多くの食品は、常温よりも冷蔵、冷蔵よりも冷凍のほうが食べられる期限を長く保つことが可能です。
では、実際にどれだけ食べられる期限を延ばすことができるのでしょうか?また、なぜ長持ちさせることができるのでしょうか?
この記事では、管理栄養士のゆかりさんに冷凍で食べられる期限をどこまで延ばせるのかと、その理由について紹介してもらいます。

消費期限と賞味期限とは?
消費期限とは、食品を安全に食べられる期間のこと。基本的に、傷みやすい食品に設定されています。この期限を過ぎると、食中毒の原因菌などが増殖したり油の酸化が進んだりすることで食用に適さなくなってしまうのです。
また、賞味期限とは、食品をおいしく食べられる期間のこと。そのため、賞味期限が過ぎたからといってすぐにその食品が食べられなくなるわけではありません。
なお、これらの期限は食品に記載されている保存方法に従った場合に有効です。それと異なる保存方法(保存温度を守らない、直射日光に当てる、開封するなど)で保存した場合、それよりも食べられる期限が短くなることが多いので注意しましょう。
反対に、冷凍保存することでこれらの期限を延ばせる食品も存在します。
いずれの場合であっても、食べる際には必ず見た目、におい、味、食感などに問題がないことを確認した上で食べるようにしましょう。
冷凍でどこまで期限は延びる?冷凍保存のコツも!
すべての食品が冷凍することで食べられる期限が延びるわけではありません。食品によっては、冷凍によって風味や食感に変化が起こり、表示されている賞味期限内であってもおいしさが損なわれてしまうことも……。
一般的に、冷凍できる食品の場合、食品の種類にもよりますが賞味期限を5~30倍ほどに延ばせるといわれています。
たとえば、調理済みの総菜などは2日ほどの消費期限がついていることがありますが、密閉できる袋などに入れて冷凍することで2週間以上食べられる期限を延ばすことが期待できますよ。
また、肉や魚も消費期限が1日くらいのものもありますが、できるだけ空気に触れないようにラップで包んで密閉袋に入れて急速冷凍することで、1カ月ほどおいしく食べることができるとされています。
冷凍保存で食べられる期限が延びる理由
通常、食品が傷む理由としては、食品中の水分や栄養をもとにして細菌やカビが繁殖してしまうことが挙げられます。そのことにより、食品の見た目が変わったり、味や風味、食感が劣化し、食中毒による体調不良を起こす可能性が高まって食用に適さなくなるのです。
しかし、冷凍することで水分を自由に利用することができなくなり、それら微生物の繁殖を抑えることができるようになります。
そのほかにも、冷凍温度で保存することで、食品中の油などの酸化が進むのを抑えることも可能に。そのため、冷凍用につくられている食品は、より長い期間保存することができるようになっているのです。
冷凍に向かない食品
冷凍すると食品中の水分が膨張し、解凍によってそれが溶けていきます。すると、特定の食品によっては冷凍前後で食感や形状が大きく変わってしまうものがあるのです。
その代表的なものとしては、じゃがいも、豆腐、こんにゃく、卵、牛乳、ヨーグルトです。
なお、つぎの食品は、条件付きで冷凍保存が可能です。
じゃがいもは、なめらかに潰した状態であれば食感が変わりにくく、冷凍に向いているといえます。また、豆腐も水切りをして水分を減らし、崩しておけばあまり気にならずに食べることができますよ。
まとめ
冷凍保存は、向くものと向かないものが存在しますが、食品によっては食べられる期限を30倍ほどに延ばすことも可能です。
密閉したり急速冷凍したりすることで、よりおいしく食べられる期限を長く保つことに役立ちます。また、余分な水分や油分を取り除き、清潔な保存袋や容器を利用することも意識するといいですね。
ただし、消費期限や賞味期限が切れるギリギリで冷凍するよりも、期限内に食べられないと思ったらできるだけ早く冷凍するようにしましょう。
冷凍したからといっていつまでも食べられるわけではありませんが、少しでも期限を延ばすことで食品の無駄を減らし、食費の節約にも役立ちます。ご紹介した内容を参考に、上手に冷凍保存を活用してみてくださいね。