日本人の女の子紙切りハサミ (3 歳)

なぜ工作遊びで脳が育つの?専門家が教える「3つの理由」

2022/02/21

工作遊びに興味を持ち出す2・3歳。「はさみは危ないし、まだ持たせたくない」と思うおうちのかたもいるかもしれませんね。
でも、危ないことを説明すればある程度理解できる2・3歳は、はさみを使えるスタート期。また、工作には2・3歳の脳を育てるパワーがあるんです!工作遊びの力について、遊びとアートの専門家・八木先生にうかがいました。

<お話をうかがった先生>
八木紘一郎(やぎこういちろう)先生
元白梅学園大学こども学部教授。子どもの発達を踏まえたうえで、将来必要な力を育てる遊びや体験を、保育園や美術館などで指導しているアート・遊びの専門家。

「上手な作品作り」が工作の目的ではありません

子供がコラージュを作る
Amy Newton-McConnel/gettyimages

ちぎる、折る、丸める、切るなど、いろいろな動きをしたり、同じ「切る」でも、真っすぐ切るときと丸く切るときでは動きが変わったり。こうした手指の活動を通して、脳に刺激が与えられていきます。
そのため、「まだ工作が上手にできないし、取り組ませるのも大変…」と思うかたもいるかもしれませんが、出来映えが重要なのではなく、工作に取り組むことそのものが大切なのです。

なぜ工作遊びで脳が育つの?

小さな3歳の幼児の男の子のトップビューは、家庭で芸術を行う接着剤を使用して楽しむ、幼児のための楽しい紙や接着剤の工芸品、子供のアートプロジェクト
yaoinlove/gettyimages

手指の巧緻性がぐんと伸びる2・3歳は、手をたくさん動かすことで脳に刺激が与えられ、さまざまな力が育ちます。工作遊びが引き出す力をのぞいてみましょう。

力【1】想像力・言語力が育つ

2・3歳は、完成した形をイメージしてから作品を作るのではなく、「あっ、これ、窓に見える!」「窓があるなら、おうちを作ろうかな」と、手を動かしながらイメージを膨らませる年齢です。「これは何に見えるだろう?」と考える経験を通して、想像力や言語力が発達していきます。

力【2】問題解決力が育つ

例えば、空き箱で作った家に煙突をつけたいのに、手頃な大きさの筒がないという問題に突き当たったとき、紙を筒状に巻いて代用するなど、「たりないもの・ないものをどのように補うか」を工夫するのが工作です。工夫の仕方には「正解」も「ゴール」もないからこそ、柔軟で発想力豊かな問題解決力が育ちます。

力【3】手順を考える力が育つ

工作は料理と同じで、手順が大事。「テープを貼った上からだと、のりがくっつかない」など、手順を考えないと思い通りの仕上がりにならない場面がたくさんあります。自分で考えることはまだ難しいですが、おうちのかたのサポートや、失敗した経験を通じて、だんだん手順を考えられるようになっていきます。

工作好きな子が育つ【準備編】

◆準備が面倒…あれ取って~にならない環境づくりのヒント

家での工作遊びは面倒…と思うのは、「あれもこれも出して、散らかる」「結局、大人が道具を準備しなくちゃいけない」からではないでしょうか。お子さんが自分で取り出せて、おうちのかたもラクになるヒントを紹介します。

必要な道具はひとつの工作箱にまとめましょう

白い色の背景、トップビューにカラフルな塗料
Rawf8/gettyimages

工作好きな子が育つ条件は、「作りたいと思ったときに、パッと道具が出て、さっと作れる」こと。でも、おうちのかたからしたら、いきなり「クレヨン取って~」と言われても、すぐには出せないときもありますよね。
そこでおすすめなのが、後述の「工作箱」。お子さんの手の届く場所に置いておけば、「作りたい」気持ちがしぼんでしまわないうちに、工作を始められます。

空き箱もお子さんの手が届く場所に

パステル ピンクの背景のティッシュ ボックス
Studio Light and Shade/gettyimages

工作におすすめなのはティッシュ箱。タテ・ヨコの幅が一定で、紙も厚すぎないので、2・3歳でも扱いやすい素材です。さらに理想的なのは、大きなごみ箱を置いた「工作中は散らかしてもかまわないコーナー」を作ること。よりのびのび工作に取り組めます。

八木先生おすすめの工作箱の中身

●工作箱

空白の白いボックス
Veresovich/gettyimages

道具をいちいち探さずに済む。
「これさえあれば工作が始められる」道具をひとつにまとめておきます。お菓子の入っていた缶や100円均一ショップなどで売っているケースでかまいません。

●使い捨ての布切れ

白に隔離されたキッチンタオル。折り畳まれたベージュの布。
NYS444/gettyimages

手が汚れたときすぐ拭ける。
小さく切った布を、ぬらして手元に。ウェットティッシュでもいいですが、使う度に取り出す手間が省けます。

●のりや接着剤の台

空き瓶の蓋に厚紙を貼り、その上にのりや接着剤を小出しにします。高い位置にあるから、何かの拍子で工作物とのりがくっつく心配がありません。

●マスキングテープ

マスキングテープ(画家テープ)
Kotenko_A/gettyimages

子どもでもちぎりやすい。
テープカッターを使わなくても、子どもの手でちぎれます。壁や家具に貼っても、あとが残らずに剥がせるから安心。

●クレヨンや色鉛筆

色鉛筆、クレヨン、図面
zepp1969/gettyimages

4色に絞れば机がごちゃつかない。
「赤・青・黄・黒」の4色があれば、たいてい間に合います。他の色は必要に応じて出しましょう。

◆はさみ◆

※はさみの管理方法についてのアドバイスを受け止められるようになるのは、お子さんがはさみの扱いに慣れたあとです。それまでは工作箱には入れず、おうちのかたが管理しましょう。

白の上に隔離さしはさみ。フラットスタイルのストックベクトルイラスト。
FotoK0T/gettyimages

※取材時の情報です。

参照:〈こどもちゃれんじ〉

 
 

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