疲れやすくなったり、体臭が強くなったりするリスクも!?不足すると怖い栄養素って?

疲れやすくなったり、体臭が強くなったりするリスクも!?不足すると怖い栄養素って?

2025/05/13

健康を維持したり、体を動かしたりするために欠かせない栄養素。そのなかでも、「糖質」にはどういった働きがあるのかご存じでしょうか?

必要量が足りているからこそ、私たちは当たり前に毎日をすごせるのですが、不足してしまうといくつものデメリットが出てくることに…。

管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、「糖質」が不足することでどのようなことが起きるのかと、デメリットを抑えるための食べ方のポイントについて紹介してもらいます。

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとして...

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「糖質」の働きとは?

「糖質」とは、炭水化物から食物繊維を引いたものを指します。そこには、ブドウ糖、果糖などの単糖類、オリゴ糖(少糖類)、でんぷんなどの多糖類、糖アルコールなどが含まれています。

「糖質」はおもにエネルギー源として利用されており、血液中のブドウ糖を一定に保つために筋肉や肝臓中にグリコーゲンという形で貯蔵されています。

それ以外に、「糖質」には次のような役割もあります。

・脳の正常な働きを維持する
・運動時の持久力を高める
・腸内環境を整える善玉菌(ビフィズス菌)を増やす

「糖質」のなかでも、ブドウ糖は脳の主要なエネルギー源となります。十分なエネルギーがあると、脳は集中力、記憶力、思考力、判断力などを維持することができるのです。

また、運動時には大量のエネルギーが消費されますが、貯蔵されていたグリコーゲンが尽きてしまうと筋肉中のタンパク質が分解されてエネルギーに変わっていくことに……。そのため、運動中に適度に糖質を補給すると筋肉の分解が抑えられ、パフォーマンスを維持することにつながります。

一方、糖質のなかでも単糖類が3~10個ほど結びついているオリゴ糖は、消化や吸収されずに腸まで届きます。そこで、酢酸やプロピオン酸といった酸性の物質を生み出すビフィズス菌の餌となり、ビフィズス菌の増殖を助けます。増えたビフィズス菌によって腸内が酸性に傾くと悪玉菌の働きが抑えられ、腸の動きが活発になって便秘や便のにおいを改善することに役立ちます。

このように、「糖質」は全身のあらゆる所でとても重要な役割を果たしているのです。

「糖質」不足になると起きることとは?

そんな「糖質」が不足してしまうと、さまざまな不調が見られるようになります。

たとえば、集中力・記憶力・思考力・判断力の低下、イライラしやすい、疲れやすい、筋肉量の減少、便秘など。このほか、ブドウ糖が必要な脳や神経組織で不足が起こると、意識障害を起こしてしまうことも……。

令和5年国民健康・栄養調査におけるデータを見てみると、食品からの「糖質」を含む炭水化物の1日の摂取量は、成人以上の男女でどの年代もほぼ充足していることがわかっています。
ただし、糖質を意識的に減らす食事を実践している場合(糖質制限食、ローカーボなど)は、「糖質」が不足する可能性が考えられます。

ダイエットや体質改善などの目的のために「糖質」を極端に減らすことは、体調不良を招くだけでなく逆効果ともなり得るので、安易に取り組むのは避けましょう。

「糖質」を多く含む代表的な食材

疲れやすくなったり、体臭が強くなったりするリスクも!?不足すると怖い栄養素って?
出典:Adobe Stock ※画像はイメージです

ここからは、「糖質」を多く含む食品についてご紹介します。

・上白糖、グラニュー糖などの甘味料
・キャンディー、ガム、ラムネなどの甘い菓子
・八つ橋、ボーロ、せんべいなどの水分が少ない和菓子
・ドライフルーツ

基本的には、甘みが強く水分が少ない食品を中心に「糖質」が豊富に含まれています。このほか、米粉や片栗粉などの粉類、くずきり、春雨といったでんぷんを多く含むものにも多くなっていますよ。
また、精製されたものほど高含有量となっており、精白米、精白小麦粉などは、玄米や全粒粉よりも「糖質」の割合が高くなっています。

なお、「糖質」をとり過ぎた場合には、肥満の原因になるため注意が必要です。先述したように、「糖質」がブドウ糖に分解されると筋肉や肝臓に蓄えられますが、その容量には限りがあります。それを超えたブドウ糖は、中性脂肪に変えられ体脂肪として蓄えられてしまうのです。

過剰な体脂肪は、筋肉へのブドウ糖の取り込みを抑えたり、食欲抑制ホルモンの分泌を低下させたり、内臓に多く蓄積することで高血糖・高血圧・脂質異常などの生活習慣病の発生リスクが高くなることが知られています。
このように、「糖質」は不足だけでなくとり過ぎにも注意しましょう。

適正量とおすすめの食べ方

日本人の食事摂取基準(2025年版)によると、脳・神経組織・赤血球などで必要とされる糖質量は少なくても1日に100g以上であると推定されています。また、「糖質」を含めた炭水化物の適正量は、次のように設定されています。

目標量:(男女いずれの年代においても)総摂取エネルギー量の50~65%

たとえば、1日2,000kcalのエネルギーをとる人の場合、2,000×0.5~0.65÷4=250~325となり、糖質量を250~325gの間におさめるのが適切と言えます。(計算式中の4は、糖質1gあたり4kcalのエネルギー量)

運動量が少なく消費エネルギーが小さい人は、これよりも少なくなり、激しい運動や作業を行う人はこれより多くなるように調整するといいですね。

ちなみに、白飯1杯(150g)に含まれる糖質量は53.4g、食パン8枚切り2枚(100g)は42.2gとなっています(※)。
1日3食にこういった主食、主菜となるたんぱく質、野菜・海藻・きのこが入った副菜をそろえ、間食は適量にとどめることで、糖質の過不足を防ぐようにしていきましょう。

※……炭水化物から、AOAC2011.25法の値で食物繊維を引いて算出。

参考サイト

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