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視力低下や失明を招く重大な病気のサインかも⁉「目の充血」を放置してはいけない理由

2024/07/04

「目の充血」は私たちにとって身近な症状ですが、視力低下や失明に繋がる病気が原因で起こることもあるとご存じですか。

目の充血の原因や関連する病気などについて、医療法人社団久視会いわみ眼科の理事長である岩見久司氏に聞きました。

Q.目の充血はどのようにして起こるのでしょうか

充血とは、結膜という白目の粘膜の血管が膨らんでいる状態を指します。目の血管が拡張してはっきりと浮かび、赤い筋が走っているように見えます。目の血管の拡張は、白血球やリンパ球などの免疫が高まっているとき、傷を治そうとしているときなどに起こります。

Q.目の充血には、どのような原因がありますか

充血の原因には、ばい菌やウイルス感染による感染性結膜炎・アレルギー性結膜炎・ぶどう膜炎・ドライアイ・黒目(角膜)の傷などがあります。

原因の特定は、基本的に目やにによって行います。ばい菌やウイルスが原因の感染性結膜炎では、黄色い目やにが大量に出ます。涙が出ることもあります。

アレルギー性結膜炎の充血では、白い目やにが出ます。この場合の目やには、糸を引くような粘りの強いものです。アレルギーというと目が痒くなるイメージがありますが、痒みを伴わない場合もあります。

ぶどう膜炎が原因の充血は、免疫の異常で自分の白血球が眼の中を攻撃することで起こります。ぶどう膜炎による充血では痛みを伴ったり、光を見ると目が痛むと感じたりするケースがあります。

ドライアイで目が傷つくことでも起こる充血もあります。ドライアイや目の乾きは、自覚症状がない場合も多いので注意が必要です。また、気づかないうちに黒目(角膜)に怪我をしていて、それが原因で充血しているというケースもあります。

Q.目の充血を放置すると、どのような健康トラブルが起こりますか

眼科検査画像、アイクリップアート、虫眼鏡検査
takasuu/gettyimages

充血の原因がばい菌・ウイルスの感染性結膜炎だと、視力の低下が起こり得ます。特にウイルス性結膜炎は、角膜が濁り大幅な視力低下を招くことがあります。

ウイルス性結膜炎は非常に人に移りやすい病気でもあります。中でもアデノウイルスによる流行性角結膜炎は感染力が強く、学校保健安全法で出席停止が規定されているほどです。大人の方がアデノウイルス結膜炎と診断されたときも、人に移してしまう可能性も考え、出勤の可否などを周囲と相談したほうが良いかも知れません。

アレルギー性の充血では、アレルギー性結膜炎が原因となって角膜に傷がつくことがあります。ぶどう膜炎は失明に至る危険性もありますので、充血があれば我慢せずに眼科を受診してください。

Q.目の充血で病院にかかる目安を教えてください

基本的に、充血があれば病院を受診するのが望ましいです。ご自身で軽症だと思われた場合でも、様子を見るのは1日程度に留めましょう。次の日以降も同様の症状が続くなら、なにかしらの異常があると考え眼科にかかってください。

充血と共に大量の目やにと涙が出れば、感染力の強い感染性結膜炎であると考えられます。必ず眼科を受診しましょう。

充血の原因がアレルギーやドライアイの場合には、自宅でできるセルフケアを眼科医と相談するのも大切です。

Q.充血以外で目が赤くなることはありますか。また、その原因はなんですか

充血に似た症状に出血(結膜下出血)があります。結膜(白目の粘膜)の下に、血管が破れて出た血が薄く溜まっている状態です。充血では赤い血管が浮かぶのに対して、出血はベタッと色を塗ったように赤く見えます。目の結膜は薄くほぼ透明であるため、出血量が少なくてもとても目立ちます。出血(結膜下出血)の原因は加齢や高血圧などで、40代以上の方に多く見られます。

出血は怪我をした記憶や、見えにくさや違和感などがなければ、少し様子を見てもいいでしょう。繰り返す場合は結膜弛緩という白目の粘膜の緩みが関係しているかも知れません。その場合は、点眼や手術で治療を試みることもあります。

自分では充血と出血の見分けがつかないときや、心配や不安があるときは眼科を受診しましょう。


教えてくれたのは・・・

岩見久司さん

医療法人社団久視会 いわみ眼科理事長。1日100人を超す外来をこなしながら、若手医師の教育や医師・医療関係者向けの講演も頻繁に行っている。加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などを得意とする網膜内科医として、現在急増している網膜の病気に繋がる可能性がある小児の近視治療にも積極的に取り組んでいる。令和5年度より、「100歳まで見える目」をたくさんの方が持てるように啓蒙活動を展開している。大阪市立大学医学部卒、眼科専門医、医学博士、兵庫医科大学非常勤講師。

取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部

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