「洗濯機」が安く買える時期はいつ?買い時を家電の専門家が解説
2019/09/29
時期によって価格が大きく変動することもある生活家電。家計をやりくりする主婦としては、できれば「いちばん安い」タイミングで買いたいものです。そこで、家電コーディネーターの戸井田園子さんに、家電の種類によって異なる「安く買える時期」を解説してもらいます。今回は「洗濯機(洗濯乾燥機)」が安く買える時期、買い時についてです。
ドラム型・タテ型ともに大容量化進む「洗濯機」
近年の「洗濯機」は、ドラム型・タテ型ともに大容量化、デザイン向上、洗剤自動投入がトレンド。なかでも、大容量のニーズはとくに高まっています。
これまでは「家族人数×1.5kg」が「洗濯機」を選ぶ際の最適容量とされていました。しかし、ビジネスカジュアルの普及によってクリーニングに出す人が減った=家で洗う衣類が増えた、布団や毛布など大物も家で洗える製品が増えた、共働き夫婦やひとり暮らしの増加でまとめ洗いが増えた……などさまざまな理由から、大きな「洗濯機」を必要とする家庭が増えているのです。
また、大手家電メーカー(パナソニック、日立、東芝、シャープ)のほかに、AQUA、LG、Mieleなどの海外メーカー製品も増え、選択肢が増えているのも近年の傾向のひとつ。価格面においては、高性能モデルが増えて全体的に高価格化しており、ドラム型は10万円後半~50万、タテ型は10万円前後~20万後半が相場となっています。
「洗濯機」が安く買える時期はいつ?
「洗濯機」は、ドラム型かタテ型によって新製品の発売時期が異なる二期制。洗濯物が乾きにくくなる冬に向けて需要が高まるドラム型は秋に、汗をかき洗濯物が増える夏に向けて需要が高まるタテ型は夏前に新製品が発売されます。容量(kg)展開も含めれば、1メーカーが1年間に発売する「洗濯機」のラインアップは(ドラム・タテ合わせて)10機種程度。例年、すべてのラインアップが同時に発売される傾向にあります。
また、大型家電の洗濯乾燥機はボーナス時期に購入する人が多いため、遅くともボーナス商戦となる11~12月(冬のボーナス)、6月(夏のボーナス)には、各社の新製品がすべて出そろうのが一般的。
そして、新製品が発売になるタイミングで前年度モデルの価格が底値になります。つまり、前年度モデルに限れば、ドラム型は11月ごろ、タテ型は6月ごろが「洗濯機」の底値。ただし、これはあくまでハイエンドモデルの話で、ミドルクラス以下のモデルは、メーカーによって発売時期がかなり異なるので、発売時期はよく確認してください。
「前年度モデルって要するに古いわけでしょ……」と思う人もいるでしょう。しかし、「洗濯機」は年に1度新製品が出るので、フルモデルチェンジでない限り、基本的な性能に大きな差はありません。
もし、機能面に魅力を感じてどうしても最新モデルが欲しいのであれば、新製品発売から数カ月後がおすすめ。目安としては、ドラム型は1月くらい・タテ型は7月くらいに、発売当初より20%~30%くらい安くなる傾向があるので、その時期に買うのがベターです。
「洗濯機」の買い替えタイミングを見極める方法は?
「洗濯機」は、家庭環境によって使う回数が大きく異なる家電で、製品寿命も違ってくるので、見極めが肝心です。
「洗濯機」が壊れる兆候のひとつは、モーター部まわり。高速回転する「脱水」はモーターに一番負荷がかかるので、そのときに不具合が現れやすいです。具体的には脱水が甘くなってきた、回転時に異音や異臭がする症状は、モーターが劣化している証拠。また、運転時の揺れが激しくなるのは、洗濯槽を支える部材が劣化している可能性もあります。
ちなみに「洗濯機」のモーターは4,000回稼働が寿命の目安とも言わており、1日1回の洗濯なら10年で3,650回稼働となります。1日何回洗濯するかで、おおよその寿命の目安の参考として考えてみましょう。
「洗濯機」を買い替える際にチェックすべきポイント
いよいよ買い替えとなった場合は、以下のポイントを押さえて商品を選びましょう。
ポイント1:「洗濯機」のタイプを決める
洗濯乾燥機
読んで字のごとく「洗濯機」と「乾燥機」が合体したもの。衣類を完全に乾燥させることができるタイプ。洗濯から乾燥まで一気に済ませたい人はこちら。
乾燥方式に「ヒートポンプ」など省電力タイプと「ヒーター乾燥」があり、電気代にかなり差があるので、使用頻度が高い場合は省電力イブがおすすめ。ただし、タテ型はヒーター乾燥のみです。
全自動洗濯機(簡易乾燥付き)
全自動洗濯機に「風乾燥」が搭載されているタイプ。ヒーターを使わずに風を利用し、高速脱水でより乾燥した状態にしているものが主流。完全乾燥ではなく生乾きの仕上がりです。室内干しのときより乾きやすい状態にできたり、化学繊維のものを少量だけ乾かすことが可能。近年は、風乾燥が非搭載の商品は少なくなっています。
ドラム型・タテ型どっちにする?
「洗濯機」のタイプを選ぶ際、もっとも悩むポイントがココ。それぞれに得意・不得意があります。
【ドラム型】
ドラムが回転し、洗濯物を持ち上げては落下させて洗う“たたき洗い”の方式。洗剤が泡立ちにくい硬水地域で広く普及しているスタイルです。衣類を上から落とす仕組み上空気に触れやすいため乾燥が得意で、乾燥機能が一体化した「洗濯乾燥機」の登場で一気に普及しました。「洗濯機」で乾燥までしっかりしたい人はドラム型がおすすめ。
【タテ型】
タテ型の水槽に水を貯めて、洗濯槽底のパルセーターを回転させることで、うずまき状の水流を発生させて洗濯する方式。軟水で洗剤がよく泡立つ日本には適している方式。たくさんの水で洗剤を泡立てて、頑固な汚れや臭いもしっかり落としてくれます。しかし、衣類が遠心力で洗濯槽に張り付いてしまうので、乾燥はやや苦手。洗濯メインで使う人におすすめ。
タテ型 ドラム型
洗浄能力 ◎ ○
洗濯時間 ◎ ○
乾燥能力 ○ ◎
乾燥時間 ○ ◎
衣類の傷み ○ ◎
節電(※) △ ○
節水 △ ○
※乾燥時にかかる電気代の差。ドラム型はヒートポンプなど省電力タイプがあるが、タテ型はヒーターのみなので電気代はタテ型の方が2倍くらい高めになる。
ポイント2:必要な容量を選ぶ
前述したとおり、「洗濯機」の容量の計算式は「1.5kg×家族人数」が目安と言われていましたが、近年は大容量化がすすみ9~11kgサイズが主流で、最大12kgまで登場しています。
日常の洗濯物だけではなく、毛布や肌がけ布団など、最近は大物も家庭で洗う人が増えているので、大は小を兼ねると考える人も少なくありません。ご自身の洗濯物に最大どれくらいのものがあるかで、考えるといいでしょう。
ポイント3:設置スペースなど「サイズ」を検討する
容量の目安がついたら、次は「サイズ」を確認しましょう。
1:設置スペースの最大寸法(幅・奥行き・高さ)
「洗濯機」の寸法のほか、「洗濯機」の扉が開閉したときの必要寸法や、水道の蛇口がぶつからないか?コンセントの高さ、防水パンの大きさなと、周囲との納まりも忘れずに!カタログに掲載の詳細寸法図があるので、必ず確認しましょう。
2:使う人とのバランス
洗濯槽の底まできちんと手が届くか?扉を開けて、洗濯物の出し入れをするときに、つらい姿勢にならないか?など、実際に使うシーンを想定しながらチェックしましょう。
3:搬入経路の確認
洗濯乾燥機になると80kgを超える製品もあるので、男性ふたりでの搬入になります。洗面所の扉は幅が狭いことがあるので、要注意。心配な場合は、販売店で設置の可否を下見してもらうサービスもあるので利用しましょう。
ポイント4:必要な機能を見極める
洗濯コースは各社大きな差はありませんが、独自のコースが搭載されている場合は要確認。最近のトレンドとしては、以下のようなものがあります。
・温水洗浄:衣替えなど長期間仕舞う前に有効。高い温度でダニを落とすコースもあり。
・洗剤自動投入:洗剤と柔軟剤を自動で適量入れてくれる機能。
・IoT対応:アプリによる遠隔操作や、洗濯乾燥機コースをアドバイスしてくれる機能。
このほかにもメーカー各社がさまざまな機能を搭載しているので、自分にとって「要・不要」かをしっかりチェックしましょう。
ポイント5:デザインを選ぶ
ガラストップコートされた扉が増え、デザイン性が向上しているのも特徴的。インテリアイメージに合うものを探すのも楽しんで!
メーカー別「洗濯機」の特徴
最後に、主要メーカーの「洗濯機」の特徴(2019年9月時点)も紹介。商品選びや販売店へ行く際の参考にしてください。
なお、各社の洗濯機画像は現時点での最新モデルとなります。必ずしも、文章で紹介している内容と一致するものではございません。
「パナソニック」洗濯機の特徴
日本の洗濯文化に大きな変化を与えた「ななめ型ドラム」生みの親で、同形式はいまや洗濯乾燥機の定番になっています。コンパクトなサイズは、日本の住宅事情にマッチしていて高評価。使いやすさ重視のモデルからデザイン背の高いモデルまで、幅広いラインナップで選びやすく、最近は「洗剤自動投入」を開発し支持を得ています。タテ型は、手前の操作パネルをなくしたフロントすっきりタイプが特徴。
「日立」洗濯機の特徴
洗浄力の高さにつながる「ビッグドラム」、乾燥シワが軽減される「風アイロン」、省エネが達成できた「ヒートリサイクル乾燥」など、その技術力の高さに定評あり。業界初の「洗濯層自動おそうじ機能」は、今やスタンダード機能に成長。タテ型は、もみ洗いのほかたたき洗いもできる「ビートウォッシュ」が人気。最新モデルではAIにより洗浄方法を調整する機能や、洗剤自動投入なども搭載され、ますます進化しています。
「東芝」洗濯機の特徴
ヒートポンプの性能はじめ、サスペンションやモーターなど基本技術の高さが売り。静音性の高さも支持されるポイントのひとつ。ドラム型・タテ型ともに、細かい泡で、繊維の奥の汚れをしっかり洗い出す「ウルトラファインバブル洗浄」が特徴。
「シャープ」洗濯機の特徴
洗濯時や洗濯機自体の除菌効果がある、プラズマクライスターイオンを搭載。また、IoTにいち早く取り組むメーカーで、「洗濯機」にも展開されています。ドラム式は前面の扉が冷蔵庫のような一枚扉で、デザイン性の高さが魅力。タテ型は「穴なし槽」がシャープのオンリーワン仕様。洗濯槽の外回りが汚れにくいと人気です。ヒートポンプ搭載のドラム洗濯乾燥機から、ひとり暮らしに最適な小容量の手頃な価格帯まで、幅広いラインナップで選びやすいです。
「AQUA」洗濯機の特徴
元サンヨーの冷蔵庫「AQUA」を、Haierが引き受け、AQUAブランドとして発売。もともと三洋電機は、コインランドリーやクリーニング店などの機器を多く手がけ、業務用で培われた技術力があり、いち早く洗濯乾燥機の開発を手がけていたメーカー。衣類の劣化を防ぎつつしっかり洗う、衣類のアンチエイジングに力を入れています。現在はタテ型のみのラインナップで展開。
「LG」洗濯機の特徴
サムスンと肩を並べる、韓国の大手メーカー。ドラム型の洗濯槽が上下でふたつある「デュアルウォッシュ」で日本に初参入。高級路線で展開し、今後、日本メーカーの大きな対抗馬として頭角を表すこと間違いなしです。
「Miele」洗濯機の特徴
ドラム型のみで、「洗濯機」・乾燥機・洗濯乾燥機のラインナップ展開するドイツの高級ブランド。ビルトインタイプが主力ですが、置き型もあります。日本にはない高音洗浄モード搭載など、洗濯に高いこだわりがある人向き。
お手ごろ価格が魅力の新規参入メーカーも!
そのほかお手ごろラインとして、コンパクトサイズの廉価機種・全自動洗濯機が主流。ひとり暮らしや新社会人向けの「Haier」、ラインナップは少ないが手頃な価格が魅力の新規参入メーカーとして「ツインバード」「アイリスオーヤマ」があります。
◆監修・執筆/戸井田 園子
性能・コスト・デザインなどを総合的に判断し、製品選びに役立つ情報を発信する家電コーディネーター。総合情報サイトAll Aboutの家電ガイドを始め、雑誌、テレビ、ラジオなど数多くのメディアで活躍中。