【韓国ドラマ】ロス必至!ナム・ジュヒョク主演『二十五、二十一』時代に夢を奪われた若者たちの成長を描いた青春ストーリーを韓ドラマニアが徹底解説!
2024/10/21
モデル出身俳優ナム・ジュヒョク。2024年9月に除隊し、今後どのような作品で復帰を果たすのか注目が集まっています。
そんなナム・ジュヒョクの主演作の中で視聴必須の代表作が2022年のドラマ『二十五、二十一』。深刻な経済不況に陥った韓国で、夢を奪われ、それでも逞しく成長する若者たちの青春を描いています。
ロス必至!ロス度高し!と韓ドラファンの間でも話題になった本作について、韓ドラライターのJUMIJUMIさんに解説してもらいましょう。
あらすじ:混乱の時代に翻弄されながらも、熱く美しく輝く若者たちの青春ストーリーが始まる!
1998年。幼い頃は「神童」と呼ばれていたソンジュン女子高校フェンシング部のナ・ヒド(キム・テリ)ですが、最近は負け続きのスランプ中。しかし同じ歳で韓国代表に選ばれ国際大会で金メダルを取ったコ・ユリム(ボナ)に憧れ、「いつか彼女のライバルになる!」と練習に励んでいました。
そんな最中、IMF経済危機の煽りを受けヒドのフェンシング部は廃部に…。諦められないヒドは、ユリムが所属するテヤン高校への転校を提案しますが、母親は「これを機にフェンシングを辞めなさい。」と聞いてくれません。
ヒドは「問題を起こして強制転校になろう」と、 ケンカの現場にあえて飛び込むなど突飛な行動をとりますが、計画は難航。そんな中でペク・イジン(ナム・ジュヒョク)と出会います。
イジンは裕福な家庭で育ち名門大学に通っていましたが、経済危機により父親の会社が倒産。家族は離散し大学も休学を余儀なくされ、一人で下宿暮らしをしながらアルバイトで生計を立てていました。
「時代」に夢を奪われたイジンと、それでも諦めずに突き進むヒド。2人の出会いから、楽しくおかしく切ない青春物語が始まります!
『二十五、二十一』見どころは?
見どころ1:とにかくペク・イジン!見どころはとにかくペク・イジンです!!
顔良し、頭良し。裕福な家庭で育った品の良さもあるペク・イジン。ヒドが転入したテヤン高校の卒業生で、当時は放送部に所属。バンド活動もするなど絵に描いたような人気者なのに近付き難い印象ではなく、近所のお兄さんのような親しみやすい雰囲気。ヒドにも初対面からタメ口を使われるなど、ちょっと舐められちゃう感じも可愛いところです。
何一つ不自由のない生活が、父親の会社の倒産で一変…。全てを失った人生のどん底でイジンは、時代に夢を奪われても決して諦めずに突き進むヒドと出会いました。
いつしかお互いが心の支えになり、性別も年齢も超えた「言葉にできない関係」を築いていく2人。時におかしく、時にジーンと来る2人の関係に、何度となく心を揺さぶられました。
無鉄砲なヒドを大人として冷静に諭す言葉、慌てて取り乱すヒドを落ち着かせる言葉、100%ヒドを信じ応援する言葉。イジンの言葉と真っ直ぐな眼差しには人を勇気づけるパワーがあります。そして何故かギュッと胸を締め付けられます。
すごく好きだったけど別れてしまったあの人…。ペク・イジンからそんな切なさや哀愁を感じるのは私だけではないはずです。
見どころ2:実年齢は逆4歳差!ナ・ヒドを演じられるのはキム・テリしかいない!
タイトル『二十五、二十一』の通り、イジンとヒドの年齢差は4歳。しかし実年齢はイジン役ナム・ジュヒョクが1994年生まれ、ヒド役キム・テリが1990年生まれ。キム・テリのほうが4歳年上です。
しかも撮影当時キム・テリが31歳だったという事実、信じられますか…!?
制服のスカートの下にジャージを履いて、スリッパで走り回り、雨に打たれるのが好きな無邪気さ。泣いたり怒ったり笑ったり、感情が豊かな天真爛漫さ。本物の高校生よりも高校生らしく見せるキム・テリの演技には言葉を失いました。
フェンシングに対しては誰にも負けない熱意を持ち、苦悩しながらも情熱を失いません。何より、楽しそうにフェンシングに打ち込む姿はキラキラ輝いて、見ていて羨ましくなるほどです。
フェンシング選手として、大人として成長していくヒドは、誰もが心から応援したくなる青春の象徴のようなキャラクター。撮影開始の半年前から訓練を積んだというフェンシングシーンも、迫力がありかっこいいです!
見どころ3:「青春」と切っても切り離せないもの。友情、恋、そして別れ…。
ヒドは同じ歳の金メダリスト「フェンシングの妖精」コ・ユリムにずっと憧れていました。転校し念願叶ってユリムのチームメイトになりますが、ユリムはヒドを敵対視し冷たく当たります。
金メダリストとして国の期待を背負うユリムにとって、急成長するヒドは目障りな存在。チャンスを掴んだヒドが韓国代表チームに選抜されると、2人の仲はますます悪化していきますが…。
ヒドとユリムのクラスメイトでお調子者のムン・ジウン(チェ・ヒョヌク)は、一途にユリムを想いアプローチし続けます。学級委員チ・スンワン(イ・ジュミョン)は、イジンが下宿する家の娘。学年一位の秀才ですが、彼女には大きな秘密も…。
様々な縁で繋がった同級生4人とイジンの、先輩後輩を超えた友情も見どころです。
成長とともに、激動する時代とともに、彼らの立場や関係も変わっていきます。いつまでもこのままではいられない。それが青春時代です。彼らの物語に大いに泣いてください!!
筆者の感想:なぜこんなに胸が締め付けられる?きっとそこにはあなたにも身に覚えがある青春が詰まっている…。
ヒットした韓ドラの中で特に人気が高い登場人物は、その役名で記憶されます。韓国では『相続者たち』のキム・タン(イ・ミンホ)、『星から来たあなた』のト・ミンジュン(キム・スヒョン)、『梨泰院クラス』パク・セロイなどの名前がよく挙げられます。
ナム・ジュヒョクが演じた本作の主人公ペク・イジンも、歴代級登場人物の一人にその名を刻みました。筆者にとっては「忘れられない人」になりました。
オープニング映像はアナログ感溢れるレトロな演出。作中にはポケベルや、改めて見ると驚くほど奥行きがあるコンピューター、たまごっちやプリントシール機なども出てきます。多くの人が「眩しかったあの頃」を思い出せるアイテムがいっぱい。
ヒドの愛読漫画「フルハウス」の新巻が出ることで時間の経過が表れているあたりもお洒落だなと感じました。
韓ドラ好き歴20年になろうとしている筆者。実を言うと、これまで「大好きで何度も見てしまう作品」は山ほどありましたが、「見返すことができない作品」は本作が初めてでした。
毎話毎話、おかしくて笑って、感動して泣いて。話が進むごとに胸が締め付けられる切ない痛みに襲われて。ロス期間も圧倒的に過去最長でした。
この記事を書くために2年半の時を経て初めて見返しましたが、やっぱり、すごく、胸が苦しい。そしてまたしても激しいロス(こうなるのが分かってたから見返さなかったのです)。
なぜこんなにも苦しいのか改めて考えてみました。
彼ら5人の物語はみんなが憧れる「おとぎ話」や「シンデレラストーリー」ではなく、残酷なまでに現実的であること。そしてやはり、自分にも似たような経験があるからだと思います。
自分たちを中心に世界が回っているような謎の自信。くだらないことでお腹が痛くなるほど大笑いしたあの日。みんなで見た夕日。キラキラした光景が、今でもふと頭に浮かぶことがあるでしょう。
それと同時に思い出すのは、失敗や挫折。伝えられなかった言葉や伝えたことを後悔している言葉。親や先生に反発したこと。たくさんの苦い経験。
誰もが経験してきた決して美しいだけではない青春時代を、ヒドやイジンたちも生きています。だからこそこんなにも心を揺さぶられるのです。
もうあんな時間を過ごすことはできない恋しさや切なさ。だけどあの頃の思い出があるから今の自分があり、今を生きる糧になっているという誇らしさ。そんな想いがじんわりと余韻として残る作品です。
『二十五、二十一』は2024年10月現在、Netflixで視聴可能です。
■執筆/JUMIJUMIさん…韓国留学を機に韓国の文化に魅了される。年間50作品以上の韓国ドラマを視聴し、またライターとして情報発信も積極的に行う。ただ作品の内容を説明をするだけでなく、食や生活様式など文化面から掘り下げた解説を得意としている。インスタグラムはjumistyle99。