしている場合に不足することはありませんが、欠食、偏食、菜食主義などの食事をしている人は注意が必要といえます。
なお、食品に含まれるビタミンB12が体内に吸収されるためには、胃液中の内因子と結合する必要があります。そのため、胃の切除手術を受けたり、加齢に伴う胃液の分泌量の低下、胃の病気がある(萎縮性胃炎、慢性胃炎など)場合には吸収率が低下して不足しやすいので注意しましょう。
ビタミンB12を多く含む代表的な食材
ここからはビタミンB12を多く含む食品について、ご紹介します。
・しじみ
・岩のり
・味付けのり、焼きのり
・かたくちいわし(田作り、煮干し)
・あさり
・すじこ、イクラ
・レバー(牛、豚、鶏)
・青のり
・あおさ
・ハマグリ
・牡蠣
ご覧のとおり、ビタミンB12は動物性食品と海藻類に多く含まれています。また、あまり身近な食品ではありませんが、あゆの内臓、アカガイ、ホッキガイにもビタミンB12が豊富です。
ビタミンB12に関しては、食品からたくさんとった場合に体内で吸収率が調整されるため、とりすぎによる心配はありません。
効率よく摂取するための組み合わせや食べ方
ビタミンB12は、水に溶けやすく加熱に弱い、という性質があります。
少しでも無駄なくとりいれたい場合には、調理した煮汁ごと一緒に食べるようにしたり、長時間かけたり高温で加熱しないようするといいでしょう。
また、ビタミンB12の働きには葉酸も必要です。葉酸はビタミンB12を多く含むレバー、海藻類にも豊富ですが、それ以外は野菜や大豆製品、そのほかの豆類に多く含まれています。
ただし、特定の栄養素のことばかりに目を向けて、基本の食事がおろそかになっては元も子もありません。
主食・主菜・副菜をそろえ、炭水化物・脂質・たんぱく質が偏らないような食事を意識し、その上でご紹介した栄養豊富な食品をとりいれるようにしてみてはいかがでしょうか。