はさみを楽しく安全に使うには?専門家が教えるヒント
2022/02/24
工作遊びに興味を持ち出す2・3歳。「はさみは危ないし、まだ持たせたくない」と思うおうちのかたもいるかもしれませんね。
でも、危ないことを説明すればある程度理解できる2・3歳は、はさみを使えるスタート期。また、工作には2・3歳の脳を育てるパワーがあるんです!工作遊びの力について、遊びとアートの専門家・八木先生にうかがいました。
<お話をうかがった先生>
八木紘一郎(やぎこういちろう)先生
元白梅学園大学こども学部教授。子どもの発達を踏まえたうえで、将来必要な力を育てる遊びや体験を、保育園や美術館などで指導しているアート・遊びの専門家。
工作好きな子が育つ【実践編】
はさみの1回切りに挑戦!
「食べ物の絵を切って半分にする」などの見立て遊びができる2・3歳は、はさみを使うのが楽しくなる時期。はさみを扱うルールから動かし方まで、実践で役立つヒントをご紹介します。
Q はさみを使うときのルールはどう教えたらいいですか?
A1 4歳半頃までは近くで見守って。
今は、はさみを使うときは「必ずそばで見守ること」、「おうちのかたが『使ったら片付ける』姿を繰り返し見せること」を徹底しましょう。4歳半頃までに「目的以外のことにはさみを使わない」「刃先を人に向けない」といったルールを身につけられるといいですね。
A2 はさみを使う動機づけを大切に。
切る目的がないと、はさみを使うこと自体が楽しくなってしまい、切ってはいけないものにまではさみを入れてしまいがち。「ママも紙が半分ほしいな。ちょっきんしてくれる?」など、はさみを使う目的がわかる声かけを。
Q はさみを楽しく使うにはどう関わるといいですか?
A1 「半分こ」などイメージが豊かになる関わりを。
ただ「好きに切っていいよ」と言うだけでは遊びが広がりません。例えば、食べ物の絵を「半分こ」にして、「もぐもぐ、おいしい!」と食べるまねをするなど、見立て遊びにつなげることで、お子さんのイメージが豊かになっていきます。
A2 切ったものを使ってごっこ遊びを。
車のチラシを切って車屋さんごっこ、ケーキの商品カタログを切ってケーキ屋さんごっこなど、お子さんの好きなジャンルで遊びを楽しみましょう。折り紙のような薄いものより、コピー用紙や広告など厚みがあるものを選ぶと、片手で持っても紙がしならず、切りやすいですよ。
おうちのかたのサポートで上達!はじめてのはさみ使い方3ステップ
片手ではさみを使うには、机に対して垂直にはさみを構えなければいけません。しかし、指や手首の巧緻性が発展途上の2・3歳は、この姿勢を維持することが難しいのです。いきなりひとりで片手で切ると、うまくいかないことが多いので、最初のうちはおうちのかたのサポートが不可欠です。手伝ってもらって「上手に切れた」という経験を積むことで、表現活動へのモチベーションや手指の巧緻性もアップしていきます。
【ステップ1】両手ではさみを持ち、上下に開閉する
まず、両手で閉じ開きをする練習をしましょう。利き手ではさみの下側を持ち、机に対して垂直にはさみを構え、利き手の肘を机につけて、はさみを上下に開閉させてみましょう。
【ステップ2】大人が紙を差し込み子どもが両手で切る
上手に切るコツは、はさみを縦に大きく開くこと。「わにさんみたいに大きく口を開くんだよ」と声かけを。開けたら、おうちのかたが紙を差し込んで切ります。このとき、必ず紙をはさみに対して直角にし、刃の奥まで差し込むようにしてください。
◆これはNG!
机に対してはさみが水平だと、うまく切れません。正しい姿勢で持てているか要チェック。
【ステップ3】片手ではさみを使う
両手のときと同じように、「はさみの閉じ開きを繰り返す」→「おうちのかたが紙を差し込んで切る」の練習を。切るときのタイミングがつかめてきたら、お子さんひとりで挑戦しましょう。
POINT
●はさみを開くときは、親指を上にあげる
●肘は机につける
●紙ははさみに対して直角に、奥まで差し込む
※取材時の情報です。
参照:〈こどもちゃれんじ〉