心理の専門家&先輩ママ・パパに聞く!子どものぐずぐず対策
2021/12/29
「キーッ」とかんしゃくを起こしたり、ぐずぐず泣いたり…。今までにない子どもの様子に、とまどうことはありませんか?実はこの時期は、かんしゃく・ぐずぐずが増えるものです。その理由から対策までを、専門の先生にうかがいました。
<お話をうかがった先生>
吉川はる奈先生
埼玉大学教育学部教授。臨床心理士。専門は保育学、発達臨床心理学。共著に『子育て支援の心理学』(有斐閣)など。2人の男子の母。
※取材当時の情報です。
ぐずぐずちゃんになった場合
ぐずぐずが始まると、おうちのかたも身動きが取れなくなってしまうなど、手をやくことが多いのではないでしょうか。よくあるパターンとともに、吉川先生に対処法を教えていただきました。
【ケースその1】ぐずって夕食が作れない→子どもが安心できる状態に
お母さん:ごはんのしたくを始めたいんだけど…。
子ども:(いやーここにいて!)
お母さん:じゃあ少しだけ遊ぼうか?
子ども:(いやー)
お母さん:おねむなのかな?は~いねんねしましょうね。
子ども:(いやー)
子どもの気持ち
1歳2カ月頃の子どもは、気持ちが体のコンディションに影響されがちです。特に夕方は、1日の疲れや空腹が重なって、ぐずぐずが出やすい時間帯です。
お母さん:これじゃあごはんのしたくできないよ。前はひとりで遊べていたのに…。
子ども:(ママといたいのー)
対処法
体調は問題なさそうなのに、ぐずぐずが収まらないときは、気分によるものかもしれません。ちょっとの間だけでも、おんぶをすると安心することが多いようです。
お母さん:今のうちにチャチャッと作っちゃうね。
子ども:(これならいいよ)
お母さん:今日はおんぶもダメね。しかたない、こんな日は簡単料理にしようっと。
対処法
今は生活リズムをととのえることが大切な時期。ぐずぐずして夕食のしたくがはかどらないときは、簡単な料理に変更するなどして、生活リズムを優先させましょう。
【ケースその2】チャイルドシートをいやがる→ぐずられても毅然とした態度で
お父さん:さあお出かけしましょ。
子ども:(えっ!あれに乗るの?)
子ども:(あれに乗ると動けなくなるからいやなのー)
子ども:(これ嫌いなのーやめてよー!!!)
お父さん:はーい。座ろうね。
お母さん:こんなにいやがられるとかわいそうになっちゃうねー。
子ども:(そうだよ。お願い。外して自由にしてー)
子どもの気持ち
自由に動き回りたい1歳2カ月頃の子どもにとって、動きを制限されるのは不満なこと。どうして動きを制限されるか理解できないので、チャイルドシートに体を固定されたり、電車のシートにおとなしく座り続けたりするようなことには、不満が募りがちです。
対処法
チャイルドシートのように義務づけられているもの、安全上守るべきことは、「あなたの席はここ」と、毅然とした態度で伝えて習慣化しましょう。そのうえで、歌を歌ったり、おもちゃで遊んだりなど、動けないことから気をそらす工夫をするのがおすすめです。
ぐずぐずちゃんわが家の対処法
【うれしい出来事でぐずぐずが解消!】
靴を履くのが嫌いで、外出の度に泣いていた娘。でも、お姉ちゃんのお下がりの長靴をもらったらよほどうれしかったらしく、以降はスムーズにお出かけできるようになりました。
(兵庫県 えみまおママ)
【ぐずる時間帯を考慮して家事をこなしています】
生活リズムをととのえることでぐずりやすい時間帯がわかるので、それを考慮して家事をこなすようにします。その分、ぐずっているときにゆとりをもって接することができていいですよ。
(奈良県 かんのママ)
【ぐずったときは向き合う時間をつくります】
ぐずったときは家事などを中断してだっこをし、テレビも消して、向き合う時間をつくっています。うちの子の場合、そうして背中をポンポンすると、落ち着くことが多いです。
(神奈川県 ぺんぺん)
※ウィメンズパークアンケートより
ぐずぐずちゃん対策のまとめ
【体のコンディションがぐずぐずの原因のことも】
ぐずぐずは「○○ したい!」が思い通りにいかない場合だけでなく、おなかがすいている、眠い、暑い(寒い)、不快、体調が優れないなど、体のコンディションが思わしくないときにも表れます。しかも、ぐずっているうちに疲れてしまい、さらに機嫌が悪くなってしまうことも。原因と思われることを取り払ってもぐずぐずが続く、原因そのものがわからないといったときは、例えばだっこのように「ママがいるから大丈夫」と安心できるようなことや、「絵本を読もうか」など気持ちを切り替えて、楽しくなるようなことをするといいでしょう。
【「こんなときもある」とおおらかな気持ちで】
かんしゃく・ぐずぐずが収まらないと、おうちのかたはイライラすることもあると思います。でも、子どもにそのイライラが伝わると、ぐずぐずなどに拍車をかけることにも。一方で、おうちのかたがいつも気にかけていることも子どもにはちゃんと伝わっていて、言葉の発達とともに徐々にかんしゃく・ぐずぐずはなくなっていくものです。体調面に問題がなさそうであれば、「こんなときもある」くらいにゆったりと構えて、乗りきっていきましょう。
吉川先生からの応援メッセージ
かんしゃく・ぐずぐずに付き合えるのは今だけ!
かんしゃく・ぐずぐずは、子どもの「○○したい!」「○○が好き」といった気持ちが育っている証。拒否表現だと捉えず、子どもにとってプラスのことと前向きに受け止めましょう。
また、個性により表現の仕方はさまざまなので、「かんしゃくが激しい」「あまり感情を表さない」などと心配する必要はありません。子どもの気質によって表れ方が違っているだけ。言葉の発達とともに減っていくので、上手に付き合っていきましょう。
参照:〈こどもちゃれんじ〉