冷蔵庫は大きいほうが節電に!?今すぐできる冷蔵庫の節電テクニックをプロが解説
2018/07/09
24時間365日、稼働し続けている冷蔵庫。夏場は周囲の気温が高くなることもあって、電気代が上がりがちです。そんな気になる冷蔵庫の節電テクニックについて、家電コーディネーターの戸井田園子さんに教えてもらいました。
冷蔵庫内は「7割目安」で収納すべし!
冷蔵庫アレもコレもと食材を詰め込みがちですが、コレはNG。詰め込んだモノが冷気の吹き出し口を塞ぐことによる冷却効率の低下に加え、出し入れに時間がかかる&回数が増えることによって開扉時間が増加し庫内温度が上昇し、余計な電力の消費を招くことになります。
また、意外とやりがちなのが常温保存のものを冷蔵庫に入れてしまうというもの。冷やす対象が増えれば、当然その分電力が余計にかかってしまいます。
食材を入れる目安としては、庫内の7割程度――庫内の背面が何となく見えるくらいの量にしておくのがちょうど良い量。さらに、庫内の食材を7割程度にした上で、吹き出し口から出る冷気を塞がない様に配置するとより冷却効率がアップします。ただし、冷気の吹き出し口の位置は冷蔵庫によって異なるのでご注意を。
ちなみに、経済産業省の発表によれば、「冷蔵庫いっぱいに詰め込んだ場合に比べ、2分の1詰め込んだ直後の電力は、平均で8%の削減ができる」とのこと。例えば、年間の電気代が8000円(500~600Lタイプの平均額)なら、640円の節約につながる計算です。
庫内にスペースがあっても、余計な食品を入れれば電力のムダになるということを理解しておきましょう。
「冷凍庫は詰め込むのがイイ」はホント?ウソ?
詰め込みNGの冷蔵庫に対して、冷凍庫は凍った食材自体に冷却効果が生じるので「詰め込むのがイイ」という意見があります。説得力のある話ですが、じつは一概にはそうとは言えません。
例えば、冷凍食品(-15~18℃)を冷凍庫(-20℃)に入れるなら、温度差は2℃ですが、常温(25℃)の食品を冷凍(-20℃)するとなると、温度差は45℃まで広がることに。冷蔵庫同様に温度差が大きいほど電力を消費するので、常温の食品を一度にたくさん冷凍庫に入れてしまうと、冷却効率は大幅に悪くなってしまうのです。
つまり、冷凍食品で庫内を満杯にするのはOKだが、ホームフリージングなどのために常温の食材で庫内を満杯にするのはNG……がより正確な認識。冷凍庫は、入れる食品の温度により詰め込むべきか否か、適切に判断して下さい。
庫内温度の設定で11%の節電に!ただし注意も必要
庫内の温度設定によっても電気代は変わります。たとえば手動設定の場合、「強」から「中」に変更することで平均11%もの節電になると言われています。
しかし、夏場は外気温度が高く、扉の開閉が頻繁だと庫内の温度が上がりやすくなり、高めの温度設定だと結果として食品を腐らせてしまうことも……。そのような場合は、「自動」や「エコ運転」といった、庫内の温度変化を感知しながら最適な運転を選んでくれるモードを利用するのが安全かつ最も節電になります。これれらのモードがあるなら、自己判断で温度設定変えるよりも、このモードを使うことをおすすめします。
意外と見落としがちな冷蔵庫の設置環境
冷蔵庫は冷やすのが仕事。そのため周囲が暑いと無駄な電力を消費してしまいます。また、冷蔵庫は放熱しているので、周囲の壁から5cmほど離して設置するのが理想的。なお、最近の冷蔵庫には、左右背面ともに1cm程度の隙間でOKなものがありますが、それは上部から放熱する構造になっているから。そういったタイプの場合は上部にモノを置くのがご法度なので、気をつけて下さい。
ほかにも、太陽光が当たるなら、カーテンやブラインドで日差しを遮るのも効果的。また、ガスコンロのそばなど、熱の影響を受けやすいところも避けた方が良いでしょう。
扉パッキンの手入れもお忘れなく!
設置場所以上に見落としがちなのが、扉パッキンのお手入れ。冷蔵庫は扉の合わせ目からも冷気が流出しがちです。パッキンが汚れたり傷んでいると、密閉性が低くなり冷気のロスにつながってしまうのです。
庫内の整理をするときは、いっしょにパッキンの掃除もしておきましょう。その際は、樹脂製のパッキンを傷めないよう、粒子の粗いクレンザーなどは避けてください。お手入れをすると密着力が格段によくなって、ビックリしますよ!
利用期間が10年を超えたら買い替えも視野に!
冷蔵庫は、ここ10年で約50%もの省エネを達成している優秀な家電のひとつ。最近は、500~600Lの大容量でも「300kWh/年」以下と、「年間消費電力量」が少なくなっています。省エネ性能を見極めるために重要な数値である年間消費電力量。この数値が少ないほど、電気代も安くなります。
環境省のサイトでは、古い製品と新しい製品を比べるとどれだけ電気代が違うかを比べることができるツールが公開されています。長期間同じ冷蔵庫をご利用の方は、ぜひ一度買い替えの効果を確認してみたください!
冷蔵庫は小さいほうが電気を消費する!?
ちなみに、冷蔵庫の大きさと消費電力は比例していません。容量が大きくなるほど「年間消費電力量」が大きくなると思われがちですが、実は、消費電力量は、500L<400L<300L という傾向があります。「多少大き目かな?」と感じても、消費電力量の少ない容量を買う方が節電になりますし庫内に余裕ができて、冷却効率も良くなります。
冷蔵庫を買い替えるときは、ぜひ「年間消費電力量」を確認するようにして下さい。
◆監修・執筆/戸井田 園子
性能・コスト・デザインなどを総合的に判断し、製品選びに役立つ情報を発信する家電コーディネーター。総合情報サイトAll Aboutの家電ガイドを始め、雑誌、テレビ、ラジオなど数多くのメディアで活躍中。