女性とともに!今後、ますます広がる助産師の役割~連載『はじめよう!フェムテック』

2023/03/13

2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀総編集長と東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。

<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
大学卒業後、出版社3社の編集部を経て、1995年ベネッセコーポレーションに入社。『サンキュ!』編集長を長く勤め、現在はK&Fメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務める。30歳の長女一人。

●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった32歳。

<ゲスト>
●島田真理恵 Marie Shimada
公益社団法人 日本助産師会会長・大学教授。1959年東京都生まれ。聖路加看護大学(現聖路加国際大学)学士、修士を修了。2005年には、昭和大学で医学博士号を取得する。10年間の助産師経験を経て大学教員に。2011年から、上智大学総合人間科学部看護学科教授を務める。 https://www.midwife.or.jp/

まだまだ認知度の低い「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートした番組の第2フェーズ。今回のゲストは、公益社団法人 日本助産師会会長で、上智大学教授の島田真理恵さんです。「日本助産師会には、弊社の『たまごクラブ』、『ひよこクラブ』などで、いつも監修などをお願いしていて、本当にお世話になっています。女性のライフスタイルが変化する今、助産師というお仕事の役割、若い世代の妊娠や出産に対する考え方などを伺っていきたいと思います」(伊久美)

妊娠・出産・育児だけではなく、女性全体をサポートする助産師の役割

■東島アナ「今回のゲストは、日本助産師会会長の島田真理恵さんです。医学博士号、看護師、助産師、保険免許師の資格を取得されています。10年の助産師経験の後に教員になられ、2011年から上智大学総合人間科学部看護学科の教授に就任。2019年からは公益社団法人日本助産師会会長も務めていらっしゃいます。基本的なことからお伺いしたいのですが、助産師というのはどのようなお仕事なのでしょうか」

■島田「助産師は、昔は地域で妊娠、出産や育児をサポートする役割を担っていました。現在は女性の生き方も多様化しているので、助産師の役割も妊娠、出産、育児の支援をするだけではなく、ライフサイクルを通して女性をサポートする専門職として位置づけられています。また、働く場も病院をはじめ医療機関、助産所、自治体など、多岐に渡っています。英語で助産師は “Midwife” といいますが、“女性とともに”という意味があるのです」

■伊久美「助産師さんにサポートしていただくのは、赤ちゃんが生まれる瞬間だけではないのですね。ライフサイクルを通して女性を支援していただけることは知らないかたも多いと思います」

■島田「そうですね。かつては、確かに妊娠や出産におけるサポートがメインでしたが、専門職というのは、支援する対象の人たちのニーズによって役割は変わっていきます。現在は女性の生き方や価値観がさまざまなので、女性全体の健康支援や包括的な性教育を実施する役割があると認知されています」

■東島アナ「助産師さんになるためには、どんな資格が必要になるのでしょうか 」

■島田「日本の場合、助産師になるには、まず看護師の免許をもっていることが前提となります。その上で助産師の教育課程を修了して、助産師の国家試験を受けて免許を取得します。助産師は正常な妊娠、出産の経過をきちんと診断をする役割があるので、助産診断技術学という科目を学んで、状況を的確に判断し提供する義務があります」

■伊久美「助産診断技術学、初めて聞きました。国家資格を持ち、しっかり学ばれているので、妊婦さんは安心できますね」

■島田「そうですね。出産は、まず母子の命を守ることが大切です。その状況を見極め、正常から逸脱する場合には、確実に産婦人科医に繋ぐ必要があります」

若い世代にとっての妊娠や出産、そして助産師を目指す動機とは?

■東島アナ「島田さんは大学で、未来の助産師を育てる講義もされています。助産師は素晴らしいお仕事ですが、資格を取るまで本当に難しそうそうですが、助産師さんを目指す学生さんは多いのでしょうか」

■島田「看護学科の学生さんは、看護師さんになるために入学していますが、助産師になることを希望しているかたも多いです。ただ、看護学の授業だけでも単位数が多くハードですし、ある一定の成績をとらないと助産師の教育課程へは進めません。ですからモチベーションを持ち続け、卒業後に教育課程へたどりつける学生さんはあまり多くないというのが現状です」

■伊久美「看護師さんの免許に+αということですよね。すごい! 入学時、みなさんは、なぜ助産師さんになりたいと思われるのでしょうか」

■島田「アニメやTVのドキュメンタリー番組などを観て、助産師に憧れるかたが多いようです。私自身は、入学時は助産師になろうとは思いませんでした(笑)。ただ、在学中、助産の教育課程でお産の介助をする実習があって、学生ではありましたが妊産婦さんに信頼していただけ、大変でしたが貴重な体験ができました。そのことがきっかけで、女性を支援する専門職である助産師になりたいと思いました」

■東島アナ「今の若い世代は、出産や育児に関してどう感じているのでしょうか」

■島田「私は看護学科の授業だけではなく、所属する大学の全学共通科目で、他学科の学生さんにも講義をする機会をいただいています。今の大学生には、少子化問題や妊娠・出産に関する話題を、いろいろな学問領域で学ぶ機会があります。ただ、その学びはあくまでも学問的で、医学的な知識というのはあまりもちあわせていないようです。基本的な情報を知らない学生さんが多いように思います」

■伊久美「妊娠や出産に関する基本的な情報というのは、例えばどういうことでしょう」

■島田「TVドラマなどを観ていると、陣痛が起こって急にあのお腹が痛くなり、救急車で病院へ行くというようなシーンがよく出てきます。でも実際には、陣痛が始まったからといって救急車に乗る必要もないですし、お腹も急に痛くなるわけではありません。徐々に陣痛の間隔が短く強くなっていき、12~15時間かけて子どもは生まれるのです。そういう基本的な情報を知らないかたが多いですね。それは小学校、中学校、高校で与えられる情報が、非常に少ないからだと思います」

■東島アナ「確かに。大人になって、いきなり出産を経験するという感じですよね。学生時代に、しっかりとした情報がほしいです。これは、日本の性教育の課題になってきますね」

合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」

●次回も、日本助産師会会長で上智大学教授の島田真理恵さんをゲストにお迎えします。

【番組インフォメーション】 『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にオンエア。聴き逃しは『radiko』で(※首都圏にお住まいのかたは放送後1週間)お聴きになれます!

●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/

●撮影/寿 友紀 

 
 

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