【お焼香・お線香マナー】正しい回数、やり方は?通夜やお葬式でのマナーを解説

2019/02/14

「前回行ったお通夜では焼香回数が2回だったけど……」と、戸惑うことも多いのでは?。わかっているようで、実はわかっていないお焼香やお線香のあげ方。正しい回数、やり方やマナーを冠婚葬祭アドバイザーの中山みゆきさんに教えてもらいました。

「お線香をあげる」「焼香する」、どっち?

お線香には大きく分けて「線香」と「抹香」「焼香」があり、「線香」は「線香をあげる」、「抹香」「焼香」は「焼香する」と区別する場合もあります。

「線香」は普段仏壇やお墓まいりのときに使われている細い棒状のもの、「抹香」は細かい粉状のもの、「焼香」は刻んだ香木や香原料を調合したもので、通夜、葬式、法事などで使われます。

通夜、葬式、法事などでも「線香」が使われる場合ももちろんあり、この場合は「線香焼香」と言われます。

通夜、お葬式での焼香の仕方

通夜、お葬式などでは、「抹香」「焼香」で焼香をします。左手に数珠をかけて、右手の親指、人指し指、中指の3本で「抹香」または「焼香」をつまみ、目の高さまで持ち上げます。このことを「おしいただく」と言います。そして指でこすりながら隣にある香炉の中に落とします。

■【焼香の仕方】〜「立礼焼香」の場合〜
1.焼香台の少し手前で遺族と僧侶に一礼。焼香台の前に進み遺影を仰いで一礼、合掌した後にご焼香をします。数珠を左手にかけ、右手の親指、人差し指、中指の3本で抹香をつまみます。

2.抹香を軽くつまみ、右目の高さまでささげます。この時に手のひらは返さないこと。抹香をつまんだらそのまま目の高さまで持っていくこと(浄土真宗は香を額におしいただかずにつまんだ香をそのまま香炉に落とし入れます)。

3.抹香を香炉の中へ静かに落とします。なお、宗派によって回数は1~3回まで変わります。なお、参列者が多いときは、1回だけくべる場合もあります。

4.再び遺影に合掌、一礼をし、向きを変えずに少し下がり、遺族に一礼して戻ります。なお、宗派や地方のしきたりによって、抹香のくべる回数が異なります。気にする必要はありませんが、喪主や周囲の方のするのを見て、同じようにすると安心ですね。またご焼香の前に説明がある場合もあります。


■【焼香の仕方】〜「回し焼香」の場合〜
自宅の通夜や葬儀、法事などで行われます。読経中に香と香炉が1つになったものが盆にのって回ってきますが、基本的には立礼と同じです。

1.香炉が回ってきたら次の人に一礼。

2.抹香をくべる(やり方は立礼焼香と同じ)。

3.焼香が済んだら祭壇の遺影に合掌し、次の人に盆を回します。

4.立ち上がらずに、ひざをついたまま両手を軽くひざの脇につけて、体を軽く浮かせながら進みます。焼香台の前で、遺影と位牌に向かって一礼、そして合掌します。

5.左手に数珠をかけて、右手で焼香します。

6.再び合掌して、遺族に一礼。霊前に向いたままでひざをついて後ろに下がり、自分の席に戻ります。

焼香には、この他に「座礼焼香」があります。

宗派別に焼香の回数は違う

焼香の回数は宗派により異なり、または「おしいただく」ことはせず、低い位置から落とす宗派もあります。同じ宗派でも僧侶によっては作法が変わることもあります。

■浄土真宗本願寺派(西)
焼香回数は1回。おしいただくはしない。低い位置から落とす。

■浄土真宗大谷派(東)
焼香回数は2回。おしいただくはしない。低い位置から落とす。

■浄土宗
焼香回数は1〜3回。おしいただく。

■曹洞宗
焼香回数は一般的に2回。おしいただく。

■臨済宗
焼香回数は主に1回。おしいただくかどうかは、特に決まりはありません。

■日蓮宗
焼香回数は1~3回。おしいただく(葬儀では導師さまは3回、一般参列者は1回)。

■天台宗
焼香回数は主に2回。おしいただくかどうかは、特に決まりはありません。

■真言宗
焼香回数は3回。最初の1回のみおしいただく。
※真言宗の焼香回数の3回には、仏、法、僧の三宝(さんぽう)を敬い、内にある三毒(むきぼり、怒り、迷い)の心を清めるという意味があるのです。

線香焼香の場合も宗派により本数、置き方が違う

お線香の本数は宗派により異なり、宗派によってお線香は立てずに、香炉の大きさに合わせて寝かせて焚く場合もあります。また、同じ宗派でも僧侶によっては作法が変わることもあります。

■浄土真宗本願寺派(西)
お線香1本を2つに折り、その2本に同時に火をつけ、香炉の中に横に寝かせて置きます。

■浄土真宗大谷派(東)
お線香1本を火をつけないで折って、そのまま香炉の中に横に寝かせて置きます。

■浄土宗・曹洞宗・臨済宗
お線香1本に火をつけ、香炉の真ん中に立てます。

■日蓮宗
お線香3本に火をつけ、香炉の後ろに2本、手前に1本の三角形に3本立てる。ただし、僧侶によっては作法が異なり、1本だけ立てるでも問題ないケースがあります。


■天台宗・真言宗
お線香3本に同時に火をつけ、香炉の中に立てます。仏壇の方に2本、こちら側に1本と逆三角形になるように立てます。

キリスト教の場合、焼香は無く献花をする

キリスト教の場合は、献花をします。当日、式次第が配られることが多いので心配ご無用。聖歌や賛美歌も知らなければ、聞いているだけで大丈夫。宗派や教会によって違いがありますが、参列者の作法はだいたい同じです。

【献花のやり方】
献花の順番は喪主、遺族、一般参列者と行います。

1.順番がきたら右手に花を左手が茎になるように両手で受け取り、献花台の前に進んで一礼。
※キリスト教ではユリやカーネーション・白菊などの白い花を事前に用意されているので、準備する必要はありません。

2.花を右回りにして手前に向け、献花台に両手で捧げます。

3.深く一礼、短く黙祷。遺族に一礼して下がります。

その他、神式の玉串に悲しみの気持ちをのせて祭壇に捧げる「玉串奉奠」という作法もあります。また、特定の宗派を信じない無信仰の通夜やお葬式の場合は、お経も焼香も献花も何もしません。

時間が無く、焼香のみで帰らなければいけな場合は?

焼香のみの参列は問題ありません。時間が取れないのにとりあえず駆けつけた気持ちをくみ取ってもらえたら良いと思います。

通夜が始まる30分から15分前に会場に入り、焼香をして遺族の方にあいさつして帰る流れがよいでしょう。または、お経が終わって僧侶が帰った後、お通夜が終わるころを見計らって会場に入り焼香をして遺族の方にあいさつして帰るといいでしょう。タイミングが合えば喪主に挨拶、無理なら受付に挨拶をして帰ります。

まとめ

通夜やお葬式などで、前もって故人の宗派がわからない場合は、喪主の焼香の手順をしっかり見て同じようにするといいでしょう。


教えてくれたのは・・・中山みゆきさん
冠婚葬祭アドバイザー。All Aboutで冠婚葬祭サイトの運営に携わる。現在は、その知識を生かして冠婚葬祭関連のアドバイス活動を重ね、「思いやり」の心を大切にした情報を発信中。

取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)

<記事の修正とお詫び>2018年9月26日追記
焼香、線香焼香の解説部分におきまして、本来「日蓮宗」と表記すべきところが当初「日蓮正宗」という表記になっておりました。また、作法に関しても内容に正確ではない点がございました。読者および関係者の皆様にお詫びするとともに、該当箇所を訂正させていただきます。

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