気づいたときには失明の危機⁉眼科医が教えるコンタクトレンズをつけたまま寝てはいけない理由
2024/07/07
コンタクトレンズをしたまま寝てしまって、翌日の朝、目の不快感に悩まされたことはありませんか。
コンタクトレンズをつけたまま寝てはいけない理由と、起こり得る目のトラブルなどについて、医療法人社団久視会いわみ眼科の理事長である岩見久司氏に聞きました。
- Q.コンタクトレンズをつけたまま寝てはいけないとされるのはなぜですか
- Q.コンタクトレンズをつけたまま寝ると、どのような目のトラブルが起こるのでしょうか
- Q.コンタクトレンズをつけたまま寝てしまったときの対処法はありますか
- Q.コンタクトレンズをつけたまま、昼寝をしてもいいですか
Q.コンタクトレンズをつけたまま寝てはいけないとされるのはなぜですか
コンタクトレンズをつけたまま寝てはいけないとされる理由は、目の表面にある角膜(黒目)が酸欠を起こすからです。
角膜は酸素を必要としますが、酸素を送るための血管がありません。そのため、通常は涙の中にある酸素を取り込んでいます。
コンタクトレンズ使用時は、裸眼のときよりも角膜の涙が供給・交換されにくい状態にあります。
起きている間は瞬きによって涙を行き渡らせることができますが、眠ってしまうと瞬きがなくなり、角膜に十分な涙を供給・交換ができなくなります。その結果、角膜の酸素も不足し、酸欠を起こすことになります。
Q.コンタクトレンズをつけたまま寝ると、どのような目のトラブルが起こるのでしょうか
角膜が酸欠を起こすことにより、角膜びらん(角膜に傷がつくこと)や、角膜感染症(角膜にバイキンがつくこと)が起こります。
角膜びらんは、角膜の皮がむけて傷ついている状態で、痛みや多量の涙を伴います。角膜についた傷が多いと、視力低下を引き起こし得ます。
角膜感染症は、細菌ないし寄生虫(アメーバ)が角膜に取りついて炎症を起こす病気です。強い痛みと角膜の濁りが現れ、最悪の場合には失明することもあります。
怖いのは角膜びらんが慢性化し、その状態に慣れてしまって、目の異常に気づけないケースです。知らないうちに角膜びらん(傷)から角膜感染症を起こし、気づいたときには症状がかなり進行しているということもあります。
Q.コンタクトレンズをつけたまま寝てしまったときの対処法はありますか
コンタクトレンズをつけたまま寝ると、目とコンタクトレンズが張りつくこと(固着)があります。むりやり取ろうとすると、角膜の皮ごとはがれてしまう危険性があります。まずは人工涙液などの水分を入れて、1分ぐらい待ってから外すのがよいでしょう。
Q.コンタクトレンズをつけたまま、昼寝をしてもいいですか
コンタクトレンズをつけたままの昼寝は避けましょう。どうしても仮眠が必要な場合には、短い時間に留めてください。また、少しでも目への負担が軽減するように、酸素透過性がよい素材の、ワンデーのソフトコンタクトレンズを使うといいでしょう。
Q.寝るとき以外で、コンタクトレンズを外した方がいいシーンはありますか
基本的に、プールやお風呂、サウナはコンタクトレンズを外して入ります。
プールやお風呂の水には雑菌が存在しており、きれいとは言えません。プールに入っている薬品も、コンタクトレンズにはよくありません。サウナでは目に汗が入ることで、目やコンタクトレンズのトラブルが引き起こされる可能性もあります。
眼鏡でそれらの活動をするのがむずかしい場合は、ワンデーのソフトコンタクトレンズか、ハードコンタクトレンズを使用してください。
教えてくれたのは・・・
取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部