台風10号

【台風防災】じつはその知識、古いかも?台風情報の「新しい見方」を気象予報士が解説

2025/07/14

毎年やってくる台風シーズン。日本で生活していると、テレビやネットで台風情報をよく見るので、「もう慣れているよ」と思う人もいるかもしれませんが、ちょっと待って。

じつは科学技術の進歩によって台風情報は年々新しくなっていて、古い常識のままだと損してしまっているかも!?今回は、気象予報士・防災士の資格を持つライター・植松愛実が、“損しない”防災のための新しい台風情報の見方を解説します。

サンキュ!STYLEライター。本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。サンキュ!STYLEで...

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台風が発生していないのに予報が出る!?

熱帯低気圧情報
台風発生前に出る予報円の例。まだ台風になっていないので「熱帯低気圧a」として表示されている(出典:気象庁HP)

よくテレビの天気予報などに登場する台風の予報は、台風の中心が現在地からどこへ進みそうかを円で表した「予報円」と呼ばれるものが定番ですよね。かつては、台風が実際に発生してから5日先までの予報円が発表されていましたが、現在では、まだ発生していない段階から予報円が出されるようになっています。

台風は熱帯低気圧が発達して中心付近の風速が強くなったものを言いますが、熱帯低気圧が24時間以内に台風になると予想された時点で、早めに5日先までの予報円が発表されるのです。従来よりも前もって予定を考えることができるようになったので、ぜひ活用しましょう。

暴風が危ないエリアがひと目でわかる!

台風情報
(左)従来からある、暴風警戒域が示された予報円、(右)暴風域に入る確率の例。東海や関東よりも北陸で危険度が高いことがわかる(気象庁HPを元に作成)

台風の予報円には、ときどき白い円の周りに大きな赤い円が加えられていることがあります。「暴風警戒域」と呼ばれるもので、これから暴風域に入る可能性のあるエリアを示すもの。暴風域では走行中のトラックが横転することもあるような風が吹くため、防災上重要な情報です。

ただ、この「暴風警戒域」、びっくりするくらい広い範囲に描かれていることもあり、パっと見せられてもどこがどのくらい危険なのかピンと来ないのが困りものでした。そこで現在では、暴風域に入る可能性が高いエリアと低いエリアが色分けされるように。これならどのあたりが危険そうか、ひと目でわかりますよね。

この情報はまだあまりテレビで報道されることが少ないのですが、台風が発生しているときに気象庁のホームページで「台風情報」を開いて、画面上部の「すべての台風」のタブをクリックすると選択肢に出てくるので、ぜひ覚えて使ってみてください。

じつはさまざまな情報が変わっていた!

大雨
出典:写真AC

台風が近づいてくると雨が激しくなって大雨警報が出ることもありますが、じつは大雨警報の発表方法も時代とともに変わってきています。かつては、雨が何mm降ったかを基準に警報が出されていましたが、今では何mm降ったかよりも、その雨によって土砂災害などの危険性がどのくらい高まるかが重視され、より災害に直結する基準に。

しかも、そもそも雨が降ってから出されるのではなく、災害の危険性が高まる雨が降ると予想される時間帯から逆算して数時間前に出されるようになりました。つまり、警報が出された時点で雨があまり降っていなくても、これから警戒が必要、という意味になります。

ほかにも、かつて存在した「避難勧告」という情報は、現在は「避難指示」に統合されているなど、私たちの行動にかかわる身近な情報も年々新しくなり続けているのです。

防災の“常識”をアップデートし続けよう!

ふだん、テレビやネットでなんとなく見ている台風情報も、じつはその中身が年々進歩しています。新しく手に入るようになった情報をいち早く活用することで、仕事や家族の予定が立てやすくなったり、自分の地域に危険がせまっていることを正しく知ることができたりと、“損しない”防災につながります。

ひと昔前だったら、「どうせ当たらないし…」と思っていたかもしれない気象や防災の情報。せっかく便利になったぶん、しっかり使い倒していきましょう!

■執筆/植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。誰かに教えたくなるお天気の豆知識や災害に備えるコツ、「食」に関する情報を中心に発信中。

編集/サンキュ!編集部

 
 

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