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アルコールでは消毒できない⁉少量でも激しい嘔吐下痢を引き起こす強力なウイルスとは

2025/02/01

冬に流行することが多いノロウイルス。非常に感染力の強いウイルスですが、感染を防ぐ方法はあるのでしょうか。

ノロウイルスの感染経路や予防策について、消化器系の専門病院である医療法人社団筑三会・筑波胃腸病院の鈴木隆二理事長に聞きました。

Q.ノロウイルスとはどのようなウイルスですか

ノロウイルスは人の腸内で増殖し、主に胃腸炎を引き起こすウイルスです。感染力が非常に強く、少量のウイルス(たった10~100個程度)でも発症してしまいます。冬に流行することが多いですが、一年を通して感染のリスクがあります。

ノロウイルスは「エンベロープ」という脂質の膜を持たない構造をしており、アルコール消毒では十分な消毒効果が得られません。そのため、しっかりとした手洗いや次亜塩素酸(塩素系漂白剤)による消毒が重要になります。

Q.ノロウイルスの感染経路にはどのようなものがありますか

クローズアップ、トイレドア、文房具付き、ドアノブに選択的に焦点を当てる
SasinParaksa/gettyimages

ノロウイルスの主な感染経路は、次の3つです。

・食べ物を介した感染:

生のカキなどの二枚貝は、ウイルスを体内に蓄積しやすく、加熱が不十分な状態で食べると感染のリスクが高まります。

ノロウイルスに感染した人が調理した食品を食べることで、感染が拡大するケースもあります。

・接触感染・飛沫感染:

感染者がトイレの後に十分に手を洗わずにドアノブや手すり、食器などを触って付着したウイルスが、間接的に別の人の口に入って感染します。

感染者の嘔吐物の処理が不十分だと、その場にいた人がウイルスの含まれた飛沫を吸い込んで感染する危険性もあります。

・ 空気感染(エアロゾル感染):

ノロウイルスに感染した人が嘔吐した際、その飛沫が乾燥して空気中に浮遊し、それを吸い込んで感染することがあります。感染者がいた部屋の換気が不十分だと、ウイルスが空気中に長時間残る場合もあります。

Q.ノロウイルスに感染しやすい人の特徴にはどのようなものがありますか

ノロウイルスは誰でも感染する可能性がありますが、特に免疫が低下している人や集団生活をしている人はリスクが高いです。

免疫機能が未発達な子ども、低下している高齢者は感染しやすく、症状も重くなる傾向があります。疲れやストレスで体調を崩している人も免疫力が低下するため、感染しやすくなります。

また、病院や介護施設、学校などの集団生活をしている場所では、感染者が一人でも出ると一気に広がる可能性が高くなります。

Q.ノロウイルスに感染するとどのような症状が出ますか

ノロウイルスの潜伏期間(感染してから症状が出るまでの時間)は 24~48時間 です。発症すると、典型的な症状として 突然の激しい嘔吐と下痢が起こります。

嘔吐は1日に数回~十数回に及ぶことがあり、特に発症初期は強い吐き気を伴います。下痢は水のような便が出るケースが多く、ひどいときには脱水症状を引き起こします。

発熱は37~38℃程度の微熱が多く、強い発熱はあまりみられません。腹痛や倦怠感が生じる場合もあります。

小さい子どもや高齢者では、嘔吐や下痢による脱水症状が深刻化しやすくなります。尿の回数が減ったり、意識がぼんやりしたりするなどの症状が見られたら注意が必要です。

Q.ノロウイルスを予防するためにできることはなんですか

男性手を洗う
kieferpix/gettyimages

ノロウイルスの感染を防ぐためには、次の3つが重要になります。

・食品の加熱と調理器具の消毒:

カキなどの二枚貝を食べるときは、85~90℃で90秒以上しっかり加熱するとウイルスを死滅させることができます。調理器具(包丁・まな板・ふきんなど)は、熱湯や塩素系漂白剤で消毒を行うのが望ましいです。

・手洗いの徹底:

ノロウイルスはアルコールでは十分に殺菌できないため、石鹸と流水での手洗いが最も効果的な対策だと言えます。特に次の場合は、30秒以上かけて指先・爪の間、手の甲、手首までしっかり洗うようにしましょう。

 ・トイレの後
 ・食事前
 ・調理の前後
 ・嘔吐物や便を処理した後

ノロウイルスは症状が治まった後も、1~2週間は便にウイルスが排出され続けるため、症状が治ってもしばらくは徹底した手洗いを行ってください。

・感染者への適切な対応と二次感染の防止:

家族や同居人がノロウイルスに感染した場合、ウイルスが広がらないように注意します。

嘔吐物や便を処理する際は、手袋とマスクを着用し、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤を薄めたもの)を使って消毒しましょう。嘔吐物を掃除機で吸い取ると、ウイルスが空気中に広がってしまうため、ペーパータオルで拭き取ってビニール袋に密封して処分します。

また、感染者の使ったタオルや食器を共有しないようにしてください。トイレのフタを閉めて流すことでウイルスの飛散を防ぎ、二次感染を避けるのも大切です。

ノロウイルスは、少量でも感染する非常に強力なウイルスですが、適切な対策で感染のリスクを最小限に抑えられます。特に、消毒に関してはアルコール消毒だけでは不十分である点を押さえ、しっかりとした手洗いと次亜塩素酸ナトリウムや熱湯などによる消毒を行いましょう。

教えてくれたのは・・・

鈴木隆二 理事長

医療法人社団筑三会理事長 消化器外科専門医(筑波胃腸病院、千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック・健診プラザ)。聖マリアンナ医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センター助教を経て、筑波胃腸病院、千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック・健診プラザの理事長に就任。日本消化器内視鏡学会専門医、日本外科学会専門医、茨城ヘルニア研究会世話人、麻酔科標榜医、産業医、難病指定医。

取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部

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