災害時に役立つアウトドア知識・用品を専門家が解説

2019/03/05

自然のなかで非日常を楽しむアウトドア体験は、いざという時に役に立つ知恵にあふれています。アウトドアナビゲーターの渡部郁子さんに、解説してもらいました。

被災時の訓練としても役立つアウトドア体験

過酷な環境で使用できるようにつくられているアウトドアグッズは、壊れにくく運びやすく、長持ちするものが多いですし、テントや屋外でシュラフにくるまれて眠る体験は、四季の気温の変化を肌で体感できるチャンス。

アウトドア体験は被災時訓練としても役に立つものです。今回は、災害時に役立つアウトドアの知恵と、防災用グッズとして用意しておくべきアウトドア用品をご紹介します。

キャンプで体験できること

テントでの宿泊体験は、被災時に役立ちます。テントで宿泊したときに、どんなマットが必要か、どんな寝袋が必要か、どんなランタンが使いやすいか、などを体験できると、自分で用意しておくべき備えを知ることができます。

キャンプ場でテントをレンタルできるところが増えているので、キャンプに行くたびに、いろいろなテントを試してみるといいですよ。

また、キャンプに行く機会が増えれば、テントなどの装備を買いそろえるようにもなるでしょう。テントがあると、避難場所でプライベートを確保できる場合があり、ストレス軽減につながります。

学びの機会となる野外料理でのアクシデント

アウトドアで料理を体験してみると、さまざまな気づきを得られます。風が強くて火力が得られないときや、調味料を忘れて味付つに困ったとき、箸を忘れてどうやって食べようか悩んだとき、水場が遠くて大量の水を使うことができないときなど、何らかのアクシデントがあるたびに、災害時にも役立つような気づきと学びを得ることができるからです。

アウトドアで料理するときは、何かひとつ、不自由なしばりをつくってみることもおすすめ。ゴミを極力出さない料理とか、体が温かくなる料理とか、洗い物が少ない料理など、そのレパートリーがアウトドアをさらに楽しくする一方で、災害時にも役立つ知恵となります。

備えておくと便利なアウトドアグッズ

アウトドアグッズは、災害時に役立つものがたくさんあります。普段のキャンプで使い慣れたものを非常災害用袋の中に入れたり、キャンプグッズをそのまま災害用として備えておけば、いざというときに、使い方がわからないなどの心配がありません。

ここでは、アウトドアグッズのなかで、災害時に役立つものをご紹介します。

アウトドアシューズ

被災時に大事なことは「体力」、「体温」、「水」を温存することです。登山用のシューズは靴底が固く、岩だらけの道を歩いても疲れにくい構造です。なので、がれきの中で長時間過ごす場合などにも役立ちます。防水性が高いものなら、雨の日も靴の中が濡れないので、体温の温存にも効果的です。

エマージェンシーシート

コンパクトでありながら、体温の温存に効果があります。なければ、段ボールや新聞紙などで代用することもできますが、キャンプなどで寒いときにも活躍しますので、災害用にも備えておくことをおすすめします。

アウトドア用コンロ

ワンバーナーのコンパクトタイプなら、備蓄食材といっしょに非常持ち出し袋に入れておきましょう。温かい食事は、体力の回復に効果的です。

大きめのアウトドア用コンロなら、風に強いタイプがおすすめです。ガスといっしょに備え、日頃から使うようにすれば、あまり邪魔に感じません。

アウトドア用非常食

フリーズドライやレトルトパックなどさまざまなタイプがあります。山で手軽に食べられるタイプのものは、そのままでもおいしく、温めればさらにおいしく食べられるものがたくさんあります。いろいろな種類を備えておけば、キャンプのときの料理としても使えるので便利です。

ランタン

懐中電灯やランタンは災害時のために必ず備えておきたいもの。LEDを使用した長時間タイプのものを準備しましょう。小さいものを複数用意したり、いくつか分けて使えるタイプのものを選んだりするのがおすすめ。一家に1台では足りません、最低限、ひとりに1つは確保できる数を用意しておきましょう。

携帯用トイレ

災害時にいちばん問題となるのは、トイレです。電気が止まれば、水洗であっても流せなくなる場合があります。避難所などでは、トイレに長蛇の列ができたり、簡易トイレがあふれ出して使えなくなったりすることも。携帯用トイレを備え、キャンプなどの際に実際に試してみることをおすすめします。

シュラフとマット

あると便利なものとして、シュラフ(寝袋)とマットをおすすめします。避難所では毛布などが配布される場合もありますが、しっかり眠って体力を温存し、眠っている間も体温をしっかり温存するためには、シュラフがあると安心です。

また、マットがあるとないとでは、寝るときの快適度が大きく異なります。しっかり眠れることが大事だからこそ、寝るときの環境を整えておくことをおすすめします。

日頃から、アウトドア体験に触れていることが、被災時訓練につながると私は考えています。キャンプや野外料理を楽しみつつ、その経験をいざというときのために積み上げていくことが、非常時に役立つ知恵となります。しかも、アウトドア体験は子どもにとって魅力的で楽しいもの。お子さんが小さいうちから、ぜひキャンプに出かけてみてください。

◆監修・執筆/渡部郁子
アウトドアナビゲーター、温泉ソムリエ。JFNラジオ「JOYFUL LIFE」ほか、山と温泉と音楽をテーマに「人生を豊かにする情報」をさまざまなメディアで発信中。子どもにやさしい温泉や山、フェス情報など、子どもと一緒に楽しむアウトドアスタイルを提案している。

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