五輪が終わったらつぎは世界選手権!「フィギュア沼」にハマるためのフィギュア観戦ガイド
2022/02/22
日本中を熱狂させた北京2022冬季五輪が閉幕しました。しかし、五輪が終わっても、フィギュアスケートのシーズンはまだ終わりません。
そこで今回は、北京五輪以降の予定されているフィギュアスケートの大会スケジュールと見どころについて、さまざまなメディアでフィギュアスケートのライターとして活躍する長谷川仁美さんに紹介してもらいます。
- 3月の「世界選手権」は“五輪直後”であることが見どころ!
- 「アイスショー」ではフィギュアの新たな魅力に気づくかも
- 11月NHK杯、12月全日本選手権、そして2023年の世界選手権は日本開催!
- 生観戦でもオンライン配信観戦でも、フィギュアスケートを見るのは楽しい!
3月の「世界選手権」は“五輪直後”であることが見どころ!
フィギュアスケートのシーズンを締めくくる大きな大会「世界フィギュアスケート選手権」は、3月23日にフランスのモンペリエで始まります。もちろん、五輪出場選手の多くも、この大会に出場します。
多くの選手にとって、世界選手権が今シーズン最後の大会になることが多いので、シーズンの集大成としての高レベルの演技がたくさん見られる大会になりますね。
日本代表は、男子は羽生選手、宇野選手、鍵山選手。女子は坂本選手、樋口選手、河辺選手。ペアは三浦&木原組。とここまでは北京五輪と同じメンバーですね。アイスダンスだけ五輪とは変わって、村元哉中&髙橋大輔組が出場します。
世界選手権の最終順位によって、来シーズンの世界選手権の出場枠が決まります。枠取りにかける戦いも見られる、熱い大会になりますね。
今年の世界選手権は「五輪直後」であることも、見どころになってきます。
今回の五輪で悔しい思いをした選手たちは、「もう一度」と気持ちと身体を整えて臨むでしょう。そのため、五輪直後の世界選手権では、熱く素晴らしい演技が見られることがあります。
たとえば、バンクーバー五輪(2010年)銀メダルの浅田真央さんは、五輪直後の世界選手権で優勝しています。彼女は、その4年後のソチ五輪(2014年)でも悔しい思いをしますが、直後の世界選手権では優勝!やっぱり浅田真央は素晴らしいスケーターだと、スケートファンの心に刻み込まれました。
また、ソチ五輪で5位だった町田樹さんは1ヶ月後、初出場の世界選手権で堂々の銀メダリストに。ちなみに、この世界選手権ではソチ五輪優勝の羽生結弦選手が初優勝を果たしています。平昌五輪(2018年)で悔しい思いをしたネイサン・チェン選手も、直後の世界選手権で優勝しました。
北京五輪で悔しい思いした選手が、世界選手権でどんな演技を披露してくれるのか、しっかりと見つめたいですね。
会場は、南フランスのモンペリエ。このご時世ですので、渡航しての現地観戦は現実的ではありません。テレビ放送が充実していますので、ぜひテレビでの観戦を楽しみましょう!
ちなみに、コロナ禍でなければ、毎年かなりたくさんの日本人ファンが、世界選手権観戦に出かけています。海外スケート観戦旅行、楽しいですよ!
「アイスショー」ではフィギュアの新たな魅力に気づくかも
世界選手権が終わると、今シーズンも終わりです。例年、4月下旬から8月下旬あたりまで、全国各地の会場でアイスショーが開催されます。
今年の春以降のアイスショーの予定も、少しずつ発表されています。北京五輪に出場した日本代表選手やほかの現役選手たち、現役を引退してプロスケーターになったスケーターたちも、多くのアイスショーに出演するでしょう。楽しみに待ちたいですね。
以前は、ネイサン・チェン選手やプルシェンコさん、ランビエルさん(宇野選手のコーチでもありますね)なども出演していました。ここ2年はコロナ禍のため、海外スケーターの出演はなかったのですが、少しずつまた日本のアイスショーに出演できるようになってくるかもしれません。
とはいえ、海外勢がいなかったこの2シーズンのアイスショーも、とても充実していました。そのくらい、今の日本のフィギュアスケートの層は厚いのです。
アイスショーでは、「テレビで見ていたあのスケーター」の滑りを生で見られる喜びもあります。また、試合では真剣な表情で集中している選手たちの、ショーならではの穏やかな表情や、ほかの選手とわいわい過ごしている様子などを見守るのも楽しいものです。
この時期はちょうど、次のシーズンの新しいプログラムをつくる時期と重なります。そのため、いち早く、新しいプログラムがお披露目されることもあります。うれしいですね。
アイスショーは、五輪とはまた違ったフィギュアスケートの魅力に気づく場になるでしょう。
11月NHK杯、12月全日本選手権、そして2023年の世界選手権は日本開催!
新しいシーズンは8月ごろから始まり、シニアの大きな大会は10月ごろから本格的にスタートします。
例年、日本国内の大きな大会は2つ。1つ目は、「NHK杯国際フィギュアスケート競技大会」。もう1つは、「全日本フィギュアスケート選手権」です。2022年のNHK杯は11月18日~20日に札幌で開催されます。全日本選手権の詳細はまだ発表されていませんが、例年どおり12月下旬の開催になることでしょう。
NHK杯は、国際スケート連盟の「グランプリシリーズ」のひとつ。NHK杯を含めた世界各地の6大会の成績上位者6名が「グランプリファイナル」に進むこともあり、国内外からトップレベルの選手だけが集まる大会です。
全日本選手権は、基本的に日本のトップ選手がみんな出場する大会です。全日本選手権の結果などをもとに、シーズン後半の世界選手権や四大陸選手権などの代表選手が決まるため、トップ選手にとっては、かなりピークを合わせて臨む大会になります。
スケーターたちにとって全日本選手権とは、幼いころからの憧れの大会のひとつなんですね。この場でいい演技ができるようにがんばってきた選手が多いので、気迫や思いのこもった演技がたくさん見られます。そんな演技を目のあたりにして、思わず見ているこちらが涙、涙……ということも少なくありません。
ちなみに来シーズン(2023年)は、世界選手権がさいたまスーパーアリーナで開催されます! 世界中のトップ選手たちにとって、このシーズンで最も重要な大会が、2023年3月下旬、日本で見られるのです。もう、いまから楽しみです。
生観戦でもオンライン配信観戦でも、フィギュアスケートを見るのは楽しい!
アイスショーや試合を見に行くのには、チケットが必要です。どの大会やアイスショーのチケットも、オンラインのチケット販売サイトから購入できます。
フィギュアスケートの大会やアイスショーは人気ですので、チケットを手にできないこともあります。しかしここ数年、電子チケットになったことで、一般販売でチケットを手にできなかった場合でも、チケットトレードなどで手にできる機会が増えてきました。
また、コロナ禍になってからは、大会やアイスショーのオンライン配信が一気に充実しました。以前だったら、遠方のために諦めていた大会やアイスショーを、リアルタイムで見ることもできます。ファンにとってうれしいことですね。
五輪をきっかけに、「フィギュアスケート沼」にハマる人は、想像以上にたくさんいます。私も、そのひとりです。
ぜひこれを機会に、新しい趣味や楽しみとして、継続的にフィギュアスケート観戦を楽しんでみませんか?
◆監修・執筆/長谷川仁美
ライター。1974年静岡市生まれ。1992年アルベールビル五輪の伊藤みどりさんのころからフィギュアスケートを見始め、2002年より取材開始。選手、コーチ、振付師、関係者など、数多くのインタビューを行ってきた。『蒼い炎II-飛翔編-』(羽生結弦)の構成、雑誌『フィギュアスケートLife』、雑誌『Ice Jewels』、Web媒体などでの執筆、オンライントークの企画運営、スケート関連雑貨の企画販売なども。保育園児の育児に揺さぶられる日々を送っている。