子どものかんしゃく・ぐずぐずはなぜ起きる?
2021/12/15
「キーッ」とかんしゃくを起こしたり、ぐずぐず泣いたり…。今までにない子どもの様子に、とまどうことはありませんか?実はこの時期は、かんしゃく・ぐずぐずが増えるものです。その理由から対策までを、専門の先生にうかがいました。
<お話をうかがった先生>
吉川はる奈先生
埼玉大学教育学部教授。臨床心理士。専門は保育学、発達臨床心理学。共著に『子育て支援の心理学』(有斐閣)など。2人の男子の母。
※取材時の情報です。
1歳2カ月ファミリーに聞きました
※ウィメンズパークアンケートより(回答者数152人)
【Q】「理由がわからないかんしゃく・ぐずぐず」に困ったことはありますか?
【A】
ある 60.5%
ない 39.5%
叫ぶ、蹴るの大暴れで助けを呼んだほど
大泣きしながら、叫んだり、おもちゃや私を蹴ったりして大暴れ!なだめても、大好きなバナナをちらつかせても収まらず、私の母を呼んだことがありました。
(神奈川県 怪獣ママ)
遊んでいたはずが急に泣き出した!
何が原因なのかわからないのですが、ほんの数分前まではご機嫌でひとり遊びをしていた子どもが、急に泣き出し、奇声をあげ出したときはまいりました。
(北海道 ねじりんぴ)
何かにおびえるような泣きっぷりにびっくり
突然、何かにおびえているのではないかと思えるような激しさで泣き出し、長引いたことがありました。あれは何だったのか、いまだにわかりません…。
(広島県 ぴこり)
※ウィメンズパークアンケートより
【Q】どうしてかんしゃく・ぐずぐずが増えるの?
【A】「○○したい!」という気持ちをうまく言葉にできないからです
1歳を過ぎ、立って歩けるようになり、感情も豊かになってくる時期。かんしゃく・ぐずぐずも、実は成長の表れのひとつなのです。
【1歳2カ月はこんな時期】
●喜怒哀楽の感情が育ってくる
●その子なりの好き・嫌いが表れてくる
●言葉や状況を理解する力が育ってくる
●歩けるようになって世界が広がる
だから「○○したい!」という気持ちが強くなる!でも、その気持ちを言葉にできないから、かんしゃく・ぐずぐずで自分の気持ちを表現するのです!
かんしゃく・ぐずぐずは心の成長の証
いつもおとなしかったわが子が、かんしゃくを起こしたり、ぐずぐず泣いたりすることが増え、とまどっているかたは少なくないと思います。でも、心配はいりません。これも成長の証です。1歳2カ月頃は感情もぐんと豊かになり、その子なりの好き・嫌いが出てくる時期です。そのため「○○したい!」という願望も強くなるものの、思い通りにできなかったときに感情をコントロールできたり、不満を訴えられたりするほど言葉が発達しているわけではありません。そこでその感情が、かんしゃく・ぐずぐずとなって表れてくるのです。
また、立って歩けるようになり、行動範囲が広がったことも、かんしゃく・ぐずぐずが増えてくる原因のひとつ。感情が豊かになっただけでなく、「○○ したい!」と思う場面も多くなったことで、かんしゃく・ぐずぐずがより増えてくるのです。
かんしゃく・ぐずぐずはコミュニケーションの土台や個性につながる自己表現
かんしゃく・ぐずぐずはこんな成長につながる
●コミュニケーションに積極的になる
●その子らしい“ 個性” が芽生える
今は、個性につながる成長の大切なステップ
おうちのかたは、かんしゃく・ぐずぐずの理由がわからなかったり、公共の場ではまわりの目が気になったりすることもあって、「また始まった…」とため息が出てしまうこともあるでしょう。でも、自分の感情を表現できることは、他人と意思の疎通を図るうえでとても大事なこと。つまりコミュニケーションの土台となるものです。それが、徐々に個性にもつながっていくので、"今は成長の大切なステップだ"ととらえるといいかもしれません。
かんしゃく・ぐずぐずを防ごうとするのではなく、それが起きたときの対応の仕方を心得て、おおらかな気持ちで上手に付き合っていきましょう。
参照:〈こどもちゃれんじ〉