今日からできる!赤ちゃんの言葉の土台を育むポイント3
2022/03/28
今回は、おうちのかたがすぐに実践できる3つのポイントをご紹介します。「がんばって言葉を教えよう」と気負わず、気長に、赤ちゃんとのやりとりを楽しんでくださいね。
<お話をうかがった先生>
今井和子(いまいかずこ)先生
20年以上保育士を務め、子どもの「ことば」「自我の育ち」「質の高い乳児保育の実践と子育て支援」を柱とした実践研究を続け、お茶の水女子大学非常勤講師、立教女学院短期大学幼児教育科教授を歴任。「子どもとことば研究会」代表。『遊びこそ豊かな学び』(ひとなる書房)など著書多数。
1 赤ちゃんのまねとやりとりで「伝える楽しさ」を感じさせる
●おうちのかたの反応で言葉が育つ
たくさんの言葉を知って話せるようになっても、伝えたいと思わなければ、赤ちゃんは話そうとはしないでしょう。伝えたいという意欲は、言葉を育むための大切な土台なのです。
赤ちゃんは、おうちのかたが大好き。大好きな人には、伝えたいと思うものです。その意欲を、親子で楽しめる遊びで育みましょう。
●赤ちゃんが言ったことをまねする
赤ちゃんがおうちのかたに話しかけるようなトーンで「アブブブー」と言ったら、「アブブブー。おしゃべりできたね」と、まねして応えましょう。自分の声に反応してもらえる楽しさが、伝えたい意欲をさらに育みます。
●ものをやりとりして遊ぶ
ボールや人形などのものを手渡す遊びで、やりとりを楽しみましょう。渡すときに「どうぞ」と言うなど、動きやジェスチャーに言葉を添えることで、赤ちゃんの言葉の理解にもつながります。
2 聞き取りやすく言いやすい言葉かけをする
聞き取りやすい言葉と笑顔が大切。
赤ちゃんは、言葉を繰り返し聞いて覚えていきます。赤ちゃんが聞き取りやすく、かつ親しみやすい言葉を使いましょう。
例えば「マンマ」「わんわん」などの言葉は、親しみやすく、喃語で発声する赤ちゃんが言いやすく、覚えやすい言葉です。特に言葉が出てくるまでの時期は、積極的に使いましょう。また、言葉をかけるときは笑顔も大切です。
言葉かけのコツ
◆繰り返しのある言葉を使う
擬音語・擬態語は繰り返しの言葉が多く、赤ちゃんが聞き取りやすいもの。状況に合わせて「たいこが、ドンドン」「わんわん、かわいいね。毛がフワフワだね」「ボールがコロコロコロ~」などと言葉をかけるといいでしょう。
◆声のトーンを高くする
赤ちゃんは、トーンの高い声に反応しやすいといわれています。おうちのかたは、通常の会話のトーンよりも、少し高いトーンで声をかけましょう。
◆ゆっくり、はっきり話す
おうちのかたが早口だと、赤ちゃんが聞き取りにくくなります。ゆっくりと抑揚をつけた言葉かけは、赤ちゃんにとって心地よく、聞き取りやすいものです。
◆短い文で話す
「赤くてきれいなお花が咲いているね」。このように、一文にいろいろな情報が入っていると、この時期の赤ちゃんには理解するのが難しいものです。「赤いお花だね」「お花、きれいだね」と、なじみのある単語がひとつ含まれる短い文で語りかけましょう。
3 赤ちゃんの興味に応じて言葉をかける
今見ているものに言葉を添えて。
9カ月頃からの大きな特徴は、ものを介して人と関わることです。例えば好きなりんごを見て指差したあと、おうちのかたを見て、自分の関心が伝わったかを確認するときがあります。おうちのかたが「りんごだね」「おいしそうね」と言葉で応えると、赤ちゃんはうれしくなって「もっと伝えたい」と思います。
大切なのは、赤ちゃんが興味を示したときに応じること。自分が興味をもったものとおうちのかたが言う音を結びつけて、赤ちゃんは言葉を獲得していきます。言葉は「教える」のではなく、興味に応じて「添える」つもりで語りかけるといいでしょう。
指差しに応える
指差しは、周囲のものに関心をもち、人に伝えようとする意思の表れ。「言葉の前兆」といわれるほど大事なことです。赤ちゃんが指差しで何かを伝えようとしているときは、おうちのかたはできるだけ応えましょう。こうしたところからも、伝えたい意欲が育まれます。
気持ちをくみとる
犬を見た赤ちゃんが、「わんわん」と言ったとき。そこには「ママ、見て!」や「わんわん、いた」など、いろいろな気持ちが込められています。赤ちゃんの様子や表情から気持ちをくみとって、「わんわん、いたね」などと言葉にしましょう。難しい場合は、赤ちゃんの言葉を繰り返すだけでも大丈夫です。
※取材時の情報です。
参照:〈こどもちゃれんじ〉