ベビーカーのシルエットを入れて歩いている男 (父) ベクトル

パパは「育休」取得中!社内で初の育休取得をした男性が感じたこと・見えたこと

2020/02/19

「イクメン」という言葉が、2010年に新語・流行語大賞のトップテン入りをしてから10年。街で抱っこ紐をしている男性や、ベビーカーを押して歩く男性の姿も珍しいものではなくなりました。しかしパパが育休を取得したという話になると、まだ数が少ないように感じます。

今回お話を聞いた千葉県在住のシステムエンジニアHさん(30歳)は育休取得パパのひとり。

2人目の子どもが産まれたことをきっかけに「自分が育児に関わることで、妻の負担を少しでも減らせないだろうか」という思いから、約半年間の育児休暇に踏み切りました。男性の育休の実情について、お話をうかがいました。

(取材・文/みらいハウス 福井良子)

育休取得のきっかけは、妻からのひと言

――Hさんが育休を取得した経緯について聞かせてください

Hさん 現在3歳の長女は、生後数カ月間ずっと夜泣きがひどくて、僕も妻もとにかく眠れない日々が続いて……当時は心身ともにボロボロの状態でした。そんな経験があったので、長男を妊娠したときに妻から「育休を取ってもらえないだろうか」と切り出してきたのです。

2人目となれば、産まれたばかりの赤ちゃんのお世話に加えて、上の子のお世話も加わるわけだし、下の子の離乳食が始まれば、食事づくりの手間も増えてくる。それらすべてを妻だけが担うのはあまりにも大変なことです。だから、僕も妻の提案に乗って、育休取得を真剣に考えるようになりました。

まず、会社で男性でも育休が申請できる制度があるのかどうかを調べ、上司と人事担当者に相談。結果、半年間の育児休暇の希望を認めてもらいました。ちなみにその過程で、僕が社内で初めての男性育休社員である、という事実も判明したんです。


――「社内で初の男性育休取得」と聞いて、どう思われましたか?

Hさん 「もしかして僕が第一号なのでは?」という予感はあったのですが、実際に聞かされたときには「ほんとに初めてなのか!」と驚きました。確かにかつては、残業や休日出勤も当たり前という風土の職場でしたが、ここ数年は週1回の「ノー残業デー」を設けたり、月の残業時間も一定の限度を超えないように管理を徹底したりと、働きかたの見直しも行われています。

それでも育休取得というのは、それぞれの事情があったりハードルが高かったのでしょう。僕よりも前に、育休取得を検討していた男性社員はいたそうなのですが、業務との兼ね合いで断念したそうですし。

育休生活がスタート!家事、育児の分担はどうする?

男性 (父) のシルエットの肩の上に座っての子供 (息子) ベクトル
Nosyrevy/gettyimages

――現在育休中ですが、1日の流れはどのようなものですか?

Hさん もともと料理は僕の方が得意だったので、主に食事づくりを担当しています。まず家族の朝食はご飯と味噌汁、それにシリアルとヨーグルトを合わせて栄養バランスもよく、簡単に出せるものを用意しています。

長女は日中、保育園に通っているので、妻が園に送り出した後、その間に夕食づくりを中心に行います。基本的には、冷蔵庫にある食材をチェックして、つくれそうなものや食べたいものを何となく思い浮かべて、2~3日分をつくり置きするという感じです。長男の離乳食は、妻が大半は妻がつくりますが、8倍粥など少し手間がかかる作業は僕がやることもあります。

そして夕方になると、妻が長女をお迎えに行き、帰宅後は、妻が長女と、僕が長男といっしょにお風呂に入るようにしています。

家の中の掃除や洗濯物を干したり、たたんだりといった作業、長男のおむつ替え、夜間のミルクあげなど、細々した家事や育児に関しては、とくにどちらが担当と取り決めをせずに、空いている時間にどちらか気がついた方がやるといった具合にざっくりと分担しています。


――育休明けの家事・育児はどのように分担する予定ですか?

Hさん どのような家事を負担に感じるか、妻に尋ねたところ「買い物と料理」という答えが返ってきました。育休復帰後も、引き続き保育園の送迎は妻が担当することになるので、僕は仕事帰りに買い物をして、平日早く帰宅できるときや休日に食事をつくり置きして、少しでも妻のサポートをしていきたいと考えています。

長女のときもそうでしたが、子どもの急な発熱など突発時の対応については、妻が7割、僕が3割ぐらいの目安で早退や休暇などを取る予定です。僕の会社でも月に1~2日程度は、事前に申請すれば在宅勤務ができるので、インフルエンザや胃腸炎など、どうしても数日間の自宅での付き添いが必要なときには、そのような制度も利用しながら乗り切っていこうと思います。

育休を取ってみて感じたこと、見えたこと

シルエット ベクトル家で子供連れの家族
Nosyrevy/gettyimages

――実際、育休を取られて奥さまの反応はいかがでしたか?

Hさん よく「長女に対して優しくなった」と妻からは言われます。以前は、泣いているときにあやし方やどう接していいかがわからずオロオロしていたのですが、今は泣いているときにも寛容でいられるようになりました。仕事に追われていないという精神的な余裕もあるせいかもしれませんが。

僕が子どもの頃は「子どもが幼い頃は祖母や母親が中心に世話をして、ある程度、子どもが成長したらやっと父親が相手をする」という風潮や価値観が強かったように感じますが、今はもう違うと思いますね。子どもが小さくて、お世話が大変な時期から父親が育児に関わるということは、妻のつらさや大変さに寄り添って共感できるという意味でも非常に大切なことだと感じています。

一方で、育休を取ろうか迷っている男性が「あなたに家にいられると逆に迷惑!」「あなたが仕事を休むと収入が減って家計が苦しくなる」と奥さんに言われた、というエピソードも聞いたことがあります。

確かに女性の立場からするとふだんの家事のペースを乱されるとか、実際に収入が減るなど、複雑な気持ちがあるかもしれませんし、男性もそのように言われてしまうと、尻込みしてしまうことが多いと思う。でも、たとえ料理ができなくても、ミルクであれば夜間の授乳を妻の代わりにやることもできますし、おむつ替えをするなど、できることはたくさんあるはず。

あきらめずにもう一歩踏み込んで「自分に何ができるか」を考えて、夫婦で納得し合いながら、いっしょに子育てに関われるようになるとよいのかもしれませんね。

◇◇◇

子どもと過ごすことは、お出かけやイベントなどの楽しいことばかりではありません。とくに子どもが産まれて間もない頃は、身の回りのお世話に何かと手がかかりますし、イヤイヤ期に入れば、言うことを聞いてくれない子どもの対応に手を焼くことなども頻繁です。

Hさんも育児中心の日々を送るなかで、改めて育児の大変さを噛み締めつつも、子どもと密に接するようになったことで関係がよくなったことを、うれしそうに語ってくださいました。

ただ、それぞれの仕事の状況や家庭の事情などで夫婦そろっての育休取得が叶わないケースも現実的には多いと思います。まずは、育児の大変な部分をパートナーと共有してみること。そこから、夫婦の関係、そして子どもとの関係に深みが増すことにつながるかもしれません。


◆取材・文/みらいハウス 福井良子
東京・足立区にある育児期の女性支援拠点「みらいハウス」のライティングメンバー。キャリアコンサルタントや不妊カウンセラーの資格を持ち、女性のキャリア相談や、不妊経験のあるママたちの支援などに取り組んでいる。1児の母。

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