無理なく片づけられて好きな物を大切にする、自分にとってのちょうどいいを優先するのがミディアリスト!物を減らすよりも増やさない工夫をしたり、“見せる&隠す”のメリハリをつけ、好きな物だけが目に入る暮らしの秘訣を教えてもらいました。

<教えてくれた人>
ポルトガル料理研究家・文筆家 馬田草織さん(東京都/54歳)
高校生の娘と2人暮らし。近著に『ホルモン大航海時代』(TAC出版)、『塾前じゃないごはん』(オレンジページ)など。インスタグラム @badasaori
◎house data◎
分譲マンション/2LDK(83平米)/築30年
“見せる&隠す”のメリハリで好きな物だけ目に入る家を目指す
アート、雑貨、グリーンなど、さまざまな物に囲まれながらも、すっきり暮らしている馬田さん。「生活をしていたら物が増えるのは当たり前」と大らかに構えつつ、あふれる手前でセーブできるのは、一度手に入れた物を手放すほうがツライ……という経験を何度かしたことと、「住みたい家」のインテリアのイメージをしっかり描けているから。
「30代の頃、美術館のカフェにある家具やアートを見て、『余白を持って飾るとこんなにすてきなんだ!』と衝撃を受けたんです」。
空間をギュウギュウにしないために、台の上と床の上には物を放置しないのがルールですが、自宅で仕事をしているので、繁忙期には飾り棚にまで書類が積み重なることも。
「そんなときは、お菓子を入れる棚に一時置きしたり、仕事の山を越えてから一気に片づけたり。散らかっていた部屋がきれいになると新鮮な気持ちになるから、そんなメリハリも楽しみながら暮らしていきたいですね」。
物と私のhistory
【24歳】一人暮らしを始めて、服や本が増える。
【30歳】物が増えたために引っ越しがたいへんで、「収納って考えないといけないんだな」と痛感。
【34歳】猪熊弦一郎美術館のカフェで、 余白のある空間の美しさに衝撃を受ける。その後、インテリアの指針に。
【38歳】出産。家にいる時間が長くなり、器、食材、鍋類が増える。
【39歳】ルンバを導入
床に物を置かない!を徹底するように。
【44歳 】中古マンションを購入&リノベーション
設計前に持ち物すべてを書き出すように言われる。そのときに物の量を大きく見直し、器、服、本を手放した。
【50歳】気に入った皿やカップを割ってしまったら、金継ぎしながら使うなど、好きな物を大事にしながら、物を増やしすぎない暮らしを実践中。
無理せず家が整うマイルール
(1)減らすより“増やさない”を意識する
(2)床・テーブル・シンクをきれいにしてから寝る
(3)その場しのぎの片づけでもよしとする
見せる&隠すをハーフ&ハーフにする
全部見せるとゴチャつくし、全部隠すと不便だから、どちらにも偏らず半々ぐらいがノンストレス。
1枚扉の引き戸にして半分隠せると気がラク
食器、お茶道具、弁当箱などを並べる戸棚は、フルオープンにせず、引き戸の扉を半分(1枚)だけ設置しました。生活感のあるものは扉で目隠しできるから、ざっくりしまえて気がラクです。
1軍の調理ツールは出しっ放しが使いやすい
毎日使うツールは、作業台から「一歩も動かず取れる位置」に並べています。作業台の背面には、「振り返れば取れる位置」にカトラリーをセット。かわいい空き瓶などを再利用し、アイテム別に立てておくと一目瞭然に。
「思い出」をインテリアとして飾る
思い出のある物を手放したら、味気ない暮らしになってしまいます。いっそ飾れば、自分らしい部屋に!
子どもの絵、旅先で買った雑貨などの思い出の品を飾りながら愛でる
まだ幼かった頃の娘が母の日に描いてくれた絵、ポルトガルで拾った松ぼっくりなど、「年齢とともに、思い出になぐさめられることが増えています」と笑う馬田さん。時々、並べ替えをしながら大切に持ち続けています。
ルンバのために床に置くグリーンは1つだけと決める
大きく育ったグリーンは、なんと10年前に買ったもの!それ以外は、天井から吊したり、飾り台に載せたりしています。「ルンバも15年前から使っているから、床に置かないのがすっかり習慣になりました」。
心のバイブルにしている絵本のキャラをさりげなく飾る
家のあちこちに潜んでいるカエルのマスコットは、馬田さんが仕事に行き詰まっていた30代の頃、自分のために買った絵本『ふたりはいつも』の主人公たち。「娘にも、いちばん読み聞かせた絵本だと思います」。
収納はあとから足すとうまくいった!
料理教室を始めてから、来客用カップが増えたため、カップボードを増設。使い勝手が良く、見た目にもお気に入りのコーナーに。物が増えても自分を責めず、暮らしに合わせて収納スペースを足すと、QOL(生活の質)が上がるという好例!
参照:『サンキュ!』2025年5・6月合併号「ミディアリストのすすめ」より。掲載している情報は2025年3月現在のものです。撮影/清永洋 取材・文/石川理恵 編集/サンキュ!編集部