ホット肉のローストポーク

「豚肉」といっしょに食べちゃダメな食材はある?意外と知られていないNGな組み合わせ

2023/09/29

「豚肉にはビタミンB1が多い」という話はよく知られています。

ただし、ビタミンB1は組み合わせる食品によって、摂取効率がよくなることもあれば逆効果になることもあるんだとか……。

管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、豚肉がすすめられる理由や豚肉と相性のよくない食品について紹介してもらいます。

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとして...

>>>管理栄養士 ゆかりの記事をもっと見る

ビタミンB1にはどんな働きがある?

ビタミンB1は、糖質からエネルギーをつくり出すときに不可欠な栄養素です。また、神経の働きを正常に保ち、脳や手足の機能の維持にも役立っています。

日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、1日の推奨量は
男性
・18~49歳……1.4mg
・50~74歳……1.3mg
女性
・18~74歳……1.1mg
となっています。

そんなビタミンB1が不足すると、食欲不振、疲労、だるさなどの症状が現れてきます。さらに慢性的に不足状態が続くと、糖質を主なエネルギー源としている脳や神経に障害が起こり、足のむくみ、しびれ、動悸、息切れを伴う脚気(かっけ)と呼ばれる病気になることも……脚気は重症化すると、麻痺や歩行困難、心不全を招きます。

ぬかを取り除いた精白米を主食にするようになった江戸時代から脚気の患者が増えるようになり、明治以降から昭和初期にかけては年間1万人以上がこの病で亡くなったとされています。

現代では当時よりも栄養状態が改善してきていますが。令和元年国民健康・栄養調査におけるビタミンB1の食品からの1日の摂取量は、18歳以上のすべての年代で不足しているため、わたしたちは積極的に摂取すべき状況にあるのです。

これに加え、ビタミンB1は糖質の多い食品(菓子、清涼飲料水、主食など)やアルコールを多量に摂取した時に消費量が増えるため、現代でも脚気にかかる人や死亡する人は存在しています。このような食生活をしている場合は、推奨量以上の摂取を心がける必要があるといえるでしょう。

ビタミンB1を豚肉からとるべき理由は?

白い背景に生のステーキ
chengyuzheng/gettyimages

ビタミンB1を豊富に含む食品には、パン酵母、味噌漬け、米ぬかなどがあり、これらにはいずれも100gあたりに2mg以上ものビタミンB1が含まれています。

ただし、いずれも通常の食生活において50gも食べることが容易でなかったり、塩分のとり過ぎになるため、ビタミンB1の補給源として理想的とはいえません。

そのため一度に安心して量をとりやすい食品で探してみると、100gあたりに1.32mg(※)もビタミンB1を含んでいる豚のヒレ肉にいたるわけです。

ヒレ以外にも、豚のもも、肩、ロースといった部分にもビタミンB1は多く、脂身を除いた赤身ほど含有量は大きくなっています。

豚肉であれば、簡単に1日で100g食べることができ、ヒレ肉であれば50gだけでも1日に必要なビタミンB1の半分ほどを満たすことが可能なのです。

※……大型種肉/生の場合。一般的に販売されているのは大型肉種。中型肉種/生の場合は、1.22mg。中型肉種は黒豚などが該当。

豚肉と相性が悪い食品の組み合わせは?

ビタミンB1の補給源として理想的な豚肉ですが、いっしょに摂取する食べ物によっては吸収率を下げてしまうことも……。

「チアミナーゼ (アノイリナーゼ)」という酵素を体にとり入れてしまうと、ビタミンB1が分解されて働きを失ってしまうことがわかっています。

「チアミナーゼ 」を含む食品
・山菜(主にワラビ、ゼンマイ)
・淡水魚(コイ、フナ、ドジョウなど)
・二枚貝(とくにアサリ、ハマグリ、シジミなど)

ただし、この成分の働きは熱によって弱められるため、十分に加熱をすることで悪影響を抑えることが可能です。山菜はアク抜きの時に熱湯を使用することで問題なく食べることができますが、コイの洗いや二枚貝の刺身を食べる場合、注意が必要といえるでしょう。

あまり豚肉と同時に食べる機会は少ないかもしれませんが、覚えておくといいでしょう。

豚肉を工夫して取り入れてみよう!

runin/gettyimages

ご紹介したように、豚肉と組み合わせるときに注意したほうがよい食品がありました。ただし、食べる頻度や量に気をつけておけば問題なく食べることもできるため、食べ合わせを気にするあまり神経質になってしまっては元も子もないでしょう。

なお、ビタミンB1の吸収率を高めたいのであれば、「アリシン」を含む食品を組み合わせる方法があります。

アリシンは、玉ねぎ、ねぎ、にら、にんにくなどに含まれる強い香りの元となる成分で、ビタミンB1の吸収率を高めるだけでなく体内での効果の持続時間を長くするといった働きも持っているのです。

すり潰したり刻むほどアリシンは増えますが、熱に弱いため生のままがいちばん効率よく取り入れることができます。ただし、油と一緒になることで熱による分解を抑えられることから、煮込み料理に使う場合などは最初に油と炒めて加えるといいでしょう。

豚肉を煮込みやスープに加える場合は、豊富なビタミンB1は水に溶け出してしまうため、汁ごととることもお忘れなく。

ご紹介した内容を参考に、ビタミンB1の補給源として役立つ豚肉を上手に取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考サイト
 
 

PICK UP ピックアップ

TOPICS 人気トピックス

RECOMMEND