【12月のアクション】芸人/ゴミ清掃員マシンガンズ滝沢さんインタビュー「清掃員にやさしいゴミは地球にやさしいゴミ」
2020/12/01
世界が抱えるさまざまな課題を地球に暮らす私たち皆で解決し、サステナブル(持続可能)な社会をつくろう。「SDGs(エスディージーズ)」とは、地球の明るい未来をつくるための約束。SDGsを考えるきっかけになる、今月のアクション「つくる責任 つかう責任」をご紹介します。
◎What's SDGs◎
国連が定めた、地球の明るい未来のための17の目標。
「貧困をなくそう」「不平等をなくそう」「地球温暖化など気候変動への具体的な対策をしよう」など、これからの世界が解決すべき17の目標。2030年までの達成をめざしています。
清掃員にやさしいゴミは地球にやさしいゴミ
妻の妊娠をきっかけに、定収入を得ようとゴミ清掃会社に就職した滝沢さん。2児の父になった今もゴミ収集の仕事と芸人活動を両立しています。そんな滝沢さんに特別インタビュー。「地球にやさしいゴミって、どんなゴミですか?」。
<教えてくれた人>
芸人/ゴミ清掃員 マシンガンズ滝沢さん(写真左)
1976年、東京都生まれ。1998年に相方の西堀亮さんとお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。「THE MANZAI」2012、2014年認定漫才師。2012年、芸人を続けながらゴミ清掃会社に就職。ゴミ収集中の体験や気づきを発信したツイッターが人気を集め話題に。近著は『やっぱり、このゴミは収集できません ~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと』(白夜書房)。妻は漫画家の滝沢友紀さんで、小2の男の子、4歳の女の子の父。10月から環境省のサステナビリティ広報大使に就任。
美人ゴミって?
滝沢さんによる命名の「美人ゴミ」は、ゴミを集める清掃員にやさしいゴミ。どんなゴミが美しい?
「水けがきられた生ゴミ」
水けがきられていない生ゴミの水分「ゴミ汁」は、僕ら清掃員の最大の悩みのタネです。ゴミ袋が破裂し、顔にゴミ汁を浴びることも。ゴミ汁はとにかく、においがとれにくいんです。ゴミに出す前に、水けをギュッと絞っていただけるとありがたいですね。このひと手間でゴミの体積もぐっと減りますし。
「危険な物が取り除かれているゴミ」
刃物や割れた食器は別の袋に入れて、袋に「危険」と書いていただければ、清掃員のケガが回避できます。とがった竹串もそのまま捨てられていると、回収時にケガをすることがあります。ペタンコにつぶした空のティッシュの箱に入れて捨てられているのを見たときは、「お見事!」と感動しました。
「袋がパンパンになるまで詰め込まれていないゴミ」
パンパンに詰め込んでゴミ袋の数を減らすより、少し余裕があるくらいで口を縛っていただくのがありがたいですね。パンパンだと清掃車に入れたときに破裂し、清掃員がゴミを浴びるんです……。また、口の部分に余裕があるとパッとつかめるので、清掃員の仕事がだいぶ楽になるんですよ。
日本のゴミ埋め立て場のキャパは残り20年。ゴミの減量化は、僕たちみんなの責任
芸人の僕は売れない時代がほとんどで、生活のためにゴミ清掃員になりました。ゴミを集めるなかで、たくさんの現実を知りました。日本のゴミの埋め立て場は、あと20年しかもたないといわれていて、その先どうするかほとんど決まっていません。でも多くの人は、そんなことを気にせずに、毎日たくさんのゴミを出していますよね。清掃員になる前の僕もそうでした。
このまま何も考えずにゴミを出し続けていたら、地球も、子どもたちの未来も大変なことになってしまいます。ゴミをきちんと分別して、量を減らすこと。それは、だれもがすぐにできるSDGsのアクションです。特に、分別の仕方は誤解をしている人も多いので、住んでいる自治体のパンフレットやHPを確認してみてください。「生ゴミは水分を絞ってから捨てる」「捨てるときのことを想像して、本当に必要な物だけ買う」など、ほんの小さな心がけがゴミの減量化につながります。
ゴミ収集がある日の滝沢さんの24時間
5:00 起床。自分で朝食を準備し1人で食べる
5:30 自転車で会社へ
6:30 会社到着
6:40 清掃車出発
8:00 ゴミ収集スタート。収集→焼却工場を6回繰り返す。間に工場の休憩室でべんとうを食べる。ゴミ袋約5400個を回収
16:00 1日の給料を受け取り退社。自転車で帰宅
16:45 帰宅。シャワー
17:00 息子を学童に迎えに行く
18:30 妻、子ども2人の4人で夕食
19:15 片づけ・皿を洗う
20:00 子ども2人を風呂に入れる
20:45 息子の宿題をみる
22:00 子ども就寝。執筆など
24:00 就寝
Q ごみの分別はなぜ大切?
A ゴミは「可燃」「不燃」の2種類だけで、あとはすべて資源です。分別をすることでゴミを減らせ、また資源をリサイクルして有効活用できます。リサイクルできるものはゴミと思わずに、大切な資源と思って、分別するようにしましょう。
Q ゴミ清掃員になってうれしかったことと、ざんねんに思ったことは?
A うれしい●清掃員が仕事をしやすいように、ゴミをきれいに分別して小さくまとめて出していただいたり、収集のときにあいさつをしてもらえること。僕らが乗っているゴミ収集車に手を振ってくれる子もいます。誇らしい気持ちになりますね。
ざんねん●まだ食べられる食べ物が捨てられていること。お米が大量に捨てられているのを見たときは生産者の顔を想像し悲しい気持ちに。食べきれる量だけ買う、そして今ある物を食べきることをふだんから心がけることで、捨てられる食べ物を救えます。
参照:『サンキュ!』2021年1月号「Find your SDGs」より。掲載している情報は2020年11月現在のものです。撮影/久富健太郎(SPUTNIK) 取材・文/工藤千秋 イラスト/ macco 編集/サンキュ!編集部
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