『あの頃、何を食べていたか?ほとんど記憶がない』ママたちが自分時間を取り戻すまで
2023/06/23
母になった私たちが自分時間を取り戻すまで。出産を機に、自分のことは後回しになり、"自分時間"はほぼゼロという人も多いはず……。どう取り戻し、何を楽しむのか4人の母たちが座談会で熱く語り合います!
<座談会メンバー>
・臨床心理士・漫画家 白目みさえさん
育児あるあるを描いた、漫画をSNSで投稿。多くのママたちの共感を呼ぶ。インスタ@misae_mon
『子育てしたら白目になりました』(KADOKAWA)
【長女小4・二女小2】白目になっちゃう"育児"インスタで大人気!
・サンキュ!アンバサダー 中島彩さん(千葉県 38歳)
17年『サンキュ!』専属読者モデルに。以降、数々の企画に登場。夫は出張が多く、家事はワンオペ状態。
【長男中3・長女小6・二女小2】病児を育てる中でも、やりたいことをあきらめない。
・サンキュ!STYLEライター ちぇそさん(兵庫県 40歳)
断捨離で貯め体質に覚醒し、FPの資格を取得。年収300万円台で1400万円以上を貯めた記事が話題に。
【長男小6・二男小4】シングルマザーとして男子2人を育てる。
・『サンキュ!』読者 いとうさん(福岡県 38歳)
フルタイムで仕事をしながら、すっきりとした家をキープ。センスの良い暮らしぶりで誌面に何度も登場。
【長女中2・二女小6・三女小3】3姉妹を育てながら、自分をいたわる暮らしを実践。
白目さんが"自分時間"を取り戻すまで
【出産後】「心理士だからできるはず……」と自分自身にプレッシャー
1人目はきちんと育てなくては、という使命感で常に緊張。年子で二女を出産後は手が回らず、毎日、白目をむいちゃう大変さ。
【二女が2歳頃】夜、スーパーに30分買い物に行くのが"自分時間"
子どもを夫に見てもらい、超スピードでサッと買い物をするだけ。それでも人けのないスーパーの雰囲気は解放感でいっぱい。
【今】漫画を描いて、まったりする時間が帰ってきた
子どもが寝た後、漫画を読んだり、描いたりする時間が復活。元々インドア派でゴロゴロするのが大好き。
中島さんが"自分時間"を取り戻すまで
【出産後】3人目の時は、切迫早産で入院からの出産、体は本当にボロボロ
3人目は原因不明の病気で病院に5カ月入院。上の2人の育児と家事をこなしつつ、片道50分かけて病院通い。不安な毎日を過ごす。
【二女が10カ月の頃】病児の育児をしつつ、『サンキュ!』専属モデルに
"病児がいても可能な範囲で、できることをやってみたい"、と専属モデルに応募。撮影の時間が唯一の"自分時間"だった。
【今】1人カフェ、1人美術館を満喫
二女が小学生に。送迎はあるものの、学校に行っている間は"自分時間"。美術館に行ったり、カフェに行ったりとソロ活動ができるように。
ちぇそさんが"自分時間"を取り戻すまで
【出産後】義祖父母、義父母との息苦しい同居
常に誰かに見られているような緊張感が。夫は週末になると接待ゴルフで不在なことも多く、愚痴を言えるママ友もいない孤独な毎日。
【二男が年長の頃】夜、ちょっといいおやつとドラマでコーヒーブレイク
二男の癇癪や夜驚症が落ち着き、朝までぐっすり寝てくれるように。撮りだめたドラマをゆったりと見られる時間が最高のごほうびタイム。
【今】子どもがやらかした写真を晩酌のお供に(笑)
息子達はボーイスカウトに入っていて、泊まりでいない日も。そんな日は時間を気にせずママ友と飲みに。息子の"やらかし写真"を見て楽しむ。
いとうさんが"自分時間"を取り戻すまで
【出産後】初めての育児は戸惑いの連続
長女は寝てばかりで体重が増えず、周囲の人に心配されると、自分が責められている気分に。精神的にも辛く、自分のことを考える余裕はゼロ。
【今】短い時間でも自分のために使う
忙しい毎日の合間に、朝10分間だけ自宅でストレッチをし、夜寝る前の5分間だけスケッチを描く。スキマ時間を自分時間として活用!
お風呂にゆっくりつかれるのが幸せ
水とスマホを浴室に持ち込んで"自宅スパ"に。湯船につかりながらYouTubeを見る30分間で、1日の疲れをデトックス。
母になった私たちが自分時間を取り戻すまで
うちの子はなぜ泣きやまないの?何が"ふつう"かわからなかった(いとうさん)
あの頃、何を食べていたか?ほとんど記憶がないです(ちぇそさん)
編集部(以下編):今回のテーマは"自分時間"。『サンキュ!』世代は、毎日忙しくて、そういう時間を取れないという人も多いんです。
白目みさえさん(以下白目):わかります。特に出産後。そこからの数年間はほぼ自分時間がゼロでした。
全員:うんうん(同意)。
いとうさん(以下いとう):出産前は自由気ままに過ごしていたので、出産後はすごく戸惑いがありました。実は長女には発達障害があるのですが、当時はそんなことはわからないので、なぜ泣きやまないんだろう、なぜごはんを食べてくれないんだろうって。当時、家の中は荒れ放題で、"自分時間"はまったくなかったです。
ちぇそさん(以下ちぇそ):うちは夫の祖父母、父母と同居だったんですが、うまく甘えることができず、24時間気を使っていた気がします。長男は夕方になるとよく黄昏泣きをしていたんですが、気を使ってベビーカーで外につれ出したり……。あの時、自分がどうやってごはんを食べていたか、どんな服を着ていたか、ほぼ記憶がない(笑)。"自分時間"というより、自分のことをする余裕がまったくなかったですね。
全員:ホントにそう。
白目:記憶ないですよね。うちは年子なんですが、つわりが始まった時期に上の子が離乳食。大変すぎて、家事と育児と仕事をどうやって回していたのか記憶が曖昧。覚えていることは、食べづわりだったので、ひたすら魚肉ソーセージを食べていたことだけ(笑)。
中島彩さん(以下中島):うちは3人兄妹で、2人目までは割とスムーズだったのですが、3人目の子は切迫早産で、出産前1カ月くらい入院をしていました。24時間寝た切り状態で、体力が落ち切った中で出産を迎えたので、体が回復せず、出産後は本当にボロッボロ。ずっと悪露(出産後の出血)が止まらないし、体が激痛のまま退院しました。
全員:ええー!
中島:その時、夫の仕事が繁忙期だったので、家に帰らなくてはいけなかったんです。さらに子どもに病気が見つかり、NICUにいたので、上の子どもたちを見る合間に、毎日母乳を届けに病院に通ってました。
編:皆さん、それぞれ大変だったんですね。
白目:あの頃は"自分時間"を持つというより、それ以前の状態だった気がします。日々、子どもを生かすのに必死というか……。自分が目を離したら死んでしまうのでは、という恐怖感がありましたね。臨床心理士の仕事をしていたけど、その知識や経験はまったく役に立たなかったです(笑)。
中島:自分のことは後回しで、毎日が必死という感じでしたよね。
編:出産後の数年間は、体力的にも気持ち的にも時間を取れなかったんですね。"自分時間"が取れたと感じたのはいつですか?
白目:私は二女が2歳の頃。子どもが寝た後、夫に見てもらって、夜中にスーパーに買い出しに行った時ですね。ただ食品を買うだけですが、足取りが軽くて解放感でいっぱいでした。
いとう:自分のペースで買えるのが良いんですよね。
中島: 私の場合『サンキュ!』撮影に行った時かな。実は私、病児である3人目の子が10カ月の時に『サンキュ!』の専属モデルになったんです。
全員:えぇっ、すごい!
中島:それが唯一の息抜きタイム。子どもと一緒だけど、自分のために時間を使っているという感じでした。
ちぇそ:うちは二男が2歳の時に離婚をしているんです。朝から晩まで家事、育児、仕事とフルフル。夜は子どもと一緒に寝落ちしちゃうことがほとんどでした。でも、二男が5歳頃、朝まで寝てくれるようになったあたりから、夜を"自分時間"として楽しめるようになりました。子どもには出せない、ちょっといいおやつを買っておいて、こっそりひとりで食べるんです(笑)。
全員:わかる、わかる!
中島:私は夫に子どもを託して、映画館で久々に映画を見た時は、贅沢だなぁと感動したなぁ。
いとう:それ贅沢~。私の場合は"この時間"って意識して取るわけじゃないんですが、お風呂にゆっくりつかったり、朝ストレッチをしたり、合間の時間を自分のものにしちゃおう、という考えになりましたね。以前は子どもと一緒にバーッとお風呂に入って、自分の髪をきちんと洗う余裕がなかったけど、今は浴室でユーチューブを見ながらのんびりデトックス。もっと自分の体を大切にしてあげたいと考えられる余裕ができたんです。自分のことを考えてあげる時間が、贅沢だなと思います。
ちぇそ:そう。何か特別なことをしなくても、"自分のためだけに時間を使う"というのがポイントですよね。
白目:あと、出産後の睡眠不足が解消されて、よく眠るようになったおかげか"自分時間"を楽しむ体力が戻ってきた気がします。
編:忙しい時期があったからこそ、"自分時間"が大切だと感じられるんですね。今、時間が取れない人もたくさんいると思いますが、その方々に対して伝えるとしたらどうですか?
ちぇそ:過去の自分に"いつか時間が取れるから大丈夫"と言っても、"今、大変なんですけど"と感じたと思う。伝えるとしたら、"今、頑張っている自分をほめてあげて"かな。
いとう:手を抜いて良いよと言われても、うまくできなかったと思う。だから、たまに良いおやつを食べて、自分を甘やかしてあげて。
白目:振り返ってみると、もっと周りに頼っても良かったのでは、とも思います。他の人に子どもを預けて、自分を優先するのは悪いお母さんだ、と思う人がいるかもしれないけど、そんなことはない。自分の心と体が元気になるためにも、もう少しだけ、ゆるく考えてみてほしいです。
中島:当時、自分が追いつめられている時は、とりあえずノートに気持ちを書きなぐってました。吐き出すとすっきりするので。誰にも頼れないという方はそうするだけでも違うかも。
いとう:良いですね。私は文章ではなく、写真や動画を撮っています。子どもがギャン泣きしている姿とか。後から見ると"なんであんなことで怒っちゃったんだろう"って思えるんです。
ちぇそ:私も撮ります。うちは男の子だからなのか、本当に色んなことをやらかすの。泥の中に突っ込んで、全身泥だらけとか。その瞬間は"マジ意味不明!"と腹が立つけど、写真を撮っておいて、夜お酒を飲む時に見返すと、笑えるから不思議。
白目:私の漫画も、育児の大変さとか面白さを友達に伝えようって所から始まったんです。SNSに投稿したら、コメントがついて共感してくれる人が増えて。同じような環境の人とSNSでつながるのもいいかも。
いとう:たしかに。今日、皆さんと話して、自分だけじゃなかったと安心しました。友達でもSNSでも、共感し合える瞬間があるといいですね。
編:今日は改めて"自分時間"の大切さを共感し合えましたね。
白目:本当ですね。子どもは大切。でも"ひとりになりたい"、"自分の時間がほしい"って気持ちも大切。どちらも大事にできるといいな。
中島:"自分時間"でガス抜きをしながら、毎日を楽しんでいくのが一番ですね。
ママたちは頑張りすぎ。そんな自分をほめてあげよう
映画館で久々に映画を見た時、贅沢!と実感(中島さん)
自分の体をいたわりたい、と考えられる余裕ができた(いとうさん)
自分を優先することに罪悪感を抱かないで(白目さん)
大変だったこと、イラっとしたこと、写真に撮って後から見ると笑えます(ちぇそさん)
参照:『サンキュ!』2023年7月号「母になった私たちが自分時間を取り戻すまで」より。掲載している情報は2023年5月現在のものです。構成・文/岡部さつき(風讃社) 編集/サンキュ!編集部