調理済み枝豆

「枝豆」を食べすぎるとどうなる?安心して食べられる量について管理栄養士が解説

2024/08/30

枝豆に含まれる栄養素には、健康によい作用を持つものが多い反面、とり方を間違えてしまうと体調をくずす危険性もあるのだとか!

管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、枝豆の食べ方によって体にどのような悪影響が及ぶのかと、1日に食べてもいい量の目安について紹介してもらいます。

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとして...

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疲労回復やアンチエイジングに!枝豆を食べる「メリット」

枝豆は大豆が熟す前のやわらかい状態で収穫され、ゆでるなどの加熱をして食べられています。独特のうま味や香りがあり、塩気をきかせてお酒のつまみとしてもよく食べられています。

さやのうぶ毛の色や、豆の薄皮の色によって、青豆(白毛豆)、茶豆、黒豆といった品種に分けられます。一般的には、青豆が枝豆として多く出回っていますよ。

そんな枝豆には、たんぱく質や脂質が多く含まれています。そのほかにも、次のような栄養素も豊富です。

・葉酸
・ビタミンK
・銅
・ビタミンB1
・食物繊維
・ビタミンC

これらには、貧血を防ぐ、丈夫な骨をつくる、正常な免疫機能を保つ、エネルギーをつくり出す、腸内環境を整える、老化や日焼けを防ぐなどといった働きが期待できます。

そのほかに、アミノ酸の一種であるメチオニンも野菜(※)の中では多く含まれています。

メチオニンは、ビタミンB1やビタミンCと一緒に肝臓でアルコールの分解を促し、肝機能の働きを助けてくれる役割があります。それが理由で、お酒のつまみとして枝豆がよく登場すると考えられています。

また、コレステロールを減らたり、免疫力を高める成分に変化することも知られています。薬剤として、肝機能を改善したり、炎症やアレルギーを抑えるために使われることも。

このように、枝豆を上手にとり入れることで健康増進だけでなく美容にもよい影響が期待できるでしょう。

※……栄養分野では完熟した大豆は豆類ですが、未熟な状態で食べられる枝豆は野菜に分類されています。

肥満や高血圧も?枝豆を食べすぎる「デメリット」

ソファに座っている胃痛に苦しむアジアの女性を心配。おなかを抱く女性、腹の痛みや不快感を受けている
Vadym Pastukh/gettyimages

多くのメリットが得られる枝豆ですが、過剰に摂取したり体質によっては思わぬデメリットが生じることもあります……。

腹痛や下痢などの不快な症状を招く

腸内環境を整え、便秘解消に役立つ食物繊維ですが、とりすぎてしまうと逆効果を生むことも……。

食物繊維は、水に溶けやすい水溶性食物繊維と溶けにくい不溶性食物繊維に分けられます。枝豆の食物繊維は、9割ほどが不溶性食物繊維で占められています。

便のかさを増やして腸に刺激を与える作用をもつ不溶性食物繊維。ところが、水溶性食物繊維の摂取が不足していたり不溶性食物繊維の摂取比率が高すぎてしまうと、便の水分が少なくなって硬さが増し、便秘や腹痛などの原因となることがあるのです。

このほかにも、食物繊維自体が消化されにくいという特徴があり、体調や体質によっては消化不良を起こしてしまうことも考えられます。とくに、胃腸が弱い人や暴飲暴食が続いて胃腸に負担をかけている人などは、下痢や胃もたれなどのリスクが高まるため、食べる量には注意してください。

肥満の原因になる

さやを外した枝豆100gあたりのエネルギーは、およそ120kcal(※)です。これは、白米のごはん80gとほぼ同じ数値に相当します。

とりすぎて消費できずに残ったエネルギーは、脂肪などとして体に蓄えられてしまうことに……。

野菜だからといって枝豆を食べすぎてしまうと、ほかの食事を食べる量に影響を与えてしまい、栄養バランスが偏ってしまうことも考えられるでしょう。

そのことによって代謝が低下し、太りやすくなる可能性もあるため、枝豆の食べすぎには注意すべきです。

※……冷凍枝豆の場合、水分量の差があるため同じ100gであっても140kcalを含んでおり、ややエネルギーが多くなります。

血圧が上昇しやすくなる

これは枝豆そのものの影響ではありませんが、枝豆はゆでるなどの加熱時や食べる前に塩を加えられることが多いです。
そういった食べ方をした場合、枝豆とともにその塩分もとりすぎてしまう心配があるでしょう。

枝豆には血圧を下げる働きのあるカリウムも含まれていますが、塩分をとりすぎてしまうとその作用を打ち消してしまいかねません。

そのため、味付けした枝豆の場合、血圧が高めの人はとくに食べ過ぎを避けるようにしましょう。

枝豆を楽しむ量とタイミングは?

ahirao_photo/gettyimages

上記のとおり、枝豆に含まれる栄養素にはメリットとデメリットの両方があります。

そこでここからは、安心して枝豆を楽しめる量とタイミングについて解説していきます。

健康な成人は1日にどれくらい食べても大丈夫?

まずは、1日に必要とされる食物繊維の量から、枝豆の適量について検証してみましょう。

18~64歳における一日あたりの食物繊維の目標量は、男性で21g以上、女性で18g以上と設定されています。

ゆでた枝豆と冷凍枝豆に含まれている食物繊維は、それぞれ100gあたり4.6g、7.3gとなっています。そのため、仮に枝豆だけで男女平均のおよそ20gを満たす量を求めると、ゆでた枝豆はおよそ430g、冷凍枝豆は270gという計算に。これは、さやを含めると860g、540gに相当する量です。

簡単に食べ切れる量ではありませんが、実際にこれだけの量の枝豆を食べたとすると、枝豆で胃が満たされてしまいほかの食品をバランスよく取り入れることは難しくなります。

枝豆だけで1日に必要な食物繊維は補うことができても、枝豆にあまり含まれていない栄養素は十分にとることができなくなってしまい、それによってさまざまな不調を引き起こす可能性が……。そのため、これは現実的な数値としておすすめしかねます。

なお、野菜の適量については、国民の健康増進を目的として定められた「健康日本21(第2次)」の中で、成人1日あたり350g以上が目標と設定されています。そのうち、緑黄色野菜は1/3を占めるのが望ましいとなっており、枝豆は緑黄色野菜には該当しません。

このことから、にんじん、トマト、葉物野菜などの緑黄色野菜を十分に食べられていれば、230gほどの枝豆を食べてもバランスを崩しにくい、ということが言えそうです。

とはいっても、野菜の中では脂質が高めな枝豆。油で炒めた玉ねぎとほぼ同じくらいの脂質が枝豆に含まれていることを考慮すると、1/3くらいに抑えておいたほうが栄養バランスの偏りを防ぐことになるかと筆者は考えます。

枝豆を食べる量は、さやが付いた状態で150gに留めておき、ほかの野菜と一緒に目標量を満たすようにしてみてはいかがでしょうか。

どのタイミングで食べるのがいい?

基本的に、枝豆は好きな時間に食べて構いません。

おすすめするとしたら、間食に食べたり、お酒を飲む前や最中がよいと思います。

理由としては、枝豆にはたんぱく質や食物繊維が含まれるため、それらによって糖やアルコールの吸収をおだやかにする作用などが期待できるからです。

また、食べすぎる傾向のある人は、食事の最初に枝豆をゆっくりとよく噛んで食べることで、満腹中枢を刺激して食べる量を抑えることにも役立ちますよ。

正しい量を把握できていれば枝豆はメリットが多い食品です。枝豆のメリット・デメッリトを理解し、上手にとり入れていきましょう。

参考サイト

 
 

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