夏の虫よけ、虫刺され対策をアウトドアの専門家が解説

2018/05/25

夏が近づいてくると、外に出るときに気になるのが蚊をはじめとした虫たちの存在。かゆいだけならまだしも、蚊の媒介による感染症などが問題になることもあり、アウトドアフィールドに限らず、夏は都会でも虫よけ対策が欠かせません。虫よけに役立つ、アウトドアの知恵を、アウトドアナビゲーターの渡部郁子さんに教えてもらいました。

アウトドアだけでなくふだんの生活でも大切な虫刺され対策

アウトドアフィールドには多様な生きものが暮らしています。虫が苦手だからアウトドアが苦手、という方も中にはいるでしょう。これからの季節は、アウトドアフィールドに限らず、都会でも蚊が増えてきます。近年は、蚊を媒介とするジカ熱やデング熱などの感染症の流行が問題となったこともあり、感染症予防のためにも、蚊などの虫を寄せ付けない、蚊や虫に刺されないための対策が必要です。

虫対策では肌を露出しない服装を心がけ、色にも注意!

アウトドアでは、けがや虫刺されから身を守るため、服装は長そで・長ズボンが基本です。都会でも、なるべく肌を露出しない服装が、虫刺されから肌を守ってくれます。ただし、熱中症にも注意が必要なので、通気性のよいものを選びましょう。また、服の上から刺されることもあるので、必要に応じて、服の上から虫よけスプレーなどを使用すると効果的です。

また、蜂は黒いものを攻撃する習性があるので、帽子をかぶる、黒い服を着ない、などが対策になります。また、蚊は黒を好むと言われています。明るい色の服装は、蚊にとって、見えにくい色と言われています。

市販の虫よけグッズを利用する際の注意点

市販されている虫よけグッズも必要に応じて活用しましょう。ただし、虫よけスプレーの中で「ディート」という成分が含まれているものは、6ヶ月未満の赤ちゃんには使用できません。

公園やキャンプ場で、ディート入りの虫除けスプレーを使用する場合は、まわりに小さなお子さんがいないかどうか確認し、多くの人が集まる場所では使用を控えましょう。

一方で、シトロネラ、ミント、レモングラスなど虫よけ効果のあるアロマ成分を配合した虫よけスプレーなら、小さなお子さんにも安心して使えます。身体や服、持ち物にも気兼ねなく使うことができ、アロマの香りで癒され効果もあり、一石二鳥。ただし、ディート入りの虫よけに比べると効果は低いので、状況により使い分けることをおすすめします。

パーフェクトポーションの「アウトドアボディスプレー」や、オーガニックマドンナ「アロマガードミスト」、エルバビーバの「アウトドアボディスプレー」、ドイツ・マリエン薬局の「蚊よけ・かゆみ止めローション」などがおすすめです。

虫よけアロマキャンドルの選び方

一カ所に滞在する場合に、周辺に焚くことで虫を寄せ付けなくする、アロマキャンドル。虫が嫌うシトロネラの香りが一般的で、キャンプやピクニックに便利です。

そしてジャンルの定番と言えば、蚊取り線香。蚊取り線香は、除虫菊に含まれるピレトリンという殺虫成分を使って、蚊の神経に作用し麻痺させて退治する蚊よけの定番商品です。最近は、化合物のピレスロイドを使用したものが多く、殺虫効果の高い他の成分を使用しているものもあります。

ピレトリンの殺虫成分は、蚊やハエなどに効果を及ぼしますが、ほ乳類には効果がないことから、安心して使用できるとして多くの家庭で使われています。我が家では、除虫菊から採取した天然成分を使用している昔ながらの蚊取り線香を選び、ピクニックやキャンプ、公園遊びなどで活用しています。

虫のいるところを避けるにはどうすればいい?

すべての虫を完全にシャットアウトすることは不可能ですが、例えば夏場であっても、高原や涼しいところには蚊がいません。蚊は夜行性なので、夕方になると活発になり、刺されやすくなります。水場や低木が多いと、蚊の住みやすい場所となるので、そういった場所を避けることで、蚊との遭遇率を下げることができます。

また、蚊がいなくても、ぶよ(ぶゆ)に刺されることがあります。ぶよに刺されると、患部は大きくはれ上がり、痛みを伴うかゆみが1週間程度続きます。ぶよは、きれいな水のあるところにしか住めない、と言われていますので、清流のある自然豊かなキャンプ場では注意が必要です。

もし「ぶよ」に刺されてしまったら……

ぶよに刺されてしまったら、患部の毒をなるべく吸い出すことで、その後の症状を軽減することができます。口で吸い取る場合は、吸い取った毒を飲み込まないよう気を付けましょう。

毒を吸い取るための道具として「ポイズンリムーバー」が市販されています。蚊やぶよ、蜂のほか、ムカデ、毒蛇に刺されたときも使えます。頻繁にアウトドアに出かける方は、常備しておくと便利です。

赤ちゃんの虫よけ対策はどうする?

前述のとおり、虫よけには「ディート」という殺虫成分を含むものがあり、生後間もない赤ちゃんには使用禁止となっています。天然アロマを使用した虫よけも、アロマの種類によっては、赤ちゃんには使えませんので注意が必要です。

たとえば上記で紹介した天然アロマの虫よけの中で、オーガニックマドンナ「アロマガードミスト」とドイツ・マリエン薬局「蚊よけ・かゆみ止めローション」は、新生児から使えますが、パーフェクトポーションの「アウトドアボディスプレー」とエルバビーバの「アウトドアボディスプレー」は生後6か月からとなっています。

赤ちゃんのいるところで蚊取り線香を焚く場合は、赤ちゃんが直接触れてやけどをしないよう、ケースに入れるなどの対策をしましょう。また、煙を直接吸わないよう、離して設置するなどの配慮が必要です。

赤ちゃんの虫刺されでは、患部のただれにも注意

筆者の経験上、赤ちゃんはどうやらかゆみを感じにくいようです。生後1か月の頃、息子が初めて蚊に刺されたとき、かゆがるそぶりもなく、特に気にならなかったのですが、数日後に患部がただれて驚きました。アレルギー反応で患部がただれ、とびひになることもあるそうです。とびひになると完治まで時間がかかりますので、赤ちゃんの最初の虫刺されには注意が必要です。

また、息子は2歳になる頃まで蚊に刺されてもかゆがるそぶりをみせませんでしたが、家族の中で一番、蚊の標的になっていました。蚊を媒介にした感染症などの危険もありますので、子どもへの虫よけ対策はしっかり準備しておきたいものですね。

◆監修・執筆/渡部郁子
アウトドアナビゲーター、温泉ソムリエ。JFNラジオ「JOYFUL LIFE」ほか、山と温泉と音楽をテーマに「人生を豊かにする情報」をさまざまなメディアで発信中。子どもにやさしい温泉や山、フェス情報など、子どもと一緒に楽しむアウトドアスタイルを提案している。

 
 

PICK UP ピックアップ

TOPICS 人気トピックス

RECOMMEND