引っ越し費用の相場を解説|費用の内訳、安くなる時期、見積もり時の注意点
2019/01/05
引っ越しを引っ越し業者に依頼する場合、基本の引っ越し費用に含まれているものとオプション扱いになるものがあります。引っ越しの費用をできるだけ安く抑えるための時期や方法、見積もりを取ってもらうときの注意点などを、暮らしスタイリストの河野真希さんに聞きました。
引っ越し費用はどうやって決まるの?
引っ越し業者の見積もりは、引っ越し当日に使うトラックの大きさ、移動距離、作業時間などで金額が査定されます。それぞれの業者ごとの基本料金があり、大きく分けて「運賃」「実費」「付帯サービス料」の3つで構成されています。見積もりを取ってもらうときの基礎知識として、頭に入れておきましょう。
運賃とは?
運賃は、引っ越しの移動距離や荷物を運ぶ時間によって決められる料金。引っ越し業者は、時間制運賃か距離制運賃のどちらかで料金を決めます。
■作業時間をもとに計算する時間制運賃
荷物を運ぶ距離が100km以内の場合で、4時間と8時間の2つに分かれていて、それぞれ時間が超過すると追加料金が発生します。
■移動する距離をもとに計算する距離制運賃
引っ越しのトラックの移動距離が100kmを基本とし、これを超えると追加料金が発生します。
このほか、引っ越しトラックを長時間とどめておく必要がある場合の「車両留め置き料」、休日・深夜・早朝の引っ越しの場合の「割増し料金」が追加されていきます。
実費とは?
引っ越しの作業員の費用、梱包にかかる費用、有料道路利用料などが含まれます。
付帯サービス料とは?
引っ越しの基本作業とは別にオプションで頼むと発生する料金です。エアコンの取り付け・取りはずし、ピアノ輸送、乗用車の運送、ゴミの処理、ハウスクリーニングなどがあります。
引っ越し費用が安い時期は?
引っ越しをする人が多い時期は料金が高くなり、引っ越しをする人が少ない時期は安くなります。引っ越しの繁忙期は、卒業・入学・就職・転勤が多くなる時期で、3月から4月になります。そのほか、土曜・日曜・祝日、そして午前中は料金が高く設定されています。6月から7月と11月は引っ越し件数が少ないため、料金も安く設定されています。
安くすませたい人は「午後便」「フリー便」の利用もおすすめ。この2つは引っ越しの日にちしか決めることができない(時間指不可)代わりに、お値段が抑えめになるというもの。
「午後便」は午後、「フリー便」はその日のうちと、おおよその時間だけが決まっているので、引っ越し作業の開始が夕方や夜になってしまうこともあります。その場合、近所のかたがたに迷惑がかかってしまうというリスクがあることもお忘れなく。
引っ越し費用が増える作業は何?
まず、引っ越しの費用がふくらむ要因は荷物の多さです。荷物が多くなるとその分、引っ越しの作業員も梱包の資材なども多く必要になり、さらにはトラックの大きさにも影響するため、見積もり料金は高くなります。当然ながら引っ越しの移動距離が遠くなるほど、料金は上がります。
また、基本料金に含まれていないオプションの作業を依頼すると、追加料金が発生します。目安の料金ですが、例を挙げます。
・エアコンの取り付け……1万〜1万5000円
・エアコンの取りはずし……5000〜1万円
・家具の処分……3000〜3万円
・ハウスクリーニング……7000〜5万8000円
引っ越しの作業費を安くするには?
3人以上の家族の引っ越しの場合、荷物も多いため、引っ越しのプランによっては料金がぐんと高くなったりします。料金を抑えるには、自分たちで荷造り・荷ほどきをするかどうかが大きなポイントになります。荷ほどきのみ業者に頼む、または荷造り・荷ほどきをすべて自分たちで行うと引っ越し料金は安くなります。
ただし、引っ越し日まで作業する時間がない、小さい子どもがいる、妊娠しているなどの場合は、料金にこだわりすぎず上手に引っ越し業者のプランを利用しましょう。
一括見積もりサイトで比較検討しよう
引っ越し業者は1社だけでなく、できれば数社比較したいもの。そんなときに便利なのがインターネットの「一括見積もりサイト」。必要な情報を入力すると、複数の引っ越し業者へいちどに見積もりを依頼できます。それぞれの業者から連絡が来るので、提示された料金やサービスから比較検討ができて便利です。
ただし、見積もり依頼は多くても5社くらいにしぼったほうが無難。見積もり依頼をした業者からメールや電話で次々と連絡があるので、多すぎるとその対応だけで時間が取られてしまいます。
注意したいのは、入力した情報だけでの見積もりはあくまでも概算だということです。場合によっては、あとで別途請求されるというトラブルも。料金が安いというだけで安易に決めず、自宅を訪問し、荷物や道路の状況などを見たうえで出してもらった見積もりのほうが安心です。
見積もりを依頼するときの注意点
引っ越しはできるだけ安く抑えたいものですが、料金ばかり気にしていると落とし穴も……。必要なサービスが含まれていなかったり、あとで追加料金を取られたりしないよう、見積もりの段階で注意するポイントを紹介します。
梱包資材は無料か有料か確認しよう
ダンボール、ハンガーボックスなどが有料か無料かは、引っ越し作業を進めるうえで肝心なところ。無料でもらえる場合、何個までもらえるか、いつ届けてもらえるかも確認しましょう。引っ越したあとのダンボールの回収はしてもらえるか、それも無料かどうかも要チェックです。
依頼する引っ越し作業は細かいところまでチェック
大きな家具を運びたいけれど、旧居や新居の玄関や廊下、階段などが狭い場合は必ず見積もり段階で相談をしましょう。そのまま搬出・搬入できない場合、解体して組み立てたり、ベランダからのつり下げやつり上げといった作業が必要になることもあります。この場合の料金も聞いておきましょう。
オプション料金になるエアコンの取り付け・取りはずしなどの作業を頼むときも、その作業内容と料金などの確認を忘れずに。
作業員の人数とトラックの大きさも聞いて検討しよう
作業員の人数は少ないほうが安くなりますが、その分時間がかかります。人数が多ければ料金は高くなりますが、短時間で終わります。結果的にどちらが安くなるのか聞いてみましょう。
トラックの大きさは荷物の量によって決まり、トラックが大きくなると料金も高くなります。荷物に対してトラックが大きすぎて、費用が無駄にかからないよう注意してください。
キャンセル料金の確認は忘れずに
引っ越しの何日前からキャンセル料金が発生するのか確認しましょう。業者によっては、契約をしたときから発生するところもあります。キャンセル料金はいくらなのかも同時に確認しましょう。
そのほか、引っ越し先がマンションなら何階なのか、エレベーターの有無も必ず伝えておきましょう。上層階でエレベーターがないと、見積もりは変わってきます。
まとめ
引っ越しは、「安かろう悪かろう」に陥らないように注意が必要ですね。見積もりの際に、どんなサービスが含まれているのか、あとで追加料金が発生するものはどんなものかなど、確認しておくことです。口頭だけの約束は守られないこともあるので、書類にきちんと書かれているかどうかのチェックも怠りなくしたいものです。
教えてくれたのは・・・河野真希さん
暮らしスタイリスト・一人暮らしアドバイザー・料理家。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしをつくる、始めるためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な自分らしい暮らしづくりを応援。「料理教室つづくらす食堂」主宰。
取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)