設定温度を下げるのは最終手段!?本当に効率的なエアコンの節電テク

2019/08/06

いまや夏の必須家電とも言えるエアコン。電気代を気にして利用を控えるのは熱中症の原因ともなり、命の危険すらあります。しかし、それでも可能な限り電気代は節約したいのが正直なところ。そこで、家電コーディネーターの戸井田園子さんに本当に効率的なエアコンの使い方を教えてもらいました。

設定温度は最後!エアコンの賢い使い方を6つのステップで解説

暑い部屋をとにかく早く冷やしたいときは、とりあえずエアコンの設定温度を最低にして稼働!もちろん風量も最大で! ……とやりたくなりますが、じつはコレ、賢いエアコンの使い方とは言えません。じつはエアコンは目標の温度になるまでは、設定温度に関係なく出せる最も低い温度の風で冷やします。なので、設定温度が28℃でも16℃でも、吹き出す冷風の温度は変わらないのです。

このように、エアコンの運転に関しては意外と勘違いされていることが多め。そこで今回は少しでも早く効率よくエアコンを効かせ、かつ節電になる方法を5つのステップでご紹介します。

ステップ1:エアコンのスイッチをONする前に窓を開けるべし!

外から帰った時や暑くなった部屋に入ると、一刻も早くエアコンのスイッチをONしたくなりますよね。しかし、室内のほうが外より暑いと感じた場合はその欲望を少し耐えて、まずは部屋の窓を開けて換気をしましょう。暑い室内では、空気だけでなく床・壁・天井などの躯体(建物の骨組みにあたる部分)自体が熱されているのです。言うなれば温室のような状態。その状態でエアコンを入れても余計なパワーがかかってしまうので、外気を入れて床・壁・天井の熱を冷ますのが肝心なのです。

部屋をクールダウンする時間は短くてOK。着替えたり汗を流している10分くらいの間に換気をして、室内の空気が入れ換わってからスイッチONが得策です。

ステップ2:エアコンの運転は「自動」が基本

スイッチONをする時も、温度設定を最低にしたり、風量を「強」にするのは間違い。エアコンにも準備時間が必要なのです。エアコンは内部の冷却機がしっかり冷えないと、冷たい空気を送り出せないので、準備が整わない段階で無理やり「強」にしても、生あたたかい風しか送り出せません。

その点「自動」モードは、内部の冷え具合とともに徐々に風量を高めていくなど、冷却機の状況・風向・風量、全て含めてもっとも効率の良い運転をしてくれます。エアコンのことはエアコン自身に任せ、まずは「自動」モードを信用しましょう!

ステップ3:「風量」よりも「風向」を変えて自分に風を当てる

「自動」モードでまだまだ暑い……でも、まだ温度や風量を調整するのはグッと我慢。ルーバーの向きを変えて風を自分に当ててみましょう!冷気は下に溜まるので、冷房の時は通常ルーバーが上向きになっています。そこで、直接風が体に当たるように「風向」を変えてみましょう。風が当たると、体感温度は1~2℃下がると言われます。風向き変更をしても、当然電気代は変わりませんので、節電にもなりますね。


ただし、コレは自分ひとりでエアコンを使っている場合に有効な対策。複数の人が一緒の部屋に居る時は、ルーバーが左右にスイングするモードがおすすめ。ルーバーを動かす電気代がすこーしだけかかりますが、温度を下げるよりは節電になるでしょう。

ステップ4:いよいよ「風量」を変える!

「風向」の変更だけではまだ暑い! と感じたら、ここでようやく「風量」を少しアップ。より多くの風が当たることで、体感温度がさらに下がるはず。ちなみに「風量」はファンのパワーを上げるだけなので消費電力は、コンプレッサーを動かす温度調整よりも少なくて済みます。

ステップ5:最終手段「温度」を下げる!でも、1℃ずつで……

自動運転も、風向きも、風量も調整したけどまだ暑い! ここまできたら、いよいよ「設定温度」を下げる時。しかし、一気に最低温度にするのは冷やし過ぎ&無駄な電力消費になりがち。経産省の発表などでは、設定温度を1℃上げると約10%の節電になると言われます。ということは、1℃下げれば約10%消費電力がアップすると考えられます。

単純に計算すると、仮に安定時に300Wの電力を消費していたら30Wアップしてしまうということに。一気に何度も下げずに1℃ずつ様子をみながら下げましょう。

熱中症にならないためのエアコン利用術

以上、エアコンの効率的な使い方を5つのステップでご紹介しました。しかし、無理して温度を下げずに熱中症になってしまっては身も蓋もありません。熱中症にならないためにも、適切な温度設定を把握しておきましょう。

温度設定のために知っておくべき「WBGT」値

人は、湿度が15%増えると気温が1~2度上昇したように感じると言われています。湿度が高いと汗の蒸発が妨げられ、身体に熱がこもりやすくなるからです。一般的に冷房の推奨設定温度は28℃とされていますが、温度だけを見て判断するのは危険。そこでチェックしておきたいのが、室内での熱中症予防の目安として設けられている「暑さ指数=WBGT」です。

WBGTは気温が低くても湿度が高ければ高い数値を示したり、屋外では日射の影響によって高くなったりと、温度以外の指標も踏まえて熱中症の危険性を示すもの。環境省では夏季のあいだ毎日WBGT値を発表しているので、暑い日にはぜひチェックしておきましょう。

エアコンの場合も「設定温度」=「室温」とは限りません。エアコンの温度センサーがエアコンの周辺を感知している場合、人がいる場所の室温は設定温度より高くなっていることもあるのです。設定温度はあくまで目安。必ず「室温」を意識するようにしてください。

就寝時のエアコン設定はどうする?

就寝時の利用時間を減らすため、寝てから2~3時間後にOFFになるようタイマー設定をする人が多いと聞きます。しかし、朝方に暑くてエアコンを入れ直した経験がある人は多いでしょう。

朝は温度が下がっているのにも関わらず、室内が暑くなるのは、部屋の壁・床・天井自体が、昼間の気温で温まっているため。就寝後2~3時間の冷房では、部屋の壁・床・天井が冷えきらず、エアコンが切れた途端に室温が上がりだしてしまうのです。

なので就寝前に24-25℃で30分くらい部屋を冷やしておくと、躯体がクールダウンされて室温が上がりにくくなります。そして寝るときに28℃にすると、より快適に過ごせます。

朝までエアコンを点けずに過ごせるのであれば節電になりますが、暑くて目が覚めてしまい再びエアコンを入れると、運転開始で多くの電力を使うことに! 気温が30度前後の日であれば、設定温度を28℃くらいにしたままつけておく方が、熱中症予防には得策です。

◆監修・執筆/戸井田 園子
性能・コスト・デザインなどを総合的に判断し、製品選びに役立つ情報を発信する家電コーディネーター。総合情報サイトAll Aboutの家電ガイドを始め、雑誌、テレビ、ラジオなど数多くのメディアで活躍中。

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