甘くてなめらかなくちどけが人気のチョコレート。
抗酸化作用のポリフェノールを多く含むことから、カカオ成分が多いタイプ(ハイカカオ、高カカオ)も人気になっています。
そんなチョコレートですが、とくに貧血や骨粗しょう症の人は食べる量に注意が必要なんだとか⁉
この記事では、管理栄養士の資格を持つライターのゆかりが、チョコレートのメリット&デメリット、適量について紹介します。

チョコレートに含まれる栄養素
おやつなどに食べられるため、嗜好品のイメージがあるチョコレート。ですが、原料には栄養豊富なカカオという木の実の一部が使われています。
そのため、カカオが多く含まれているほど、カカオの栄養素による健康効果を期待することができるのです。
日本食品成分標準表(八訂)増補2023年版によると、つぎのような栄養素が比較的多いことがわかります。
・カリウム
・マグネシウム
・鉄
・亜鉛
・銅
・マンガン
・食物繊維
これらには、血圧を下げる、代謝を促す、貧血を防ぐ、味覚を維持する、動脈硬化を防ぐ、消化吸収を助ける、腸内環境を調えるなどの働きがあります。
食べ過ぎるとどうなる?
健康維持に役立つ栄養素を含んでいるチョコレートですが、たくさん食べてしまうとさまざまなデメリットが起こることも……。
一番知られているのは、カロリーのとり過ぎによる肥満です。チョコレートの種類にもよりますが、1枚(50g)で300kcalちかくのエネルギーが含まれています。
これは、チョコレートにカカオ由来の脂質が多く含まれているためです。
また、カカオ由来の成分に、細胞を酸化から守ってくれるポリフェノールもあります。その中でも、ポリフェノールの一種であるタンニンには、先述のような美容などに役立つ働きを持つ反面、デメリットも……。
それが、鉄やカルシウムなどのミネラルの吸収を抑えてしまうという点です。これにより、たくさんカカオを含んだチョコレートを食べるほど、ミネラル不足になってしまうリスクも起こりやすいと考えられます。
とくに鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血の人、カルシウムの摂取不足や骨粗しょう症の人などは、チョコレートの食べ過ぎに気を付ける必要があるでしょう。
チョコレートを安心して食べる適量とは?
具体的に、チョコレートにどれくらいのタンニンが含まれているかというデータは見当たらなかったため、一般的にチョコレートの適量とされる量をご紹介します。
チョコレートは、各種ミネラルや食物繊維、ポリフェノールなどの健康に大切な成分を多く含みますが、脂質も多くなっています。そのため、間食として取り入れるのであれば、総摂取エネルギーの10%くらい(多くの人で200kcalが目安)が推奨されています。
これは、チョコレート35gほどに相当。板状のチョコレート1枚が50gだとすれば、2/3くらいまでとしておくのがおすすめです。
なお、タンニンの摂取については、鉄分の多い食事から2時間ほど間をあければ影響を抑えられるとも言われています。できるのであれば、食事と一緒ではなく間食などのタイミングに適量を取り入れることで、より安心して楽しむことができるのではないでしょうか。
まとめ
チョコレートの原料であるカカオには、健康増進などに役立つさまざまな成分が含まれています。
ただし、ミネラルの吸収を抑えてしまうカテキンも含まれるため、とくに鉄分やカルシウムなどが不足している人は食べ過ぎには気を付ける必要があります。
チョコレートを安心して楽しむためには、食事量全体のバランスを見ながら200kcalくらいに収まる量に調整してみてくださいね。
■執筆/ゆかり
フリーの監理栄養士として、栄養指導、料理教室講師、セミナー講師などでの活動から得たことや気付きをわかりやすく発信中。栄養バランスの整え方や簡単でおいしいレシピが人気。