【連載】熟れすぎMANGO VOL.131
2017/10/12
ちはるの老眼鏡!?「ノンフィクション人生」
猫の気持ち
2匹の猫と暮らし始めてもうすぐ1年。寅次郎とさくら。2匹はきょうだいではないけれど、心優しい保護主さんに救われ、縁があって我が家へ。びっくりお目めのキジトラの寅次郎は生後1カ月で出会った時から好奇心旺盛で人なつっこい子猫ちゃん。まるでカンガルーの赤ちゃんみたいに私のTシャツや短パンの中にもぐり込んできてはグルグルと気持ち良さげに喉を鳴らす。むぅー可愛くてたまらーん!
三毛猫のさくらは、うちに来た時にはもう5ヶ月。寅と比べると体も大きく警戒心が強い。新しい家に慣れるまではと、最初はケージに入れていたのだが、トイレ掃除の隙に脱走し、ソファーの隙間に身を隠してしまった。えさや猫じゃらしで釣っても一向に出てこなくって、ぷるぷると体と瞳を震わせながら長い時間立てこもった。保護主さんに相談すると、なるべくそっと様子を見守って「怖くないよ」と声がけをとのこと。「大丈夫よー怖くないよー」。確かに3日後には遠巻きにだが姿を見せてくれるように。「大丈夫よー怖くないよー」。逃げずに触れさせてくれるまで1ヶ月以上はかかったと思う。今ではしつこいぐらい、自らカラダをすり寄せてくれる。
先日、友人の紹介でアニマルセラピストをやっている女性と出会った。なんでも犬や猫の気持ちが読み解けてしまう方らしい。動物のオーラも見えると聞いて最初は半信半疑だったが、我が家の猫の気持ちを聞いてみたくなった。写真を見るだけでも霊視のようにある程度のことは分かるというので、スマホの待ち受け画面にしている寅とさくらを見てもらった。
「さくらちゃんはすごく怖がりでしょ?」。優しく微笑みながらサラッと言われて、ドキッとしてしまった。「はいっ! 極度のビビリです」。思わず前のめりになる。「小さい時にね、驚かされて怖い思いをした経験があるみたい。だから突然触られるのがとても苦手。でもママさんのブラッシングは気持ちいいから、もっとしてーって。寅ちゃんは、逆に触られるのが大好きね。前に食べたささみの茹でたやつがもっと食べたいって言ってますよ」。
すごい! 何で分かるんだ!? 想像以上の的中っぷりにすっかり心を掴まれてしまった。一番印象的なのが、さくらが何もない空中を見つめて変な声で鳴いたりしないか?と聞かれたこと。「はい! よくあるんです」。「さくらちゃんはとても霊感が強いみたいだから色々見えちゃうの」「え? 霊が見えるってこと?」「そう。生霊なんかも強く感じるみたいだから、そういう時は察してあげてくださいね」察する? 生霊を? こ、怖すぎるでしょ。
そんなスピリチュアルなお話を聞いてから、さくらが変な声で鳴きだすとちょっとビビる。そして、「大丈夫よー怖くないよー」とおまじないのように猫なで声で繰り返す。
文/ちはる
ちはる/テレビ、CF、著書の企画などで活躍中。12年、14歳年下の旦那くんと再婚。目黒でカフェ「チャム・アパートメント」を経営。