【管理栄養士解説】発酵食品って賞味期限が近いほうがおいしいの?納豆、味噌、キムチなどについて詳しく解説

【管理栄養士解説】発酵食品は「賞味期限ギリギリ」に食べたほうがおいしい?納豆、味噌、キムチなどについて詳しく解説

2025/09/07

発酵食品は、発酵という微生物による反応が起こることによって、おいしさを高めてくれるというメリットがあります。

そんな発酵食品ですが、発酵すればするほどおいしくなるものなのでしょうか?

この記事では、発酵食品の種類、発酵食品がおいしくなる仕組み、賞味期限前後のおいしさの変化について、管理栄養士のゆかりさんに詳しく紹介してもらいます。

サンキュ!STYLEライター。フリーの監理栄養士として、栄養指導、料理教室講師、セミナー講師などでの活動から...

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発酵とは?おもな発酵食品の種類

発酵とは、微生物のはたらきによって食品の一部が化学反応を起こし、うま味が増えたり栄養素が高まったりする現象です。似たようなものに腐敗がありますが、この場合はおいしさが低下したり食中毒のリスクが伴ったりすることがあります。

また、食品を発酵させることにより、保存性を高め、腸内環境の改善・抗酸化作用などの健康効果も期待することができるという特徴も。

発酵を促す微生物には、乳酸菌、納豆菌、酢酸菌、酵母菌、カビなどがあります。これらによってつくられる一般的な食品は、つぎのとおり。

乳酸菌

「キムチ」「漬物(ぬか漬け、しば漬け、麴漬け、酒粕漬けなど)」「ヨーグルト」「チーズ」「ザワークラウト」などの発酵に関わり、糖などを分解して酸味のある乳酸を生み出します。また、「味噌」「醤油」づくりにも関わっています。

納豆菌

「納豆」の発酵に関わり、大豆のタンパク質をアミノ酸に分解して吸収しやすくし、独特のにおいや粘りの元となる成分もつくります。

酢酸菌

「酢」の発酵に関わり、アルコールを酸化させて酸味のある酢酸を生み出します。

酵母菌

「パン」「日本酒」「ワイン」「ビール」などをつくるパン酵母、さらに「日本酒」「みりん」については清酒酵母も関わっています。それ以外の酵母ですが、「醤油」「みりん」づくりにも関わりがあります。これらは、糖を分解してアルコールと炭酸ガスを生み出し、おいしさの元となる香りもつくります。

カビ

「味噌」「醤油」「みりん」「日本酒」「甘酒」などをつくるコウジカビ、「ブルーチーズ」などをつくる青カビ、「カマンベールチーズ」などをつくる白カビ、「かつお節」をつくるカツオブシカビがあります。これらは、かびの種類によってでんぷん、たんぱく質、脂質を分解し、甘み・うま味・特有の風味などを生み出します。

カビというとよいイメージを持たないかもしれませんが、発酵に使われるカビは無害な種類が選ばれているので心配ありません。

発酵食品の体にうれしいメリット

【管理栄養士解説】発酵食品って賞味期限が近いほうがおいしいの?納豆、味噌、キムチなどについて詳しく解説
出典:Adobe Stock ※画像はイメージです

先述した微生物によって、食品のおいしさや栄養価が高まることがわかりました。それに加えて、それぞれの発酵食品には幅広い健康効果が期待できます。

主なものには、「腸内環境を調える」「免疫機能を維持する」「栄養素の吸収を促進する」「抗酸化作用や抗炎症作用がある」といったものがあります。

このような素晴らしい効果があるとはいっても、薬のように即効性があるわけではありません。しかし、継続的に摂取することによってメリットが得られやすくなるといわれています。

また、一種類の発酵食品だけでなく、納豆+キムチ、甘酒+ヨーグルトのように組み合わせて摂ることも、さらに効果を高めてくれることがあるのだとか。好みや食習慣に合わせて、毎日いろいろな発酵食品を食べ合わせてみてはいかがでしょうか。

賞味期限に近いほどおいしくなるの?

一般的な食品は、鮮度がよいほどおいしいイメージがあるかもしれません。

しかし、一部の食品はつくられてからある程度時間が経った方が健康効果を期待できる成分や味わいが増すものも存在するのです。

たとえば、「納豆」です。

納豆は、発酵によって新陳代謝を活性させる働きが期待できるポリアミンという成分がつくられ、ビタミンK、ビタミンB2、葉酸なども増加することがわかっています。ただし、人によっては同時につくられるアンモニアのにおいが強くなり、賞味期限が近い納豆を食べにくいと感じることもあるかもしれません。

また、「キムチ」「漬物」についてはうま味成分が増すことがわかっています。この時、発酵によって乳酸も増えていくため、酸味も強くなる傾向に。地域によっては酸味の強いものが好まれますが、苦手な人は炒める、煮るなどして加熱すると酸味を抑えて食べやすくなります。

ほかにも、「ブルーチーズ」「カマンベールチーズ」、非加熱の「味噌」「醤油」などは、発酵が進むほどうま味、香り、コクが増えて濃厚な味わいに変わっていきます。

まとめ

発酵食品といっても、元となる食品や発酵に関わる微生物など、さまざまな条件が異なっています。それによって、発酵食品ごとにおいしさや保存性が高まり、健康効果が期待できる成分などが生じるのです。

ただし、一概にすべての発酵食品が、発酵するほどおいしくなるとは言えません。一部の食品については、発酵に伴ってうま味、香り、コクの元となる成分が増加することで、つくりたてよりもおいしく感じられるものもあります。

なお、賞味期限とは、食品ごとに正しい保存方法で保管した場合においしく食べられる期限となっています。誤った保存方法であったり、開封後などは、必ずその食品の状態を確認し、異常がないか確認したうえで食べるようにしましょう。

それぞれの発酵食品の特徴を知り、よりおいしいタイミングで味わいの変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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