きっかけは国の要望?モスバーガーの定番メニューに隠された誕生秘話
2024/12/06
モスバーガーならではのメニューといえば、ご飯をバンズにした「モスライスバーガー」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?今回はメニューとしての歴史も長い「モスライスバーガー」の誕生秘話について紹介します。
深刻になっていた“コメ余り”問題を解消するために開発を決意
「モスライスバーガー」が誕生したのは1987年で、当時の日本では米の消費量が減り“コメ余り”問題が深刻になっていました。そんな時に、農林水産省から「外食産業で米を使った商品を導入できないか」という要請が。そこでモスバーガーは、“米を使ったバーガー”の開発に踏み切ります。
じつは開発当初は「米は具材」と考えていたそう。米をひき肉と合わせたり、卵でくるんでバンズにはさむなどの試作を繰り返すものの、なかなかうまくいきません。そもそも“日本人は米をどうやって食べるか?”と原点に戻って考えた末に、「おにぎり」という答えにたどり着きました。
というのも、当時はコンビニエンスストアでおにぎりが販売され始め、各社がさまざまな具の開発に力を入れていた時期。「ご飯をバンズに見立て、具をくるんだり、はさんだりすればいいのでは」という発想の転換から、米を使ったプレートの開発へと進みます。
しかし、米をくずさずにプレートにするのは至難の技でした。ご飯を型に詰めただけではくずれやすく、かといってくずれにくくするために水分を多めに炊き圧力をかけると、米の“粒感”が失われてしまいます。さまざまな試作の末にたどり着いたのが、「焼く」という方法。焼きおにぎりの技法を使うことでくずれにくく、なおかつ米の食感を残すことに成功しました。
ちなみに、各バーガーチェーン店でお馴染みの「テリヤキバーガー」もモスバーガーが発祥です。「テリヤキバーガー」が生まれたのは1973年。長い歴史を誇っていますが、当初は和のソースと洋のバンズの組み合わせに拒否感を抱く人が多かったそうです。売れ行きの悪いスタートでしたが、当時お店の常連客であった女子高生が「自分の学校の文化祭で売るよ」と提案したことで事態は急変。文化祭に出店したことが売れ始めるきっかけとなり、一気に広まっていきました。
今でこそ定番商品として人気の「モスライスバーガー」ですが、誕生の裏には並々ならぬ企業努力が隠されていたんですね。
■執筆/マツヤマ剛
ありとあらゆる面白情報を収集する雑食ライター。営業職で「トークのタネ」として雑学を集めていたことをきっかけにトリビアに目覚め、一念発起して編集プロダクションに転職。その後独立し、今に至る。特に、生活に関連するような知識には目がなく、日々情報収集に励んでいる。
編集/サンキュ!編集部