「アボカド」を食べすぎるとどうなる?知っておきたいアボカドのメリット&デメリット
2024/01/22
アボカドに含まれる栄養素には、健康によい作用を持つものが多い反面、とり方を間違えてしまうと体調をくずす危険性もあるのだとか!
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、アボカドの食べ方によって体にどのような悪影響が及ぶのかと、1日に食べてもいい量の目安について紹介してもらいます。
丈夫な体づくりやアンチエイジングに!アボカドを食べる「メリット」
アボカドは南アメリカが原産とされるクスノキ科の植物の果実で、酸味や甘味はなく、ねっとりとした食感が特徴です。国内では皮がゴツゴツしていて熟すにつれて黒くなる品種が多く見られますが、色が緑色のままのものや1kg以上にもなる大型のものなどさまざまな種類があります。
そんなアボカドには、おもに次のような栄養素が多く含まれています。
・ビタミンE
・ビタミンK
・葉酸
・パントテン酸
・銅
これらには、血管の健康維持や老化を防ぐ、出血を止めたり骨を強くする、正常な細胞をつくる、脂質や糖質をエネルギーに変える、免疫力を高めたり貧血を予防する、などといった働きが期待できますよ。
そのほか、アボカドに多く含まれる栄養素には脂質があります。脂質の中でも、不飽和脂肪酸という種類の割合が高く、その中には健康効果が高いことで知られるオレイン酸、リノール酸や、α(アルファ)リノレン酸などが含まれているのです。
それらの脂質成分に期待できる効果は、おもに次のとおり。
・LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の上昇を抑えて動脈硬化を防ぐ
・血液の流れを改善して血圧を下げる
・抗炎症作用
このように、アボカドを上手にとり入れることで、健康増進だけでなく美容にもよい影響が期待できるでしょう。
肥満やアレルギー症状も?アボカドを食べすぎる「デメリット」
多くのメリットが得られるアボカドですが、過剰に摂取したり体質によっては思わぬデメリットが生じることもあります……。
太る原因になる
全体の20%ほどが脂質で占められることから、「森のバター」という名で呼ばれることもあるアボカド。100gあたりのエネルギーは176kcalも含まれています(※)。
同じ重さのごはんが156kcalであることからも、食べる量によってエネルギーのとりすぎになることがわかるでしょう。
単純に「アボカドを食べる分だけごはんの量を減らせばいいのでは」と考えるかもしれませんが、アボカドがやわらかくペロリと食べてしまいやすいのに対し、ごはんのほうがある程度噛む必要があるため、食べごたえに違いがあるのです。
そのため、アボカドの食べ過ぎを抑えるためにも、低カロリーで食べごたえのあるほかの食材も一緒に取り入れて食事の満足感を増やす必要があるといえるでしょう。
※……一般的なアボカド1個200gあたり、皮と種を除いた重さは140g程度。アボカド100gは、食べられる部分の2/3個分に相当します。
下痢などの不快な症状を招く
アボカドには、先述した栄養素以外に食物繊維も多く含まれています。お腹の調子をととのえるなどの健康に役立つイメージのある食物繊維ですが、とりすぎによってはデメリットが生じることに……。
食物繊維は、性質の違いによって水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられます。アボカドの食物繊維は、7割ほどが不溶性食物繊維です。
この不溶性食物繊維は、便のかさを増やして腸に刺激を与える作用がある一方で、水溶性食物繊維の摂取が少なかったり不溶性食物繊維の割合が多すぎてしまうと、便の水分が減ってしまい硬さが増し便秘や腹痛などの原因になることも。
また、アボカドに多い脂質は消化に時間がかかるため、体調や体質によっては消化不良を起こす可能性もあります。下痢や胃もたれ、腹痛などの症状が現れることもあるため、アボカドを食べる量には注意したほうがいいでしょう。
アレルギー症状が起きる
アボカドには、セロトニンなどの成分(仮性アレルゲン)が含まれています。
これらは薬理活性物質と呼ばれ、体に直接働きかけてさまざまな変化を与えます。適量であれば、リラックス作用などが期待できるのですが、過剰に取り込んでしまうとアレルギーと同じような症状(かゆみやじんましんなど)を引き起こすことが知られています。
これは食物アレルギーとは異なり、アボカドを口にするたびに必ず症状が起こるわけではありません。
体調不良であったり、アレルギー症状がすでにあるときに起こりやすいとされているため、そういった場合はとくにアボカドを食べすぎないようにしましょう。
※……アボカドそのものが食物アレルギーの原因となることもあるため、少量食べただけでも頻繁に体調の変化が見られる場合は、専門家を受診することをおすすめします。
アボカドを楽しむ量とタイミングは?
上記のとおり、アボカドに含まれる栄養素にはメリットとデメリットの両方があります。
そこでここからは、安心してアボカドを楽しめる量とタイミングについて解説していきます。
健康な成人は1日にどれくらい食べても大丈夫?
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、脂質の摂取目標量は1日の推定エネルギー必要量の20~30%とされています。これは18~64歳男性であれば脂質58~87g、同じく女性であれば脂質44~67gがこれに相当することに(※)。
ちなみに、アボカド100gあたりに含まれる脂質は17.5gなので、それだけで男性は1日の20~30%、女性で25~40%ほどの脂質をとってしまうことになるのです。
アボカド100gを食べる場合は、その分だけほかの食事や間食などからの脂質摂取量を控えめにしないと栄養バランスが偏ってしまったり、エネルギーのとりすぎになってしまうことがわかります。
なお、農林水産省では1日の果物摂取推奨量を200g以上としていますが、アボカドの場合はほかの生の果物よりもかなりエネルギーが多いため、同じように当てはめないことをおすすめします(バナナのエネルギーと比較するとほぼ2倍)。
アボカド100gほどであれば食物繊維をとりすぎる心配もないため、脂質やエネルギーのとりすぎを防ぐためにこれくらいを目安にするとよいのではないでしょうか。
※……外出する程度の身体活動レベルふつうの人を対象とし、推定エネルギー必要量は男性で平均2,600kcal、女性で平均2,000kcalとして計算しています。
どのタイミングで食べるのがいい?
エネルギーが多いアボカドは、朝や昼などの時間帯に食べることをおすすめします。
その理由は、夜間よりも日中のほうが活動量が多く、エネルギーとして消費されやすいから。また、脂肪を溜め込む働きをする体内のたんぱく質が夜間にかけて増えやすいことも関係しています。
そのため、太りたくないのであればそのたんぱく質が少なくなる15時くらいまでに食べることをおすすめします。
そのほかにも、夕食や夜食に脂質を多くとることで消化活動に負担がかかり、睡眠の質を下げる可能性があることも考えられるでしょう。
正しい量やタイミングを把握できていれば、アボカドはメリットが多い食品です。メリット・デメッリトを理解し、アボカドを上手にとり入れてみてくださいね。