「自分が大事、だからあなたのことも大事よ」というスタンスで相手の考えを尊重するというデンマークの人々。普通の日々の中に"好き"を見つけて楽しむ、コペンハーゲンの心地よい暮らしをのぞかせてもらいました。
<教えてくれた人>
宮腰花絵ムンクイエンセンさん(46)
イギリスのシュタイナー教育の施設でボランティアをしているときにデンマーク人の現在の夫と出会い結婚。保育士として働きながら夫(43)、長男(15)、二男(10)と3LDKのマンションに暮らす。
北欧の人々は三度の飯よりインテリアが好き
「北欧は冬が長く暗いということもあって、デンマーク人はとにかく家を自分好みに心地よくすることにこだわります。日本人が食にこだわるように、デンマーク人はとにかくインテリアが大好き!テレビでもインテリアや家のリフォーム番組ばかりです(笑)。テイストとしては、シンプルでデザイン性の高い物や長く受け継がれてきたアンティークを好みますね。コペンハーゲンはアパート(日本でいうマンション)に住む人が多いですが、物件が少ないこともあり、家賃はとても高いのが悩みの種。そのため、若い人たちはアパートをシェアして住んでいたりします」。
コペンハーゲンはこんな都市
九州地方ほどの大きさのデンマーク。首都・コペンハーゲンは貿易の要所として発展し、建築やインテリアが有名。ヨーロッパ有数の観光名所。
【DINING】
デンマーク人は自分たちで家や家具に手を入れるのが当たり前。花絵さんも最後の設置だけ大工さんに頼んで、壁一面の棚を夫とDIY!
夫婦でペイントしたDIYの棚。
【LIVING】
2020年にコペンハーゲンにもオープンした無印良品。機能的でシンプルなデザインは、こちらでも大人気だそう。
無印良品はコペンハーゲンでも人気!
【KITCHEN】
デンマークではどのお宅もとにかく「すっきり!」という印象。無駄な物は買わずに、本当に必要な物だけでシンプルに暮らします。
北欧は片づけ上手なミニマリストが多い。
物価が高く外食はほぼしない
「所得税は55%、消費税は25%と世界一税金が高いといわれるデンマーク。物価が高いため、人々の暮らしはとてもシンプル。わが家も食事は家でとることがほとんどで、外食は家族で公園に出かけたときにカフェに寄るくらい。みんな共働きなので、家ではミートソースのパスタやラザニアにスティック野菜など簡単な物が多いですね」。
デンマークの物価例
●ランチ:約1500円(カフェでサンドイッチと飲み物)
●コーヒー:カフェで1杯約700円、スターバックスは1杯約1000円
●牛乳:1L約160円、有機の牛乳は約200円
●卵:10個で約500円
●じゃがいも:1kgで約300円
●豚ひき肉:400gで約1000円
●ペーパータオル:3ロールで約450円
●カーシェア:5分で約300円
めんつゆなど、日本の調味料も。
【BREAKFAST】
オートミールとフルーツが定番。
【LUNCH】
職場にはサンドイッチを持参。
デンマーク伝統料理「スメアブロ(直訳するとバターつきのパン)」は、黒パンに具材を彩りよく盛りつけたオープンサンドイッチ。夫も自分で作って職場に毎日持参。
ランチタイムは30分と短め。
おやつ
デンマークのにんじんは甘くて美味!
【DINNER】
和食と洋食を交互に作っています。
コペンハーゲンは港町ですが、魚介は海外に輸出されるので食卓では魚より肉が中心。写真は、豚バラ肉をカリカリに焼き、パセリソースを添えた伝統料理。
餃子やお好み焼き、カレーライスなどの日本食も子どもたちに大人気。この日は豚肉の生姜焼きとイワシの甘露煮の献立。
大学まで無償!「やりたいこと」を探すための学びが中心
「デンマークの暮らしでよかったことのひとつが、子育て環境です。子どもは自分のペースで成長すればいいという考え方で、小学校入学もその子の成長に合わせて6歳でも7歳でもOK。子どもを評価すべきではないと考えているので、うちの子は中2で初めてテストを経験しました。教育費は大学まで無償で、高校卒業後は世界のあちこちで人生経験を積んでから大学に進む人も多いです」。
【KIDS ROOM】
ごちゃつかず、すっきりと片づいた子ども部屋。基本的に宿題はないので、勉強するのは学校で。家では家族みんなでくつろぐ時間を過ごすことが多い。
子どもも大人もスポーツを楽しむ
学習塾がないので、子どもたちは放課後、スポーツの習い事へ。私たち親も子どもたちの世話を交代して、週2回、夜にスポーツジムやバレーボールでストレス発散。
休日は緑のある場所でのんびり過ごす
自然が大好きなデンマーク人。近郊の森や湖などに出かけて、たっぷりと自然と触れ合って過ごします。夏は週末や夏休みに自然に囲まれたサマーハウス(別荘)で過ごす人も多いです。
※物価は編集部調べ(22年11月時点)
参照:『サンキュ!』2023年2月号「北欧の暮らしとインテリア」より。掲載している情報は2022年12月現在のものです。撮影/宮腰花絵ムンクイエンセンさん イラスト・文字/ Qoonana 取材・文/工藤千秋 編集/サンキュ!編集部