けんかがなくなる収納法⁉優しさと気づかいがつまった“男2人カップル”のキッチン|あの人の棚と引き出しと冷蔵庫
2023/02/23
気になるあの人の家にお邪魔して、見せてもらうのは「棚」と「引き出し」と「冷蔵庫」の中。今回は、整理収納アドバイザーでルームスタイリストの安藤秀通さんのキッチンを拝見します。
二人の趣味が合わず難航した家選びに ある日突然、運命の出合い
家探しをするうえで、安藤さんが重要視していたのは「駅が近いことと雰囲気」。いっぽう年上パートナーの通称ぶたじるさんは、「キッチンや使い勝手」。なかなか意見が合わず、家探しは難航したといいます。
「私がいいと思った物件も、ぶたじるさんからは『この家でやりたいことは本当にできるの?』とするどい指摘が入ることもありました(笑)。
ここに初めて来たときリノベーションしたてで木のにおいがして、夏の日差しでキラキラしていたんです。私はすぐにピンときて!2人で顔を見合わせた瞬間があって、ぶたじるさんも気に入ったことがわかりました」。
調理器具も食器も最小限だから、すっきり。夜寝る前にものがない状態にして、水滴をきれいにふき取ってリセットするのが日課。
パートナーの使いやすさを考えて収納を設計。そしてその意図を必ず説明します
引っ越し後、コロナの影響で在宅ワークになった2人。自炊の頻度も増え、2人でキッチンに立つことが多くなりました。
「家を購入する決め手の一つだったキッチンは、部屋の中心にあって壁もなく開放的。広くないからこそキッチン用品や収納を厳選していて、お気に入りに囲まれた大好きな空間です。
パートナーは料理が得意で、パン作りが趣味。キッチンの主導権はぶたじるさんにあります。だから私は、ぶたじるさんが使いやすい収納を考えます。本当に使いやすいかどうかは都度確認。「こういう意味があって、ここに置いているんだよ」と必ず説明しています。ときどき『なんでこんなところに入れるの?』なんてこともありますが、もちろん言いません(笑)。2人でキッチンに立ち、おしゃべりをしながら料理をする。その何気ない時間が、とても幸せです」。
シンク下の棚は、一軍の食器入れ。ニトリのファイルボックスを使用し、食器類を立てて収納することで出し入れがラクに!
ものが増えないようにするコツは 「2人で」探すことかもしれない
日ごろから話し合いを大切にしているという2人。ものを購入するときも、2人で意見を出し合っているといいます。
「こういう色でこんな機能があるといいよね、と条件を出すのが私。すると、リサーチが得意なぶたじるさんが3つくらい案を出してくれるんです。そこから私が選ぶというのがわが家のパターン。迷っていた冷蔵庫も、納得いくものが見つかりました」。
大好きな食器も、2人で吟味したお気に入りばかり。以前はそれなりの量があったといいますが、現在は棚2個ぶん程度に厳選。
「丈夫で、どんな料理にも合う器を選べば、数は少なくても問題ありませんでした。2人で探したお気に入りのお気に入りだけだから、どの食器を使ってもいつもテンションが上がる。毎日の食事がより楽しくなります」。
冷蔵室は下段に使用頻度の高いものを入れ、ときどきしか使わないパンの材料などは上段に。隙間をつくっておくことで、作り置きやいただきものを収納できます。
ドアポケットに仕切りをつけることで、牛乳やボトルが定位置に収納できて倒れません。チューブ類や余った調味料の小袋も専用ケースに。すべて100円アイテムです。
住所を決めて、7割しか入れない。食品ロスとストレスのない冷蔵庫の秘訣です
健康のことを考えて自炊が多いという2人ですが、食材をムダにすることはほとんどないそう。
「収納ケースは透明または半透明。ラベルを貼れば置き場所が決められます」。どこに何があるかどのくらい入っているのか、ひと目でわかれば在庫を心配して買いすぎることもなくなりそう。
安藤さんが使うときも、ぶたじるさんが使うときも、お互いが迷うことなく出し入れすることで「あれどこ?」がゼロに。
小分けにしてラベリングする最初のひと手間が、その後のストレスを防ぐのかもしれません。「すべての収納に言えることですが、詰め込みすぎないことがポイント。7割収納をめざし、余白をつくることで、食品ロスがなくなります」
冷凍室は収納ケースで区切ってジャンル分け。立ててしまえば、死蔵品はなし。
「野菜室や冷凍室は引き出しだから、上から見て何が入っているかわかるように立てて収納します」。
最近は、ミールキットを利用することも多いという2人。献立を考える時間も食材を購入する手間もカットできるので、気に入っているのだとか。
「恥ずかしながら血糖値が高いので、パートナーが食事に気を使ってくれています。ミールキットが冷蔵庫にあることで、献立を考える手間を減らせる。食材も最小限ですむ。手抜きのための外食の回数も減るので意外と経済的なんです」。
晩酌用のチーズなど、2人の大好物を常備。平置きできる分量だけと決めて、買いすぎを防止。
癒しの時間こそ、買い置きしたい。 冷蔵庫には小さな贅沢も常備する
ムダとストレスが省かれた冷蔵庫には、そのぶん楽しみを収納します。「私はお酒が飲めないのですが、ぶたじるさんはお酒好き。チルド室にはちょっと奮発した晩酌セットが入っていて、それをつまみに家でのんびりするのが癒しの時間。私はコーラで乾杯しています。もちろん、カロリーゼロの方を選んでいます(笑)!」
PROFILE
整理収納アドバイザー・ルームスタイリスト
安藤秀通(あんどうひでみち)さん
https://www.instagram.com/hidemaroom/
家族構成:7歳年上の男性パートナーと2人暮らし
住まい:東京都在住。築35年のリノベーションマンション(1DK 47㎡)
略歴:
雑貨の企画・ディスプレイの仕事を21年2月に退職し、整理収納アドバイザーの活動をスタート。
インテリアや整理収納サポート、講座の開催、執筆などを行う。
自宅で定期的に開催しているルームツアーも人気。過去には電気工事士、テーマパークでゴンドラをこぎながら歌うキャストだったことも。
撮影/林ひろし 取材・文/草野舞友