「アーモンド」を食べすぎるとどうなる?知っておきたいアーモンドのメリット&デメリット
2024/02/04
アーモンドの食べすぎはカラダによくない…とはよく聞く話ですが、なぜ悪いのか理由をご存知でしょうか?
アーモンドに含まれる脂質には、カラダに役に立つ作用を多く持つ反面、とり方を間違えてしまうと体調をくずす危険性もあるのだとか!
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、アーモンドの食べ方によって体にどのような悪影響が及ぶのかと、1日に食べてもいい目安量について紹介してもらいます。
健康増進やダイエットに!アーモンドを食べるメリット
アーモンドとは、アジア西南部原産のサクラの仲間の木に実る食用の種子を指します(正確には、その中の仁と呼ばれる部分)。
アメリカのカリフォルニアが一大産地となっており、ほかにも南ヨーロッパやオーストラリアなどで生産がさかんで、わずかに国内でも生産されています。
アーモンドは特有の風味や甘味、適度な食感が人気で、間食や食事の一部として使われているナッツの一種です。そんなアーモンドの栄養素の半分以上は、脂質で占められています。
脂質というと高カロリーの原因で太るイメージがありますが、三大栄養素のうちの一つでもあり、次のような働きがあります。
・細胞膜、ホルモンなどをつくる材料となる
・皮下脂肪として臓器を保護したり、寒さから体を守る
・脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)などの体内への吸収率を高める
このように、脂質はエネルギー源として使われるだけでなく、生きていくうえで欠かせない栄養素となっているのです。
ちなみに、脂質のなかでもオレイン酸やリノール酸といった不飽和脂肪酸の割合がアーモンドには高く、動脈硬化や血栓を防いだり、血圧を下げたり、LDLコレステロールを減らすなどの働きもあります。
脂質以外では、20%ほどのたんぱく質、10%ほどの食物繊維、そのほかにビタミンE、マグネシウム、銅などが多く含まれています。これらには、おもに次のような働きがあります。
・筋肉をつくる材料になる
・腸内環境を整える
・細胞の酸化を防ぐ
・代謝を円滑にする
・貧血を予防する
このように上手にナッツをとり入れることで、生活習慣病を予防したり、美容に役立てることができるのです。
肌荒れやアレルギーも?アーモンドを食べすぎる「デメリット」
多くのメリットが得られるアーモンドですが、過剰に摂取することによって体質によっては思わぬデメリットが生じることもあります……。
●炎症が起こりやすくなる
アーモンドに含まれているリノール酸は、人の体内でつくり出すことができないため、食事からとり入れる必要のある必須脂肪酸に分類されます。
適量であれば先に挙げたようなメリットを得られるのですが、過剰に摂取した場合は体内で炎症を起こす成分へ変わり、肌荒れやアレルギー反応が起こりやすくなることが指摘されています。そのため、アレルギー体質の人はとくに食べる量に気をつけるといいでしょう。
また、アーモンドといってもさまざまな状態で販売されています。大きく分けると、加工前の「生アーモンド」、加熱してあってそのまま食べられる「炒り(ロースト)アーモンド」があります。
「炒りアーモンド」の場合は植物油などを添加して加熱されていることがあり、その油が加熱時や時間が経って酸化すると、同じく炎症に関わってしまうことも考えられます。
少しでも酸化を避けたい場合は、パッケージなどを確認し、油不使用のものを選ぶといいでしょう。
●便秘や下痢などの不快な症状を招く
腸内環境を整え、便秘解消に役立つイメージのある食物繊維ですが、こちらもとりすぎによって逆効果を生むことに…。
食物繊維は、水に溶けやすい水溶性食物繊維と溶けにくい不溶性食物繊維があります。そのうち、アーモンドには不溶性食物繊維のほうが多く含まれているのです。
不溶性食物繊維は、便のかさを増やして腸に刺激を与える作用がありますが、水溶性食物繊維が不足したり不溶性食物繊維の割合が高すぎてしまうと、便の水分が少なくなって硬くなり便秘や腹痛などの原因となることがあります。
また、豊富に含まれる脂質は消化に時間がかかるため、体調や体質によっては消化不良を起こすことも。すると、下痢や胃もたれなどの症状が現れることもあるのです。
アーモンドを楽しむ量とタイミングは?
上記のとおり、アーモンドに含まれる栄養素にはメリットとデメリットの両方があります。
そこでここからは、日本人の食事摂取基準(2020年版)の数値を参考に、アーモンドを楽しむ量とタイミングについて解説していきます。
●健康な成人は1日にどれくらい食べても大丈夫?
1日の間食の適量(200kcalくらい)を参考に、アーモンドの摂取目安量を算出してみました。
アーモンド1粒あたりを1.2gと換算した場合は、以下のとおりです。
・アーモンド…… 26粒
なお、リノール酸のとりすぎを気にする場合、この量では1日に十分とされる不飽和脂肪酸(n-6系)の目安量の半分しか摂取できないため、心配は少なくなっています。ただし、不飽和脂肪酸を多く含む植物油、ナッツ、油を使った加工食品などをとったり、アーモンド以外にも間食をする場合には、これより少なく見積もる必要が出てくることをお忘れなく。
この目安量は、1日の食事内容によって柔軟に活用することをおすすめします。
●どのタイミングで食べるのがいい?
脂質が多いアーモンドは消化に時間がかかるため、就寝前は避けた方がいいでしょう。消化活動が就寝中に活発になると、睡眠の質を下げる可能性があるからです。
反対に、ぜひ食べてもらいたいタイミングは「食前30分~1時間前」。
このタイミングでアーモンドを食べると、よく噛むことによって満腹中枢が刺激されやすくなり空腹感を和らげることが期待できます。また、食物繊維を多く含むアーモンドを食前に取り入れることによって、食後の血糖値の上昇を抑えることにも役立つでしょう。
なお、食前に食べるのがむずかしい場合は、間食に取り入れるのがおすすめです。砂糖や小麦粉などが使われたスイーツやスナックを食べるよりも、低糖質でたんぱく質や食物繊維を含むアーモンドは太りにくい食品といえるでしょう。
アーモンドを少しでもヘルシーに食べたいのであれば、植物油をつかっていないものに加えて「食塩不使用」のものを選ぶと、食欲が進んで食べすぎてしまうことを防ぐことに役立ちます。
正しい量さえ把握できていれば、アーモンドを食べることで多くのメリットが得られます。アーモンドのメリット・デメッリトを理解し、上手にとり入れていきましょう。