「縦型洗濯機」が安く買える時期はいつ?買い時を家電の専門家が解説
2020/05/13
時期によって価格が大きく変動することもある生活家電。家計をやりくりする主婦としては、できれば「いちばん安い」タイミングで買いたいものです。そこで、家電コーディネーターの戸井田園子さんに、家電の種類によって異なる「安く買える時期」を解説してもらいます。今回は「縦型洗濯機」が安く買える時期、買い時についてです。
洗濯機はいまだ「縦型」が主流、その理由は…?
洗濯機・洗濯乾燥機は「ドラム型」が主流になりつつある…と思っている方は多いのでないでしょうか。しかし、実際の購入台数を見ると、8割以上が縦型という状況がここ数年続いています。
「使い慣れている形がいい」という理由に加えて、「たくさんの水でしっかり洗い、しっかりすすぐ」という縦型洗濯機の特徴も支持を集める理由のひとつ。とくにアトピーを気にしている方やペットオーナー、在宅介護をする世帯など……洗剤残りや、臭い残りが気になる人たちは縦型を選ぶ傾向にあるそうです。
また、乾燥機より外干しする人が多い傾向もあり、乾燥機が非搭載の全自動洗濯機もまだまだ豊富にあります。
そんな縦型洗濯機のトレンドを挙げるとしたら、以下の2つになるでしょう。
1:性能の向上
「手頃な価格で必要最小限の機能」が定番だった縦型洗濯機でしたが、最近はドラム型の高性能モデルに倣って、温水洗浄の搭載、洗濯コースの増加(ダニ対策コースなど)、洗剤自動投入、IoTなど、さまざまな機能を搭載したモデルも増えています。
2:大容量化
大容量になる8kg以上が45%、10kg以上の大容量洗濯機が25%近くになるほど、大容量化が進んでいるのも、縦型洗濯機のトレンドのひとつです(データはいずれも2019年・GfK調べ)。
「縦型洗濯機」が安く買える時期はいつ?
縦型洗濯機の新製品発売は、例年4月頃から新製品情報がリリースされ、6月頃から新製品が店頭に並びます(2020年は新型コロナウイルスの影響で、全体的に展開が遅くなっている状況です)。汗をかいた洗い物が多くなる夏に向けて、ジャブジャブと多くの水で洗える縦型のニーズが増える――それに合わせて、夏前に集中して新製品を投入するということでしょう。
縦型洗濯機には、乾燥機能付きの「洗濯乾燥機」と、乾燥機能がない「全自動洗濯機」、洗濯槽と脱水槽がある「二層式洗濯機」という3つのタイプがあります。
グレードは1メーカー3グレードくらいですが、それぞれのグレードに容量展開があり、かなりのバリエーションがあるため、型番はとても多くなります。また、容量も4kg~12kgまでと幅広くあり、リリースされる順番もはっきりしません。
家電は新製品が発売になるタイミングで、前年度モデルの価格が底値になるのですが、上記の理由から、気になる商品がある場合は適宜メーカーのリリース情報を確認するのが、確実に底値を見分けるポイントとなります。
なお、洗濯機は年に1度新製品が出るので、必ず大きく変わるフルモデルチェンジとは限りませんし、マイナーチェンジで搭載される新機能が必ず欲しい機能とも限りません。カタログなどでスペックを詳しく確認して、新機能が自分に必要かどうかをチェックしましょう。
もし、機能面に魅力を感じてどうしても最新モデルが欲しいのであれば、機能が満載の上位機種は6・7月発売が多いので、夏のボーナス時期頃に購入するのが良いでしょう。しかし、発売直後は価格がもっとも高い時期です。洗濯機の場合、秋には「ドラム型」が新製品発売シーズンとなります。
ドラム型の新製品が発売されると、2020年夏前に発売された縦型は少し価格が下がります。半年後でも問題なければ、価格が落ち着くこの時期に買うのもおすすめです。
「縦型洗濯機」の買い替えタイミングを見極める方法は?
洗濯機でもっとも負荷がかかるのはモーター部分。そして、そのモーター部分に最も負荷がかかるのが脱水工程です。なので、いつもどおりに使っているのに、脱水があまくなってきたら要注意。
また、運転音がうるさくなったり、振動が大きくなるのも故障の兆候のひとつ。稼働中の音が普段と違うな…と感じ、加えて購入から10年前後経っていたら、買い替え時と思ってください。
洗濯機の寿命は4000回の洗濯が目安と言われています。1日1回の洗濯で365回×10年で3650回なので、約11年。1日何回洗濯をするかを目安にすると、良いでしょう。
ただし、洗濯機は壊れたとしてもコインランドリーがあるので、しばらくは洗濯機ナシでもなんとかしのぐことはできます。なので、調子が悪くなって買い替えることになっても、慌てずに自分に必要なものをしっかりと選ぶよう心掛けましょう。
「縦型洗濯機」を買い替える際にチェックすべきポイント
いよいよ買い替えとなった場合は、以下のポイントを押さえて商品を選びましょう。
ポイント1:物理的寸法の確認
洗濯機は置ける場所が限られてますので、購入前の寸法チェックは絶対に欠かせません。とくに以下の3つはとくに注意しましょう。
・本体サイズ
設置場所にちゃんと収まるか?洗濯機の防水パンのサイズを確認してください。
・水栓の高さ
本体の高さはもちろん、最近はフタが折れるタイプではなく一枚ものが増えているので、フタを開けた時に水栓にぶつからないか、しっかり確認をしましょう。
・搬入経路
たとえ、設置場所のサイズが問題なくても、運び込めなかったら意味がありません。玄関から洗濯機置き場までの廊下や扉の内法、特に洗面所の扉は幅が狭いことがあるので、要チェックです。廊下が曲がっている場合などは、ちゃんと曲がれるかなども必ず確認を!
ポイント2:容量の確認
容量は1日にどれくらいの洗濯物が出るかを目安に選ぶのが一般的。洗濯物の量は1人1.5kg/1日と言われているので、4人家族なら6kg/1日、という計算になります。毎日洗濯しないのであれば、この限りではありません。
例えば1人暮らしでも週に1回の洗濯であれば、1.5kg×7日間=10.5kgとなるように、人数と洗濯回数で目安を計算しましょう。
【参考計算式】1.5kg/1日×家族人数×**日(洗濯を溜める日数)
1.5kg×1人×7日間=10.5kg
1.5kg×5人×1日間=7.5kg
ポイント3:乾燥機能の要・不要
乾燥機能は、ヒーターで完全乾燥する「洗濯乾燥機」と、風だけで乾燥する「簡易乾燥機能付き」のふたつ(乾燥機能がまったくない製品もあります)。
基本外干しするのであれば、乾燥機能はそんなに重視しなくてOKですが、梅雨や長雨の季節のことも考慮すると、室内に干す際に乾燥しやすい程度に水分を飛ばしてくれる「簡易乾燥機能」があるものは便利でしょう。
また、小さいお子さんがいる場合、翌日までにどうしても乾かさなくてはならないこともあるため、リスク回避のため「完全乾燥」も視野に入れて検討するとよいかもしれません。
乾燥機能がどの程度必要かは、洗濯の干し方を振り返って決めてください。
ポイント4:省エネ性能
「洗濯・すすぎ・脱水」の工程で使う水量や消費電力量は、メーカーによる差は大きくありません。どのメーカーにも、洗濯コースに「省エネモード」や「節水モード」、「少量コース」など省エネにつながる機能が搭載されている機種がありますので、省エネを重視するなら忘れずに確認しましょう。
洗濯機でもっとも消費電力が大きいのは乾燥の工程。縦型洗濯機はドラム型と違い、ヒーターを使わない省エネ乾燥タイプがありません。なので、もし乾燥機付きの縦型洗濯機を選ぶ場合は、1回あたりの電気代を必ず確認しましょう。
ポイント5:その他チェックしておきたいところ
朝、洗濯を済ませてから出かけたいなら「所要時間」が、夜に洗濯をすることが多いなら「静音性」を気にするのがよいでしょう。
また、独自機能に注目するのもおすすめ。温水洗浄やつけおきコースなど洗濯の仕上がり向上させる機能があったり、洗剤や柔軟剤の自動投入機能やIoT対応など利便性を向上機能があったり、自動槽洗浄や抗菌素材など清潔性を向上させる機能があったりします。自分にとって必要なものをしっかり見極めてください。
メーカー別「縦型洗濯機」の特徴
最後に、主要メーカーの縦型洗濯機の特徴(2020年5月時点)も紹介。商品選びや販売店へ行く際の参考にしてください。なお、各社の洗濯機画像は、必ずしも文章で紹介している商品と一致するものではございません。
「日立」の縦型洗濯機の特徴
他メーカーが手を出していない時期も、縦型の高性能モデルを地道に手がけていた日立。業界初として登場した洗濯槽自動おそうじ機能は、いまや各メーカーのスタンダード機能になりました。
少ない水で洗う「たたき洗い」、大水量で洗う「もみ洗い」の両方ができる独自の洗い方「ビートウォッシュ」も人気。IoT対応、自動洗剤・柔軟剤投入、自動発注(いつも使っている洗剤をAmazonで自動発注してくれる)、AI洗濯など、最先端の機能がいろいろあります。
グレードや容量展開も多く、二層式洗濯機もあるなど、ラインナップが豊富なのも日立の特徴です。
代表機種1:洗濯乾燥機 ビートウォッシュBW-DX120E
縦型洗濯機の最上位モデルで、業界最大クラスの洗濯12kg・乾燥6kgを誇る。洗濯槽の深さが浅めで、底に手が届きやすいのも使いやすいポイント。洗濯物の洗い方や時間を自動で判断するAI洗濯を搭載し、液体洗剤・柔軟剤の自動投入機能と、自動発注も使えます。最先端の機能を使いたい人におすすめの機種です。
代表機種2:全自動洗濯機 ビートウォッシュBW-X120E
全自動の最上位で、洗濯容量は12kgの大容量。液体洗剤・柔軟剤の自動投入機能があり、洗濯物の洗い方や時間を自動で判断する、AI洗濯も搭載。干す時間を短縮できる「エアジェット」は室内干しの時に便利です。
代表機種3:二層式洗濯機 青空 PS-65AS
ステンレス脱水槽、抗菌パルセーターなど、清潔性が高い仕様。つけおきタイマーがあるので、頑固な汚れに便利です。グレードは少し下がるが、洗濯容量12kgの大容量タイプもあり。
「パナソニック」の縦型洗濯機の特徴
パナソニックの縦型洗濯機は独自機能が豊富。洗剤を泡立ててしっかり洗う「泡洗浄」や、操作パネルを手前から奥にした「すっきりフロント」、洗濯槽の清潔維持の「ナノイー」、しっかり温度をあげる「温水洗浄」や、「ダニバスターコース」などがあります。
代表機種1:洗濯乾燥機 FWシリーズ(20年7月下旬発売予定)
最上位シリーズで、洗濯12kg・乾燥6kgタイプが代表モデルとなります。液体洗剤・柔軟剤の自動投入に加え、槽洗浄のタイミングをお知らせする「槽洗浄サイン」、糸くずのお手入れが楽になった「楽ポイフィルター」、使う前に洗濯槽をサッと洗う「サッと槽すすぎ」コースなども搭載しています。
「サッと槽すすぎ」は、靴下など汚れの強いものを洗った後や、乳幼児の衣類を洗う前に使うことで、洗濯槽をリセットでき、分別洗いをしたい清潔志向の高い人におすすめ。「約40℃毛布」コースを新たに搭載(温水洗浄は12kgタイプのみ)。すっきりフロント+広い投入口で、大物がしっかり洗えます。ナノイー搭載で、カビ抑制にも期待できます。
代表機種2:全自動洗濯機 FAシリーズ(20年6月上旬発売予定)
全自動洗濯機の最上位シリーズはこちらで、12kgタイプが代表モデルとなります。洗濯乾燥機と比べた場合、自動洗剤投入とナノイーが無い以外、機能面は同じ。「約40℃毛布」「槽洗浄サイン」「楽ポイフィルター」「サッと槽すすぎ」を搭載しています。
「シャープ」の縦型洗濯機の特徴
穴無し洗濯槽で、節水性の高さが特徴。洗濯槽の周りに水が出ないので、外側が汚れにくいのも長所です。また内フタがなく、フタを開けるとダイレクトに洗濯槽にアクセスできる独自設計は、洗濯槽に穴がなく乾燥効率が良いからこそできた構造とのこと。洗濯槽の中で衣類を吊るして乾かせる機能など、独自性が高いのも魅力。プラズマクラスターは、槽内の清潔維持やカビ防止に期待できます。
代表機種1:洗濯乾燥機 ES-PW11D
最上位モデルは洗濯11kg・乾燥6kgタイプ。「超音波ウォッシャー」を搭載し、部分汚れに効果的です。フタ裏にフックがありハンガーで乾燥ができる「ハンガー乾燥」は少量の洗濯物を急いで乾かしたい時、非常に便利。無線LAN搭載で、独自のクラウドサービス「COCORO WASH」から、天気予報や花粉情報など洗濯に関する情報が届き、最適な洗濯をアドバイスしてくれる機能も。スマホで操作ができたり、スマートスピーカーに運転状況を確認することも可能です。
代表機種2:全自動洗濯機 ES-GW11D
最上位モデルは洗濯11kgのタイプ。無線LAN搭載で、独自のクラウドサービス「COCORO WASH」と連携することが可能。脱水の最後にパルセータをゆっくり動かして、衣類の絡みをほぐす「ほぐし機能」もあります。
「東芝」の縦型洗濯機の特徴
「ウルトラファインバブル洗浄W」は東芝独自の洗濯技術。洗剤の洗浄成分の効果を高める力もあり、繊維の奥までしっかり浸透する小さなナノサイズの泡を洗濯槽内で生成し、汚れを落とします。S-DDモーター採用で、モーターの回転をダイレクトに伝えることができるため、パワフルから繊細な動きまで、洗いから脱水まで水流を最適にコントロール可能に。運転音が静かと定評があり、夜家事にもおすすめ。ラインアップは他社に比べると少なめです。
代表機種1:洗濯乾燥機 ZABOON AW-10SV8
最上位は洗濯10kg・乾燥5kgのタイプ。「ウルトラファインバブル洗浄W」を搭載し、汚れ落ちに定評あり。すすぎでも「ウルトラファインバブル」ですすぐことで、臭いの元もとことん落としてくれます。加えて、温風で衣類を温めて洗うモードもあり、より汚れ落ちが向上。付属品に「おしゃれ着トレー」があり、これは上に衣類を乗せて洗うことで、パルセータに触れずに押し洗いのように洗えるため、布の傷みや型崩れを抑制できるというものです。
代表機種2:全自動洗濯機 ZABOON AW-12XD8
最上位モデルは12kgのタイプ。こちらも「ウルトラファインバブル洗浄W」を搭載し、低振動・低騒音設計でお「しゃれ着トレー」も付属しています。風乾燥を搭載しており、化繊素材の衣類なら3kgまでOK。洗濯乾燥機の最上位と比べると、温風洗浄がなくなりモーターの性能が下がります。
「AQUA(アクア)」の縦型洗濯機の特徴
元三洋(SANYO)のブランドだったAQUA。三洋が整理統合された際、Haierの傘下に入り「AQUA」として展開されました。コインランドリーなど業務用の洗濯機を手がけた三洋のDNAを受け継ぎ、髙い技術力を誇ります。
代表機種1:洗濯乾燥機 AQW-GTW110H
最上位は洗濯10kg・乾燥5.5kgのモデル。汚れをしっかり落としつつ衣類ダメージは抑える「激落ちケア洗浄」や、P&Gと共同開発した業界初の「ジェルボールコース」が特徴。「ジェルボールコース」はすすぎ工程を最適化することで、ジェルボールの防臭・香り付けなどの効果を残せるというもの。洗う回数が多い衣類のダメージが抑制できるので、小さいお子さんがいるご家庭向きです。フタが透明で中が見えるのも珍しく、凹凸がなく手入れがラクなのもうれしいポイント。
代表機種2:全自動洗濯機 AQW-GV100H
上記洗濯乾燥機の乾燥機能なしバージョン。洗濯機としての機能はすべて一緒です。浴室乾燥や部屋干しで除湿機を使っているなど、乾燥機の必要がないない人には、コストパフォーマンスが良い機種でしょう。
代表機種3:二層式洗濯機 AQW-N60
数少ない二層式で容量は3サイズあります。汚れをしっかり洗い落とす「抗菌ビッグパルセーター」や、耐久性と清潔性が高い「ステンレス脱水槽」など基本性能は高く、「つけ置き洗い&ソフト洗い」もあり便利です。
「その他」メーカーの縦型洗濯機
ここからは、低価格帯の全自動洗濯機のみ展開しているメーカーの製品を紹介。独身のひとり暮らしや、単身赴任などの選択肢としておすすめです。
ツインバード:全自動洗濯機 WM-EC70W
手頃な価格と必要最低限の機能でコスパの良いモデル。ステンレス槽で清潔 すっきりしたシンプルなデザインなのも◯。ひとり暮らしは意外と洗濯物が溜まるので、容量が大きいタイプが欲しいが予算を抑えたい人におすすめです。
Haier(ハイアール):全自動洗濯機 JW-CD70A
高性能モデルで採用されるDDインバータを採用。洗濯槽がモーターと直結しており、パワフルな水流で洗浄力を高めつつ、低騒音を実現しました。抗菌加工の新型・3Dウィングパルセーターで衣類を傷めずしっかり洗浄。槽内乾燥があり、黒カビの抑制にも期待できます。
アイリスオーヤマ:全自動洗濯機 8.0kg ブラック IAW-T803BL
ボディカラーが黒の珍しいモデル。洗濯機もカッコいいものを――というこだわり派の方におすすめです。8kgの大容量で5万円以下と価格が手頃なのも魅力。ステンレス槽で清潔、脱水の回転数を上げてしっかり水分を飛ばす「部屋干しモード」など、この価格ならお得感の高い仕様と言えます。
◆監修・執筆/戸井田 園子
性能・コスト・デザインなどを総合的に判断し、製品選びに役立つ情報を発信する家電コーディネーター。総合情報サイトAll Aboutの家電ガイドを始め、雑誌、テレビ、ラジオなど数多くのメディアで活躍中。