「うまくいかない」と夫にも言えなかった。保育士は子育てのプロというプレッシャーに潰されそうになったとき
2024/02/01
さまざまな境遇の中で、自分らしい働き方を模索している女性を取材するこの企画。
3児の母で保育士の東智子さん（仮名・38歳）は、自身の子育てと仕事の両立に悩みながらも、無理なく続ける方法を見つけ出そうとしています。プライベートでの工夫やこれからやりたいことについても聞きました。
家事も育児もこなせる！というプライドが、2人目が生まれて崩壊
編集部：お子様が3人。育児のプロとはいえ大変なことも多いのでは
東：1人目のときは、家事も完璧に近い形でこなしていました。でも、2人目で崩壊して。
編集部：家事育児はワンオペだったのですか？
東：保育士のプライドもあって、できると思っていたんです。でも、友人から夫に理解してもらったほうがいいとアドバイスをもらって。「一度、昼間の一番大変な時の様子を動画にとって見せろ」って言われたんです。
実は家も散らかってるし、子どもも騒いでて大変だよ、いつもこんな状態だったんです……みたいな。それを見た夫はものすごく驚いてました。
子どもたちは7時とかに寝ちゃってて、そのあと全ての家事を終えて、家も片づけた後に夫は帰ってきてたので、落ち着いて優雅に過ごしてるなって思っていたみたいなんです。
それ以来、「しんどかったら言ってね」といつも気遣ってくれるようになりました。
編集部：それまで、ご主人は育児の大変さが想像できていなかったんですね。
東：私も自分でちゃんとしなきゃと思っていました。1人目はすごく育てやすかったので、割とスムーズになんでもできてたんですけど、2人目が男の子で甘えん坊だったこともあって、リズムが狂ってしまって、うまくいかないと思っていたけど、言えなくて。
1人目はできたのに2人目はできないっていう不甲斐なさと、自分がしんどくなっててうまくいってなかったみたいな感じです。3人目はまた楽しく子育てできてきているので、それもこれも、2人目である息子のおかげだと思っているんですけどね。
「ひとりの時間」は予約制
編集部：忙しい中で、リラックスする方法も見つけましたか？
東：1人時間を絶対確保するって決めていることかな。
夫と一緒にカレンダーに予定を入れながら、「ここのすき間時間いただけませんか」っていう話をするんです。夫が「夕方から、俺出かけます」って時は、「じゃあ、私、ここの午前中ちょっと1人でお茶させてください」とか、トレードします。
家で1人になるのも落ち着くから、夫が子どもたちを連れて出かけてくれたり、その逆もあったり。1人時間を2人で予約するんです、お互いに。
母親サポートがライフワーク。時短でもできることから少しずつ
編集部：お仕事で、これからしていきたいことはありますか？
南：もっとお母さんをサポートしたいです。
今は時短勤務でなかなかゆっくりお話ができなくて。育児ノートとかでやりとりはするんですけれど、もっとお母さんの気持ちも聞きたいし、子どものいいところや素敵だったこととか、もっと伝えたいなと思うんです。
ゆっくり話すことでお母さんたちの気持ちも和らいで話せることもあるけど、やっぱりなかなかたまにしか会わない先生には言いづらいかな、と思うし。
時短だとなかなかできないのはジレンマです。
編集部：育休中に資格を取ったりされていますが？
東：時短でもできるお母さんサポートって何だろうと思って、カラーセラピストを取ってみたりとかしました。
色味で人の気持ちをちょっと良くしたりとか、落ち着かせてあげられる。騒がしかったらちょっとブルーを貴重にして落ち着かせてあげるとか、暗い気分の時はちょっと明るい色を、みたいなことをちょっとでもできたらいいのかなって思って勉強しています。
編集部：お母さんのサポートが、東さんにとってのライフワークなんですね。
東：保育園での仕事に拘らず、お母さんたちをサポートできるようなイベントとかがあったらお手伝いできたらいいなと思います。
例えばオンラインのコミュニティにもちょっと興味があります。お母さんたちが実際に何に悩んでいてどんなことが課題なのかもまだ少しわかっていないので、そういうのを聞いたりしたいなとか。
保育、母親サポートというライフワークを見つけた東さん。理想と現実に折り合いをつけながら、できることを少しずつ着実に進めているようです。
【話を聞いた人】
●東智子さん（仮名・兵庫県・38歳）
夫、長女6歳、長男4歳、二男0歳の5人家族。結婚7年目。高校生の時の障害児施設ボランティアを経験したことから保育士を志す。育休などを挟みながら現在の保育園は8年目。
○お仕事データ
勤務形態 正社員
勤務時間 時短勤務（９:00～16:00）※現在育休中
年収 約300万円
お仕事内容 保育園教諭
イラスト／すぎやまえみこ 取材・文／尾崎真佐子 企画／サンキュ！コメつぶ編集部
