一般的には、食品のおいしさに関わる品質を保てる期間が「賞味期限」として設定されています。しかし、一部の食品では、味わいの変化以外にも「賞味期限」の設定に影響を与えている要因があるのです。
この記事では、管理栄養士の資格を持つライターのゆかりさんに、意外な賞味期限が設定されている食品とその理由について解説してもらいます。

1. ペットボトル入りの水
ペットボトルに詰められて販売されている水は、ろ過や殺菌を経ているため未開封であれば品質の変化はほとんどないとされています。
ただし、ペットボトルの性質上、わずかに空気を通すため、年月の経過とともに水が蒸発し容量が減ってしまうのです。
このことから、パッケージに表示された容量を保てる期間が「賞味期限」として表示されているのです。
2. レトルトや瓶詰の食品
同じ内容の食品であっても、包装用材の違いによって賞味期限に差が出てしまいます。
たとえば、カレー、スープ、パスタソース、総菜などでは、レトルトパウチや瓶詰の両方の商品を見かけることができます。レトルト食品で1~2年ほど、瓶詰食品であれば6カ月~1年ほどの賞味期限を設定されることが多いようです。
さらに、レトルト食品と呼ばれるものには、アルミ箔を使用した光を遮断するタイプ、プラスティックのフィルムを貼り合わせた透明なタイプがおもにあります。光が当たることで食品の劣化が進みやすくなるため、同じような食品でも透明タイプのほうが賞味期限は短くなる傾向があります。
3. 醤油
醤油は、酸素に触れることで酸化が進みやすい性質があり、開封すると時間の経過とともに色の濃さや風味などに変化が現れます。
しかし、最近では空気に触れるのを抑える工夫をこらした二重構造の容器入りの商品が登場するように。商品によりますが、開封後の賞味期限が従来の1.5~2倍になったものもあります。
また、そもそも密閉性の高いガラス瓶とわずかに空気を通してしまうプラスティック容器の違いでも、醤油の賞味期限に差が生じます。
4. 詰め合わせ商品
いくつかの食品を詰め合わせた商品の場合、それぞれの賞味期限を外側のパッケージに記載する必要はありません。
この場合、詰め合わせた食品のうち一番賞味期限が短いものが表示されることになっているのです。
そのため、実際に外側のパッケージを開けると、食品によってはもっと長い賞味期限である可能性があります。
それぞれの食品に賞味期限が表示されている場合は、それに従って食べる目安にしましょう。
5. 栄養強化食品、機能性表示食品、乳児用食品
食品に含まれる栄養素の量は、保存期間の経過とともに種類によって減ってしまうことがあります。
その中でも、とくにビタミンCやビタミンB群(ビタミンB1、葉酸など)は光・酸素・温度の影響を受けて減りやすい栄養素です。
そのため、食品表示法では、表示されている栄養素の含有量が20%以上減らない期間を賞味期限として設定することが定められています。
具体的には、栄養ドリンク、ビタミン配合ゼリー、乳児用ミルクなどがあります。
まとめ
ご紹介したように、食品そのものの味は変わらなくても、さまざまな理由で賞味期限が設定されている場合があります。また、同じ食品であっても包装用材の違いで大きく賞味期限が異なる食品もつぎつぎに登場しています。
こういったことを知ることで、賞味期限を正しく理解し、フードロス(無駄な食品の廃棄)の削減に役立ててみてくださいね。