ヨーグルトに含まれる栄養素には、健康によい作用を持つものが多い反面、とり方を間違えてしまうと体調をくずす危険性もあるのだとか!
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、ヨーグルトの食べ方によって体にどのような悪影響が及ぶのかと、1日に食べてもいい量の目安について紹介してもらいます。
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丈夫な体づくりや代謝促進に!ヨーグルトを食べる「メリット」
ヨーグルトは、牛乳に乳酸菌を加えて発酵させた食品のことで、甘味のついていないプレーンタイプ、甘味のある加糖タイプ、果物などが混ざったものなどがあります。スプーンですくって食べるヨーグルト以外にも、液状に加工した飲むヨーグルトも人気です。
また、日本ではあまりなじみがありませんが、やぎ、羊、水牛などの乳を使ってつくられるものも存在します。本記事では、牛乳を使ったプレーンタイプのヨーグルトを中心にご紹介します。
ヨーグルトの乳酸菌は、小腸まで届いて腸内環境を整えたり腸の動きを活発にしたりするなど、体に有益な働きが多く知られています。
なお、ヨーグルトの種類によっては、ビフィズス菌が含まれるものも。ビフィズス菌は大腸まで届くと、腸内環境を整えるだけでなく、血糖値を調整や脂肪の蓄積を抑えるなどの働きも期待することができるのです。
そんなヨーグルトには、おもに次のような栄養素が多く含まれていますよ(※)。
・脂質
・たんぱく質
・カルシウム
・ビタミンB2
・パントテン酸
脂質は、エネルギー源になったり細胞膜やホルモンの材料として使われます。たんぱく質は、筋肉や血液などの組織をつくる材料として使われるほか、代謝や免疫に関わる働きなどもあります。
そのほかの栄養素には、骨や歯を丈夫にしたり、エネルギーをつくり出したり、皮膚・髪・爪などの細胞の再生を助ける、といった作用がありますよ。
このように、ヨーグルトを上手にとり入れることで健康増進だけでなく美容にもよい影響が期待できるでしょう。
※……日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版に収録の「ヨーグルト/全脂無糖」のデータを引用。
冷えや高血糖も?ヨーグルトを食べすぎる「デメリット」
多くのメリットが得られるヨーグルトですが、過剰に摂取したり体質によっては思わぬデメリットが生じることもあります……。
肥満の原因になる
ヨーグルト100gあたりには、エネルギーが56kcal、たんぱく質3.6g、脂質3.0gが含まれています。
これだけ見るとヘルシーな印象を抱くかもしれませんが、だからといって食事代わりにヨーグルトを大量に食べてしまうことは避けましょう。
ヨーグルト以外からの食事が満足にとりづらくなり、栄養バランスが大きく偏ってしまうことになるからです。
また、甘味がついているタイプやヨーグルトにはちみつやジャムなどの甘味を加えると、その分のエネルギーや糖質量が増えてしまいます。体重が気になる場合は、砂糖などが入っていないものを選び、トッピングにも気をつけるようにしましょう。
貧血になったりシミ・シワが増える
先述したように、ヨーグルトを大量に食べてしまうと食事が十分にとれなくなり、栄養が偏ってしまいます。
栄養豊富なイメージのあるヨーグルトですが、鉄・ビタミンD・ビタミンEなどのいくつかの栄養素はほとんど含まれていません。そのため、ヨーグルトが中心の偏った食事を続けていると、特定の栄養素が不足して欠乏症が起きる可能性が……。
たとえば、鉄不足であれば疲れやすさや顔色が悪くなる「鉄欠乏性貧血」、ビタミンD不足はカルシウムの吸収低下を起こして骨が弱くなる「骨軟化症」や「骨粗鬆症」、ビタミンEでは神経・筋肉の障害、シミ・シワが増えるなどの影響があるのです。
おならの増加や下痢などが起こる
日本人の多くは、牛乳や乳製品に含まれている乳糖を分解する体内の酵素が少ない「乳糖不耐」と考えられています。
「乳糖不耐」の場合、乳糖が分解できずに大腸へ運ばれると、腸内細菌によってガスや酸が発生したり浸透圧を高めて水分を引き寄せてしまいます。すると、おならの増加、おなかの張り、腹痛、下痢などが起こってしまうことに……
ちなみにヨーグルトは、乳酸菌によって一部の乳糖が分解され、牛乳よりも乳糖の量が1/3ほど少なくなっています。
そうはいっても、ふだんは問題ない人であっても、一度に大量にヨーグルトを食べてしまうと先述のような症状が現れることがあるため注意しましょう。
ヨーグルトを楽しむ量とタイミングは?
上記のとおり、ヨーグルトに含まれる栄養素にはメリットとデメリットの両方があります。
そこでここからは、安心してヨーグルトを楽しめる量とタイミングについて解説していきます。
健康な成人は1日にどれくらい食べても大丈夫?
エネルギーのとり過ぎという観点で見れば、ヨーグルトを間食としてとる場合は350gまで食べてもよい、と言うことができます。(無糖ヨーグルトの場合、間食の目安:200kcal換算)
ただし、1日の食事のバランスをくずしにくいという点に注目した場合、200gまでが適量となります。
この量は、厚生労働省と農林水産省が示している「食事バランスガイド」が基準となっています。なお、ふつう以上の身体活動量(※)がある男性に限っては、300gまでとっても問題ありません。
もしも、牛乳やチーズなどのほかの乳製品を食べるのであれば、それを差し引いた量がヨーグルトの適量となります。その点を留意して、ヨーグルトを食べる量を調整するようにしましょう。
※……1日中座っている姿勢がほとんどの人は、身体活動量が低いに該当します。ここでは、それ以外の男性を指します。
どのタイミングで食べるのがいい?
ヨーグルトに多く含まれているカルシウムですが、日本人の多くに不足していると言われています。カルシウムを意識するのであれば、体内での吸収が高まる「夜」にヨーグルトを食べるのがおすすめです。
反対に、睡眠の質を高めたい場合には、「朝」に食べるようにしましょう。この理由は、ヨーグルトに含まれているトリプトファンというアミノ酸が15時間くらいかけて、睡眠を促すメラトニンというホルモンに変化するからです。
また、食後の急激な血糖値上昇を抑えるためには食前に食べるのがよい、とも言われていますよ。
こういったことにこだわらずヨーグルトを楽しみたいという人は、デザートや間食として食べる以外にも、ソースやドレッシングなどの材料に使ってみるのも◎。
バランスのよい食事の一部として、活用してはいかがでしょうか?
正しい量を把握できていれば、ヨーグルトはメリットが多い食品です。ヨーグルトのメリット・デメッリトを理解し、上手にとり入れていきましょう。