サーモン弁当

「チャーハン症候群」で死亡したケースも…夏のお弁当に入れてはいけない食材・おかず

2024/07/27

夏は食中毒が心配な季節です。近年の暑さは厳しさを増しており、とくに屋外を持ち運ぶことがあるお弁当は、より気をつけなければいけません。

そこで今回は食中毒を防ぐために、夏のお弁当に入れるのは避けたほうがよい食材やおかずについて、暮らしスタイリストとして料理をはじめ家事全般の情報を日々発信されている河野真希さんにお伺いしました。

暮らしスタイリスト・一人暮らしアドバイザー・料理家。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、は...

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半熟卵

半熟卵を木の板で隔離した皿で提供 健康食品の側面図
Waqar Hussain/gettyimages

卵には食中毒菌のひとつであるサルモネラ菌が付着していることがあります。サルモネラ菌は他の食中毒菌と比べて少量の菌でも発症することがわかっており、小さなお子さんや高齢者はとくに注意する必要があるといわれています。

サルモネラ菌は75℃で1分以上の加熱で死滅しますが、半熟の場合はまだ残っていることも。卵焼きやゆで卵、目玉焼きなどをお弁当に入れる場合は、中心までしっかりと加熱するようにしてください。

また、サルモネラ菌は、10℃より低い温度で保管していれば増殖が抑えられます。購入した卵はできるだけ早く冷蔵庫に入れてください。卵の賞味期限は生食できる期限とされていますが、お弁当にいれる場合は加熱調理をするとしても、できるだけ賞味期限内のものを使うのが安心です。

レタス

日本の美味しいランチ
hanapon1002/gettyimages

お弁当のおかずの仕切りや彩りとして、レタスなどの生の葉物野菜がよく使われています。

食中毒菌は水分が多いと繁殖しやすくなります。お弁当箱の中の水分はできるだけ少なくするのが大切ですが、生野菜は水分が多い食材です。暑さや他のおかずに含まれる塩分などによって水分が出て、食中毒の原因になるだけでなく、お弁当を食べる頃にはしなびてしまい、味や見た目が悪くなることも。夏はレタスやきゅうりといった生野菜は避けたほうが安心です。

緑の食材をお弁当に使いたいのであれば、青じそがおすすめ。青じそはしなびにくく、また抗菌作用もあるため、食中毒予防につながります。また、ミニトマトもお弁当に使えますが、ヘタは必ず取って、よく洗い、水分をしっかりと拭いてから入れてください。

炊き込みご飯・混ぜご飯

マグロと生姜で炊いたご飯
Promo_Link/gettyimages

お弁当の食中毒対策には、加熱調理をしたもの、また濃いめの味つけのものがいいとされています。そのため、加熱調理されていたり、味つけもしっかりされている炊き込みご飯や混ぜご飯はお弁当に入れても問題ないと思われがちですが、実は白飯よりも傷みやすいので、注意が必要です。

炊き込みご飯や混ぜご飯は、具材が水分を多く含んでいたり、味つけの塩分で具材から水分が出やすかったりします。また、具材そのものに食中毒菌が付着していることもあるため、多くの具材を入れれば入れるほどそのリスクも高まります。

白いご飯のままでは味気ない、ものたりないのであれば、ふりかけや漬物などを用意するのが安心です。

炒飯・焼きそば・パスタ

ナシゴレン
KPS/gettyimages

「チャーハン症候群」という言葉を聞いたことはありますか。海外のSNSを中心に話題になり、常温に放置した炒飯を食べたことによる食中毒で死亡した事例から生まれた言葉です。

このときの原因となったのがセレウス菌。ご飯や麺類といった穀物を使った食品で起こる食中毒の原因菌のひとつで、自然界に広く存在する菌のため、食材に付着するのを防ぐことは容易ではありません。繁殖に適した温度が25~35℃となり、夏の常温はとても危険。さらに、セレウス菌は芽胞という特殊な殻を作り、そうなると100℃で加熱しても死滅しません。職場などに電子レンジがあって、「食べるときに再加熱すれば大丈夫だろう」と思うかもしれませんが、セレウス菌の芽胞には効果がありません。

炒めたり、ゆでたりといった加熱調理をした炒飯や焼きそば、パスタでも、作り置きしたものを持っていくのは避けたほうが安心。麺類をお弁当に持っていきたいときは、うどんやそうめん、そばなどをしっかり冷やしたものなら安心です。ただし、ゆでたあとに水気を切り、保冷剤をつけて冷やした状態で持っていくようにしましょう。

ポテトサラダ

日本のポテトサラダ。
KPS/gettyimages

ポテトサラダは子どもも好むため、弁当に入れやすいおかずですが、実は傷みやすく、夏には控えたいおかずのひとつです。

まず、きゅうりや玉ねぎといった生の野菜が入っていることが多く、水分が出やすいこと。また、じゃがいもなどのでんぷんを多く含むいも類は、雑菌が繁殖しやすく傷みやすい食材とされています。さらに、塩分を含むマヨネーズは食材から水分を引き出してしまうため、食中毒が起こりやすくなります。

ポテトサラダと同様にマヨネーズを使うマカロニサラダ、カボチャサラダ、コールスローサラダなども夏はお弁当に入れないほうがいいでしょう。

ハム・チーズ・ちくわ

弁当
Chiemi Kumitani/gettyimages

ハムやチーズ、ちくわなどはそのまま食べてもおいしく、切るだけでも入れられるため、お弁当に便利な食材です。ただし、そもそも冷蔵庫で保存されるチルド食品のため、常温で長く置けば、食中毒菌が繁殖する危険があります。夏のお弁当に入れる場合は、加熱してから入れると安心です。

煮物

yamasan/gettyimages

お弁当に絶対に入れてはいけないというものではありませんが、注意したいのが煮物です。煮物は出汁などで煮ているため、汁気が多いのが注意点。水分が多いものは食中毒菌を繁殖させやすいため、汁気をしっかり切り、さらにキッチンペーパーに乗せて水分を吸わせた上でお弁当箱に詰めると安心です。また、きんぴらごぼうなどの炒め煮して汁気の少ない煮物はお弁当にも向いています。

なお、煮物やカレー、シチューといった煮物や煮込み料理は、ウェルシュ菌による食中毒につながる心配があります。ウェルシュ菌はセレウス菌と同様、100℃で加熱しても死滅しない芽胞を作る食中毒菌で、45℃前後で最も増殖するため、できるだけ早くさますことが大切です。多めに作られた煮物やカレーなどはさめにくく、常温に置いているうちに菌が増殖してしまい、再加熱しても死滅しません。特に前日に作って置いておいたものをお弁当に入れる場合は要注意。暑い季節は作り置きのものをお弁当に入れるのは避けたほうが安心です。



◆監修・執筆/河野 真希
暮らしスタイリスト・一人暮らしアドバイザー・料理家。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、はじめるためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な自分らしい暮らしづくりを応援。 『料理教室つづくらす食堂』主宰。

 
 

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