腹痛を持つ若い女性

よかれと思った「熱湯消毒」でリスク増!?意外とやりがちだけど、じつは食中毒の危険性が高い行為

2021/07/25

気温が上がってくると心配になるのが食中毒。衛生面に気をつけて料理をしているつもりでも、日頃よくやりがちな行動の中に意外な落とし穴があることも。

そこで今回は、暮らしスタイリストとして料理を始め家事全般の情報を日々発信されている河野真希さんに、食中毒の危険を招きかねない料理中の注意点についてお伺いしました。

暮らしスタイリスト・一人暮らしアドバイザー・料理家。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、は...

>>>暮らしスタイリスト 河野 真希の記事をもっと見る

危険な行為1:生肉を調理前に洗う

水の下で冷凍鶏肉を解凍します。
Korneeva_Kristina/gettyimages

料理をする前の食材は何でも「洗った方がキレイになるし、衛生的でしょ」と思うかもしれませんが、生肉を洗うのはNG。スーパーや精肉店などで購入する肉は、すでに衛生的に処理されており、汚れや菌を落とすために洗う必要はありません。

洗うことで旨み成分まで流出してしまう可能性があるうえに、肉の表面についた食中毒菌がシンクやワークトップなどに飛び散り、ほかの食材や調理器具を汚染してしまうことがあります。

特に鶏肉は、カンピロバクターという食中毒菌を保有していることが多いです。少ない細菌数でも腹痛、下痢、嘔吐、発熱などの食中毒を引き起こすことで知られており、カンピロバクターを原因とする食中毒は、近年発生件数が最も多い細菌性食中毒となっているため(※)、十分に注意する必要があります。生肉からのドリップ(赤い汁)が気になるときには、キッチンペーパー等で拭き取るようにしましょう。

危険な行為2:肉や魚を切ったまな板を熱湯で流す

木製カティングボード
baibaz/gettyimages

前の項目でお伝えしたとおり、生肉には食中毒菌が付着していることがあります。その肉を切ったあとのまな板にも食中毒菌がつくことがあるため、その都度しっかりと洗ったり、肉や魚と、野菜はまな板を変えたほうがいいということはご存じの方も多いことでしょう。

ただし、もうひとつ注意してほしいのが、肉や魚を切ったあとすぐのまな板に熱湯を流しかけることです。

肉や魚のたんぱく質は、60℃以上の熱で固まります。切った直後のまな板に熱湯をかけると、その表面でたんぱく質が固まってしまい、汚れを頑固にしてしまうことも。まな板の傷の中に、固まったたんぱく質が残ると、食中毒やカビ、黒ずみなどの原因になります。

また、食中毒菌の多くは75℃以上、1分の加熱で死滅するといわれていますが、まな板に熱湯を流しかけるだけでは、上手くかからない部分があったり、すぐに温度が下がってしまって十分な効果が得られなかったりと、菌を完全には取り除けないことも考えられます。

肉や魚を切ったあとのまな板は、中性洗剤とスポンジやたわしを使ってしっかりと洗い、まずは水やぬるま湯で汚れを洗い流しましょう。そのあとで塩素系漂白剤やアルコール除菌スプレーなどを使って除菌してください。熱湯にも除菌効果はありますが、中途半端にかけるのではなく、たっぷりと全体に回しかけるようにしてください。

危険な行為3:少ない油で揚げものをする

フライドコロッケ
kuppa_rock/gettyimages

揚げ物はしっかり火を通しているから、食中毒の心配は少ないだろうと思いがちですが、少なめの油で揚げ物をするのは、食材や料理によっては注意が必要です。

「揚げ油がもったいない」といった理由もあって、できるだけ少量の油で揚げ物をする方法が支持されるようになりました。でも、生の肉や魚を使った料理を少ない油で揚げると、食材全体が油に浸かっていないため、表面は高温でも中心温度は低いままという場合があります。さらに、油が少ないと、油の温度がすぐに上がって、表面ばかり色がついてしまい、中まで火を通る前に引き上げてしまう心配も。

特に冷凍のメンチカツやフライなどは凍ったまま調理するものもあり、その場合は中心の温度が上がるまでに時間がかかります。冷凍されていても、食中毒菌は食材の中で生き残っていることがあり、しっかりと加熱しないと死滅しません。

肉や魚を使った厚みのある食材を揚げるときには、多めの油を使い、一度にたくさんの量を揚げないようにしましょう。また、表面の揚げ色だけに気を取られず、中を割って、中心まで火が通っているか確認するようにしてください。

揚げ物だけでなく、未加熱品の冷凍ハンバーグなども中心まで火を通さないと、食中毒を引き起こす可能性があります。市販の冷凍食品を使う場合は、パッケージをよく読み、調理方法を確認しましょう。

危険な行為4:カレーを常温に置いておく

鍋のカレー
karimitsu/gettyimages

スパイスたっぷり使われているうえにしっかり煮込むカレーは、食中毒とは無縁と思う人もいるかもしれません。でも、カレーを始め、シチューや豚汁といった煮込み料理は要注意。ウエルシュ菌という食中毒菌が繁殖しやすい条件がそろっているのです。

ウエルシュ菌は、肉や魚、野菜などに付着しており、酸素を嫌ううえに100℃以上で数時間加熱しても死滅しません。しっかり煮込んでも生き残れるウエルシュ菌は、温度が20~50℃前後まで下がったときに爆発的に増殖します。特にとろみのあるカレーは温度が下がりにくく、繁殖しやすい温度帯が長く続くことになります。

カレーは多めにつくり置きして、2日目以降も食べるという方も多いかもしれませんが、常温に長く置いていると、危険。再加熱しても、ウエルシュ菌はいなくなりません。2日目以降も食べたい場合は、できるだけ早く鍋から出して小分けにし、保冷剤などで冷やしてあら熱を取ったら、すぐに冷蔵庫へ。食べきれないときには、冷凍保存をするのもおすすめです。

危険な行為5:お弁当に生野菜を入れる

日本のカラフルなランチ
karinsasaki/gettyimages

おしゃれなお弁当の写真を見ると、彩りにフリルレタスやきゅうりなどの生野菜が使われていることがあります。でも、夏のお弁当の生野菜はNG。避けたほうが安心です。

食中毒の繁殖には、栄養と水分、温度が影響します。加熱調理していない生の野菜は、よく洗ったとしても、食中毒菌が残っている可能性が高いです。また、生野菜をおかずの仕切りなどに使うと、いくら水気をしっかり拭っていても、ほかのおかずからの塩分により水分が出てきます。気温が高いと、それだけで食中毒菌が繁殖しやすい環境に。夏のお弁当には加熱調理した野菜を使うことをおすすめします。

例外的に、ミニトマトは夏でも生で使ってOK。ただし、ヘタの部分には菌がついていることが多いため、必ず取ってください。また、カットしたり、ピックを刺したりすると、水分が出やすくなるので、やめましょう。しっかり洗って、きれいなキッチンペーパーで水気を拭ってから、お弁当に入れます。

生野菜が入っていなくても、夏のお弁当は温度管理が大切です。おかずはしっかりと冷ましてから詰め、持ち歩く際には保冷剤や保冷バッグで温度が上がらないように気をつけましょう。



◆監修・執筆/河野 真希
暮らしスタイリスト・一人暮らしアドバイザー・料理家。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、はじめるためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な自分らしい暮らしづくりを応援。 『料理教室つづくらす食堂』主宰。

 
 

PICK UP ピックアップ

TOPICS 人気トピックス

RECOMMEND