【連載】熟れすぎMANGO VOL.126
2017/10/10
「夫婦」を楽しむちはるのスーパーポジティブY談
お土産
少し経ってしまったが、この前の年末年始は久しぶりに大阪の旦那くんの実家で過ごした。
恥ずかしながら、かなりの年の差婚なもので、向こうのご両親は「お義父さん、お義母さん」と私が呼ぶにはとても若い年齢だ。今でこそ仕方がないと諦めてくれていると思うが、結婚前に初めてお会いした時は、目も合わせてもらえないほどだった。正直、私たちの無謀な結婚を喜ぶ気持ちには少しもなれなかったと思う。成人した息子がいる私にはその気持ちは痛いほど分かる。それでもお互いが決めたのならと、反対の気持ちを押し殺しどうにか理解してくれて、こうして招き入れてくれるご両親には本当に心から感謝している。
破天荒ながらも経験値だけはある姉さん女房としては、少しでも家族の距離を縮めて、たまに帰省する時には楽しく笑いあえたらと色々と作戦を練る。
まずはお土産。一つは旦那くんに選んでもらったご両親好みのお菓子セット。「お土産なんて気をつかわないでいいのに」と言われた時、「いえいえ、彼がお義母さんたちが好きそうだと選んだんです」と、自分は気の使えない嫁だけど、親思いの優しい息子を立てるのがポイント。「あらそう、最近はあまり甘い物も食べないんだけどね」などと本音なのか嫌味なのかが分からない台詞が返ってきても、旦那くんセレクトだからとニコニコ流せる。
もう一つは自分で選んだ少し高価なもの。有名なブランド品よりも自らの近況や好みを伝えられるものが良い。例えば前回は、編み物作家の友達が作っているストールと手袋をお土産にした。「色合いとか温かみがあってなかなか良いんですよ」これのポイントは「あら、そんなに高価なものを悪いわね」と妙に恐縮させないこと。「私の知り合いにも編みぐるみが上手な人がいてね」と、お返しに可愛いパンダのストラップを戴いた。
今回の私チョイスは「牛タン」。自分のカフェで、去年から牛タン弁当を始めたので、その味見をしてください!というもの。桐の箱に入っているようなお高そうなお肉ではなく、業務用丸出しのパウチされたてんこ盛り感もいいかと思った。「良かったら少し焼いてみます?」とキッチンに立つことも、小分けにして保存するお手伝いも出来ちゃう。
でも、本当は孫の顔が一番のお土産なんだろうなぁと、申し訳なく思いつつも、お義母さんが作ってくれたおせちやお雑煮をとにかく食べて、とにかく笑った。また少しだけ家族に近づけた気がした。
文/ちはる
ちはる テレビ、CF、著書の企画、 プロデュースなどで活躍中。12年、14歳年下の旦那くんと再婚。目黒でカフェ「チャム・アパートメント」を経営。