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ユーチューバーには憧れる?子ども自身が語るYouTube事情

2019/05/18

スマートフォンやタブレットで見られて、時間や場所を選ばずに動画コンテンツが楽しめるYouTube。しかし、その手軽さゆえに、子どもが夢中になりすぎることに悩む親も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「YouTube」が大好きという8歳の女の子と、5歳の男の子に、どんな動画を見て、何に夢中になっているのか話を聞いてみました。
(取材・文/みらいハウス 野際里枝)

子どもたちはYouTubeで何を見ているのか?

YouTubeでは1つの動画を見終わると、関連動画が表示され、うっかり有害な動画を見てしまったり、過激な表現を行うユーチューバーの動画に触れてしまうことがあるかもしれません。親としてはそんな心配が大きいところ。

では、子どもたちがどんな動画を見ているのか?まずは2人に「好きな動画」について聞いてみました。


「きょうだいが出てくる動画をよく見ているよ。私と同じ(家族構成)で、お姉ちゃんと弟が登場するのを見ていると、すごく仲よしで、うれしいし楽しい」(8歳・女子)

「(動画に出てくる子どもの)パパとママが出てくるのも見てるよ。家族が一緒におもちゃで遊んだり、旅行へ行ったりしているのを見て、いいなって思う」(5歳・男子)


2人とも「子ども自身が出てくる動画や家族が登場する動画が好きで、よく見ている」との回答でした。関連動画を選ぶときも“同じチャンネル”もしくは「観たことのある子どもユーチューバーの動画」を選んでいるようでした。

子どもたちは、受動的に動画を見ているわけでなく、自分自身で考え、好みの動画を選んでいるようです。

このほかに、男の子はゲーム実況動画を好んで見ているとのことでした。ゲームを解説してくれるので、自分がゲームをプレイしている気分を味わえたり、ゲームの技を知ることができたりして、自分の代わりにゲームを検証してくれる動画を面白いと感じるのだそうです。

ユーチューバーにはやっぱり憧れる?

宇宙飛行士
Choreograph/gettyimages

ここ数年で、子どものなりたい職業ランキングでユーチューバーが上位に挙がるようになりました。YouTubeを見ている子どもたちもやはり、ユーチューバーになりたいと考えているのでしょうか。


「まぁ、なりたいは、なりたい。お友達ともユーチューバーごっこをやったりしてるよ。ユーチューバーはいろんな所に行けていいなって思う」(8歳・女子)

「動画編集とかはやってみたいと思うかな」(5歳・男子)


8歳の女の子は、知育系のお菓子を買うと、必ず弟と“レビューごっこ”をするそうです。動画の中で、いろいろなモノやコトを楽しそうに伝えるユーチューバーに魅力を感じ、憧れる気持ちがあるのでしょう。

一方で「ユーチューバーになるにはどうしたらいいのかわからない」「ユーチューバーの実態がわからない」といった戸惑いや、「ユーチューバーになってみたいけど、いろいろ大変そう」という冷静な発言も2人からは聞くことができました。

子ども自身が考える、YouTubeのメリット・デメリット

ビデオ アーカイブのコンセプトです。
metamorworks/gettyimages

ユーチューバーに対する意外と冷静な認識にも通じる点として、子どもたちが“ただ楽しむため”だけにYouTubeを見ているわけではないこともわかりました。

例えば「逆上がりを練習するときの見本」や「お菓子の作り方や夏休みの自由工作を調べる」といったときに活用することもあるそうです。

さらに8歳の女の子からは「将来、助産師になりたいから、助産師さんの動画を見たことがある。ママと一緒にミルクを飲む方法を探すとか、ちょっとした豆知識を知ることができたり、ミルクのどんなところがいいのかとかが学べるの」というコメントも。

自分が気になることについて気軽に動画で学べるという点において、YouTubeには子どもに優れた自主学習の機会を与えるメリットがあるといえるでしょう。

ただし、YouTubeで知った情報が正しくないこともあるそうで、「この前ユーチューバーが『この動画は間違いでした』って言ってるのがあって、『ホントじゃないこともあるんだなぁ』って思った」とのこと。自主学習として機能する面がある一方で、情報の正確性については子ども自身、不安に感じているところもあるようです。

子どもにとって有害なコンテンツとの接し方は?

また、子ども向けでない動画を過去に見てしまった経験があるかどうかを聞いてみたところ、8歳の女の子は「ある」との返事でした。

子ども向けの動画を見たあとの関連動画に、子どもの姿が映っていたので続けて見てみたところ、サムネイルやタイトルとまったく違う内容のもので、慌てて違う動画を選び直したそうです。


「変な動画は出てこない制限つきの設定にしてあるし、サムネイル画像が子ども向けっぽいのだったから選択したのに…内容が全然違った。でもそれ以来、内容の説明を読んでから見るようにしてる。でも、私より年下の子だったら、見てはダメなものって判断ができないと思う。それが心配」


フィルター機能などを使っていても、防ぎきれないものがあるということを、8歳の女の子は身をもって理解したようです。

どういうときに子どもはYouTubeを見る?見たくなる?

かわいい女の子電話再生
RyanKing999/gettyimages

最後に、なぜYouTubeを見たくなるのか?についても聞いてみました。すると2人から意外にも「やることがなくて、暇だから」との回答が返ってきました。


「保育園や学校では見たくならない。お外で遊びたいから」(5歳・男子)

「家だと、大きな声で遊んだりできないし、ママはごはん作ったりお掃除したりしているし、パパは夜遅いし、やることがない。だから動画を見てる」(8歳・女子)


もちろん、これはあくまで今回話を聞いた2人の意見で、すべての子どもたちが同じ感覚でYouTubeに接しているという結論にはなりません。

しかし、共働きで、平日は子どもたちのごはんとお風呂と寝かしつけで終わってしまう日々を過ごしている筆者はギクッとさせられました。子どもたちはいろいろな遊びを求めているものの、核家族化や両親の共働きなどの理由で環境的にそれができないから、YouTubeを見る選択しかないということなのかもしれません。

そこで、動画を見る以外ではどんなことをしたい?という質問もしてみたところ、「みんなで遊ぶ!」「新しいこと!」「ウノ!」など、元気な声が返ってきました。親子で遊ぶ時間が増えれば、子どもがYouTubeを見る時間は減るのかもしれません。

子どもとYouTube、親たちはどうすればいい?

親自身が「自分が理解できないし、管理できない」ということで、スマートフォンやタブレットなどのデバイスを、家で子どもにまったく触れさせないというご家庭もあるでしょう。

それぞれのご家庭の考え方や方針があるので、どれがよいとか、こうしたほうがいいということはありませんが、これから成長していくうえで、どこかで必ずインターネットに触れ、IT知識がますます生活に必要になってくることは避けられません。筆者としては、YouTubeをはじめインターネットコンテンツとどのようにつきあっていくのか、子どものうちからしっかりと、リテラシーを身につけてほしいと考えています。

実際、今回2人の子どもたちと話をして、子ども自身はしっかりと自分で考えて動画と接していることがわかりました。一方で、YouTubeやインターネットとのつきあいかたについては、子ども任せにせず、「フィルタリング機能を利用する」ことや、「家庭でルールを決める」などの対策が必要であるとも感じました。

また、「ほかにやることがないから、動画を見る」という言葉にはハッとさせられました。時間などの制限ルールを決めるだけでなく、「家庭で楽しいことを見つける・提案する」「家族で遊ぶ・考える・話し合う」などの工夫も、子どもと動画とのよい関係を築くために、親として果たさなければいけない責任のひとつでしょう。

YouTubeに対してどう感じているのか、どういう見方をしているのか、どの家庭でも、子どもの意見を聞きながら、家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。その家庭にとっていちばんいい解決策が見つかるかもしれません。



取材・文/みらいハウス 野際里枝
東京都・足立区にある育児期の女性支援拠点「みらいハウス」のライティングチームメンバーとして、育児にまつわるさまざまな取り組みをしている人や、地域をつなぐ人にスポットを当てて紹介。9歳と5歳の2児の母。

構成:サンキュ!編集部

 
 

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