日本中年女性

症状は200以上!?「更年期」との向き合い方、過ごし方とは

2020/11/22

子育てがひと段落する頃、女性の体に訪れる「更年期」。最近では、高齢出産や少子化、出産経験のない女性も少なくない中、産後間もないうちに、または子どもが小さいときに、はたまた管理職で働き盛りのときに、女性ホルモンの急激な変化により不調を感じる女性が増えていると言います。

「正しく理解し、自分に合った方法を見つけることが、更年期を快適に過ごす秘訣です」と話すのは、女性の更年期に関する情報を広める活動をしている三浦ひとみさん。更年期の症状、向き合い方、過ごし方などを教えてもらいました。

取材:阪口千春(みらいハウス)
文:渡部郁子(みらいハウス)

◆話を聞いた人・・・三浦ひとみさん
女性の健康マネージメントアドバイザー(NPO法人女性の健康とメノポーズ協会)
バランスボールダイアローグファシリテーター。女性ホルモンが急激に変化する思春期・産後・更年期に大切な基礎知識と、健やかな日々へつながるシンプルで役に立つセルフケアを伝え、バランスボールを使った運動で身体と対話するパーソナル指導を行っている。

誰にでも訪れる「更年期」とは?

――そもそも「更年期」とはどんな時期なのでしょうか。

三浦ひとみさん(以下、三浦):女性の更年期とは、閉経の時期をはさんだ前後数年ずつの約10年間(一般的に45歳から55歳ごろ)を指し、身体に変化が生じる時期です。女性の一生は、小児期、思春期を経て、性成熟期のあとに更年期があり、その後、高齢期を迎えます。個人差はありますが40才頃から卵巣の老化により女性ホルモンの分泌が減少し、体や心にさまざまな不調が現われます。

更年期に現れる体の不調などの症状を「更年期症状」といいます。「ほてり」「イライラする」「頭痛」「肩こり」など、更年期の主な症状は200以上とされています。私の場合、急な視力の低下、手指のこわばり、ひどい肩こりなどの不調を感じたときに、『そろそろ更年期かな』と思いました。


――更年期は女性だけに訪れるのでしょうか?

男性にも更年期はあります。ただ男性の場合は30歳ごろから少しずつ男性ホルモンが減少していくので、40歳ごろからの急激に減少する女性に比べて、症状が出にくいです。また女性は急激に現れる症状に気づいても「これくらい我慢できる」と自分のことを後回しにしてしまいがちで、日々の生活に支障をきたす更年期障害になってしまうかたも多いのです。

更年期を学ぶことで「セルフケア」できる

――三浦さんは、ご自身の「更年期症状」体験から、更年期について学ぶことが医療やセルフケアを自分らしく選択する力になると説いていますね。

三浦:婦人科での更年期の治療は、低用量ピルや漢方などが処方されます。ただし、低用量ピルにはさまざまな種類があるし、漢方も体質によって合うものや合わないものがあります。投薬を選ばず、食事や生活習慣の見直し、サプリメントなどで症状を軽減する方法もあります。

体調がすぐれないときに合わない薬を飲み続けると、さらに体調悪化につながる場合もあります。低用量ピルにしても漢方にしても、自分の体と向き合いながら、医師と相談を重ねて、自分の体に合うものを見つけていく必要があります。処方された薬があわないと感じたら、薬を変えてもらうことができるということをまずは知っておいてください。

更年期症状が出やすい体質がある?

ビジネスウーマンは落ち込む
RyanKing999/gettyimages

――更年期になって、日常生活に支障が出るほどの症状が現れやすい人には、なにか特徴があるのでしょうか?

三浦:生理前や生理時に不調を感じやすい、産後の不調が長く続いたなど、女性ホルモンに左右されやすい人は注意が必要です。その要因は、身体的要因、環境要因、性質(性格)要因などさまざまですが、とくにがんばり屋で完璧主義のかたは要注意。

例えば、思春期に月経が始まってから安定するまで3年ぐらいかかりますが、その時期に無理なダイエットやスポーツによる体の酷使などで生理不順や月経停止などを経験すると、その後も影響することがわかっています。

思春期以降、生理周期の乱れや、生理に関する不調を軽視して治療やケアをせずにいると、更年期に無理が出ます。それが「更年期症状」や「更年期障害」となって出てくるのです。


――では、具体的にはどんな対策が必要なのでしょうか。

三浦:まずは自分の体と向き合うこと。自分の生理周期を知り、生理周期に合わせて体をケアすることです。生理前や生理中は疲れすぎる前に休息を取り、できるだけ自分に優しくしましょう。早めに休むことで回復も早くなります。

とにかく無理をしないこと。40代になると、無理がきかない体になってくることはだれもが感じることでしょう。そこで無理をすれば、更年期の症状はさらに悪化し、回復するまでに時間がかかることになります。

また、健やかな日々のために、栄養・睡眠・運動は大切です。食事をしっかり採っていても、栄養が足りているとは限りません。バランスの良い食事を心がけ、しっかり睡眠をとりましょう。

とくに運動は、女性ホルモンの維持につながります。減りつつある女性ホルモンを増やすことはできませんが、急激な減少による不調を緩和することはできます。まずは歩くことから始めてもいいですね。

手帳などに簡単な記録をつけ、自分がどういうときに体調が悪くなるのか、感情がコントロールできなくなるのか、不調を記録してきましょう。3カ月ほど続ければ、自分の不調の時期にいそがしい仕事を入れないなどの調整ができるようになるはずです。

快適な更年期の過ごし方とは?

アジアの働くビジネスウーマンとのワークライフバランスリラクゼーション 健康的なライフスタイルは、安心して自由な時間を持つ快適なホテルやホームリビングルームで安静に休んでのん
Chinnapong/gettyimages

――三浦さんは更年期が始まったころにさまざまな不調を経験しましたが、現在はどうでしょうか?

三浦:更年期を快適に過ごす対処法として、もちろん更年期医療に詳しい婦人科を受診することも大切ですが、更年期症状を和らげるにはセルフケアも有効だと感じています。私自身、自分の体が発するサインに気づいてケアするようになってからは、思春期、性成熟期の頃よりも体調がよいと感じています。

月経リズムを知って過ごすこと、バランスの良い食事、睡眠や休息、適度な運動、すでにお伝えしたポイントのほかにも、禁煙や深呼吸、体を温めるなどのセルフケアが有効です。また、女性医学に詳しい婦人科などのパートナードクターを持つこと。きちんと相談できるかかりつけ医がいると、不調のときも安心です。

さらにもうひとつ挙げるとすれば「身近な理解者をつくる」こと。体調がすぐれない日、感情のコントロールが難しい日などをあらかじめ家族などに伝えておくことで、無理のない日常を過ごすことができるようになりますよ。


◆取材・文/みらいハウス
阪口千春
東京・足立区にある育児期の女性支援拠点「みらいハウス」のライティングメンバー。キャリアコンサルタントや保育士などの資格を活かし、「子どもがいてもできること、子どもがいるからできること」をモットーに、子育て世代の家族への支援活動に取り組む1児の母。

渡部郁子
東京・足立区にある育児期の女性支援拠点「みらいハウス」のライティングメンバー。子連れで取材活動に取り組む一児の母。育児と仕事にまつわる社会課題への支援事業や、子育てしやすい地域環境を構築する仕組みづくりを行っている。

構成:サンキュ!編集部

 
 

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