食中毒は夏だけじゃないの?じつは多い冬の食中毒を解説
2025/01/31
食中毒といえば、夏の暑い時季に起こるものと思うかもしれません。でも、実は冬の食中毒も決して少なくはありません。
そこで今回は冬に発生しやすい食中毒の原因とその注意点について、暮らしスタイリストとして料理をはじめ、家事全般の情報を日々発信されている河野真希さんに伺いました。
食中毒は夏だけじゃないの?
食中毒の原因となる主なものに細菌とウイルスがあります。高温多湿な日本の夏は細菌の繁殖が活発になるため、細菌性の食中毒が起こりやすい一方で、冬はウイルス性の食中毒が多く発生します。中でもノロウイルスによる食中毒は、年間の食中毒患者数の約半分を占めており、その多くは冬に起こります。
また、魚介類に寄生するアニサキスなどによる寄生虫からの食中毒、きのこやふぐなどによる天然毒の食中毒、化学物質による食中毒は、季節を問わず発生するものなので、決して夏だけ注意すればいいというものではありません。
今回は特に冬に注意するべき食中毒の原因について、3つ紹介します。
1.ノロウイルス
11~3月といった寒い時季に発生することが多いのがノロウイルスによる食中毒です。低温や乾燥を好み、熱にも強く、感染力も高いため、学校や保育園、飲食店などで集団感染が起こり、ニュースになることもあります。特に子どもや高齢者は重症化することもあるので、注意しなければいけません。
手洗いはこまめに行い、特にトイレの使用後はていねいに行うようにしましょう。また、ノロウイルスは85℃~90℃で90秒以上の加熱で死滅します。食材はしっかりと加熱して食べましょう。腹痛や下痢などの体調不良があるときに、料理をしないのはもちろん、食材や調理器具は触らないように。また、感染者の排せつ物や吐しゃ物の処理にはマスクやゴム手袋をし、塩素系消毒剤で消毒するようにしましょう。
アニサキス
魚介類に寄生するアニサキス。刺身など生で魚介類を食べたときに、その幼虫が胃壁や腸壁に刺入することで起きる食中毒です。サバやアジ、さんま、かつお、イワシなどの魚介に寄生します。冬にかけて旬を迎える魚が多いため、比較的冬にも多く発生します。
アニサキスは内臓に寄生していますが、魚介類の死後に筋肉に移動するといわれています。内臓を生で食べないこと。できるだけ鮮度の高い魚を選ぶ方が安心です(内臓は鮮度に関係なくリスクがあります)。また、60度以上での1分以上の加熱、マイナス20度以下での24時間以上の冷凍で死滅します。塩漬けや酢締め、醤油やわさびなどでは死にませんので、注意してください。
カンピロバクター
細菌性の食中毒は夏に多く発生しますが、冬でも注意したいのがカンピロバクターです。動物の腸内に生息する細菌で、鶏肉に付着していることが多いといわれています。
一般的に細菌は菌量が少なければ食中毒になりにくいとされていますが、カンピロバクターは少ない菌でも感染し、発症します。そのため、夏はもちろんのこと、菌が増殖しにくい冬でも食中毒が起こっています。
生肉を使った調理器具はほかのものと分けるなどして、菌をつけないことが大切です。肉は加熱調理し、中までしっかりと火を通すようにしましょう。
また、生肉を洗うのは要注意。洗うだけで食中毒菌を落とすことはできないだけでなく、飛び散った水などで調理器具や食材を汚染してしまうことがあります。肉は調理前に洗う必要はありません。
◆監修・執筆/河野 真希
暮らしスタイリスト・一人暮らしアドバイザー・料理家。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、はじめるためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な自分らしい暮らしづくりを応援。 『料理教室つづくらす食堂』主宰。