腰痛になったり、肌や血管の老化が進んだりするリスクも!?不足すると怖い栄養素って?
2024/12/14
健康を維持したり、病気の予防に欠かせない栄養素。そのなかでも、「ビタミンE」にはどういった働きがあるのかご存じでしょうか?
必要量が足りているからこそ、私たちは当たり前に毎日をすごせるのですが、不足してしまうといくつものデメリットが出てくることに…。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、「ビタミンE」が不足することでどのようなことが起きるのかと、効率よくとるための食べ方について紹介してもらいます。
「ビタミンE」の働きとは?
「ビタミンE」とは、油に溶けやすい性質(脂溶性)を持つビタミンの一種です。体内に吸収されると、肝臓や脂肪組織などに蓄えられます。
また、食品として利用されるだけではなく、医薬品や飼料としても幅広く使われている栄養素でもあります。
そんな「ビタミンE」の働きは、おもに次のとおり。
・全身の細胞膜に存在し、細胞を酸化から守る
・ホルモンバランスや自律神経などを整え、生殖機能を維持する
・血行を促進する
私たちは、日常生活のなかで呼吸をするだけでも毎日体内で活性酸素が発生しています。その活性酸素には、細胞伝達物質や免疫機能として働く面もありますが、過剰になってしまうと細胞を傷つけ、老化を進め、さまざまな生活習慣病の原因となってしまうのです。
このようなことから、「ビタミンE」が体内で果たす役割はとても大きいと言えるのではないでしょうか。
「ビタミンE」不足になると起きることとは?
そんな「ビタミンE」が不足すると、さまざまな不調が見られるようになります。
たとえば、神経や筋肉の障害によるしびれ、筋力低下、血流が悪くなることによる冷え、頭痛、肩こり、生理痛、腰痛などが起こります。抗酸化力(酸化を抑える働き)が弱まり、紫外線のダメージによるシミやシワが増えることも。さらには、不妊症、月経不順、更年期障害や、赤血球が壊されてしまう溶血性貧血の原因にもなりうるのです。
このほか、血管内のコレステロールの酸化が進むと動脈硬化を起こし、生活習慣病のリスクを高めてしまうことに…。
令和元年国民健康・栄養調査におけるデータを見てみると、食品からの「ビタミンE」の1日の摂取量は、男女ともにどの年代でも充足していることがわかっています。そのため、通常の食生活を送っていれば不足の心配はありません。
ただし、日常的に食事量が少なかったり、極端に油物を避けるなどの偏った食事が続いている場合には、不足したり吸収不良の可能性があるため注意しましょう。
「ビタミンE」を多く含む代表的な食材
ここからは、「ビタミンE」を多く含む食品についてご紹介します。
・ひまわり油
・アーモンド
・とうもろこし油
・なたね油
・マーガリン
・マヨネーズ
・落花生
基本的には、植物油や植物性の油脂を多く含む食品中に「ビタミンE」が豊富です。
また、あまり一度に多く口にする食品ではありませんが、せん茶・抹茶・玉露の茶葉、唐辛子、ドライトマト、あゆの内臓、あん肝、魚卵(すじこ、からすみ、いくら、たらこ)などにも「ビタミンE」は多く含まれていますよ。
なお、「ビタミンE」は脂溶性ですが多くは便として排出されてしまうことから体内に溜まりにくく、通常の食事では過剰摂取の問題はありません。ただし、サプリメントなどで過剰摂取した場合には、出血が止まりにくくなったり骨量を減少させることが指摘されているので注意しましょう。
効率よく摂取するための食べ方や、おすすめの組み合わせ
「ビタミンE」は油に溶けやすいという性質があるため、油脂を含んだ食材を選んだり、油を使った料理に加えることで体への吸収率を高めることが可能です。
ただし、特定の栄養素のことばかりに目を向けて、基本の食事がおろそかになっては元も子もありません。
先述したような「ビタミンE」を多く含む食品ばかりを積極的にとるような生活が続くと、脂質の割合が高くなってしまいエネルギー過剰による肥満の心配も…。それ以外の食品にも「ビタミンE」は幅広く含まれているため、バランスよくさまざまな食品をとることを心がけましょう。
ちなみに、「ビタミンE」の抗酸化作用を期待するのであれば、ビタミンA(β-カロテン)、ビタミンCを同時にとるようにすると相乗効果が期待できますよ。これらの栄養素が豊富に含まれている食品といえば、緑黄色野菜です。
とくに健康を維持するうえでは野菜の適量摂取も欠かせないため、比較的「ビタミンE」が多く含まれるかぼちゃ、モロヘイヤ、ブロッコリー、パプリカ、ほうれん草などの緑黄色野菜も食事のなかに上手にとり入れることをおすすめします。
主食・主菜・副菜をそろえ、炭水化物・脂質・たんぱく質が偏らないような食事を意識し、そのうえでご紹介した栄養豊富な食品をとり入れるようにしてみてはいかがでしょうか。