「香典返し」に最適な品物は?お返しする時期、渡す際のマナーを解説
2019/01/23
通夜、お葬式などが終わったら、遺族側は香典を包んでいただいた方々に香典返しをします。いつ、どんなものをお返しするのか、冠婚葬祭アドバイザーの中山みゆきさんに聞いてみました。
香典返しをする意味
香典返しは、通夜やお葬式に来ていただき香典をいただいた方々にお返しをするものです。忌明け(故人の冥福をお祈りして喪に服した期間を終える日)終了後、法要が無事に終わったという報告を兼ねたお礼で、品物にお手紙を添えて送るのが一般的です。
香典返しをする時期はいつ?
香典返しは、忌が明けてから四十九日法要が終わったあとから1カ月後くらいの間に行います。最近では、通夜やお葬式の当日に、香典を供えた方々に一律の品物をお渡しすることが多くなっています。
香典返しの金額相場、どんな品物が最適?
香典返しの金額は一般的に、包んでいただいた香典の金額の3分の1から半分程度です。1万円香典をいただいた場合、香典返しの金額は3千円から5千円となります。
香典返しの品物は、「残らないもの」「消えるもの」が望ましいとされています。実用品ならば、タオル、洗剤、石鹸など。飲み物や食べ物なら、海苔、お茶、コーヒー、紅茶などがよく使われています。
避けたほうがいいものは、肉や魚など「四つ足生臭もの」、お酒(ビール)などの嗜好品は避けます。慶事で使われる昆布も避けます。
香典返しでカタログギフトを使ってもいいの?
香典返しをカタログギフトの中から選んでいただいてもいいでしょう。肉や魚などを送りたければ、それらを掲載しているカタログギフトにすれば、気にしないで送れます。また、遺族側からすれば品物を選ぶ手間が省ける、金額がはっきりわからないのがメリット。
デメリットは、香典返しをいただく側からすると、「欲しいものがない」「何を選んだらいいのかわからない」と言って放置してしまうことも。気が付いたらすでに申込期限が終わっていて無効ということもあります。
郵送で送る場合のマナー
品物と一緒に必ず、お礼状や挨拶状を添えるのがマナー。また香典返しの品物と別にハガキでお礼状や挨拶状を送ってもよいでしょう。もし、忌明け後が年末年始にかかるようなら、時期を避けます。少し遅らせても大丈夫なので、年末年始ははずすようにしましょう。
掛け紙、水引、表書きはどうする
一般的な香典返しの掛け紙は「黒白結びきりの水引」、関西地方は「黄白の水引」。結びきり、結び直せない、つまり弔事が何度も繰り返されないようにという意味からです。
また、「ほどけそうでほどけない(末長いおつきあいの意味」から「あわじ結び」を用いることも。こちらは慶弔どちらにも使われます。
表書きは「志」と書き、これは宗教に関係なく使えます。関西では「満中陰志」。神式、キリスト教式の表書きは、「偲草」となります。掛け紙の上に、包装紙をかけて包むのが一般的です。
▲黒白結びきりの水引、関東地方は黄白の水引
▲黒白結びきりの水引、関東地方は黄色の水引
▲あわじ結び
▲キリスト教の表書きは、「偲草」
香典返しをしない場合もあるの?
香典や供物をお断りしていた場合は、香典などをいただいていないので、香典返しの必要はもちろんありません。一家の大黒柱が亡くなり、小さい子どもいる場合も香典返しをしないこともあります。
また香典を慈善事業などに寄付した場合なども、香典返しをしません。香典返しをしない場合でも、一人一人に必ずお礼状や挨拶状を送ります。
会社名で香典をいただいた場合の香典返し
法人名義の場合は会社の経費で香典を包んでいるので、香典返しの必要はありません。気をつけたいのは、「社員有志」「社員一同」と複数の方からの連名となっている場合。この場合はお名前が書かれていた方々に、出社した時などに小分けにした菓子類などを渡します。
また、弔電だけ供えた方には香典返しの必要はありません。お礼状または挨拶状を送ります。生花を供えていただいた場合は、香典返しをお礼状または挨拶状と一緒に送ります。
専門家おすすめの香典返し
監修の中山先生が、最近香典返しにいただいたもので個人的にもらってよかったと思ったものは、「お米」セットとのこと。二合ずつ袋に包まれており、どれも美味しいブランドのお米でした。自分でいろいろなブランドのお米を食べ比べできませんから。ネットで調べればたくさんヒットします。
まとめ
香典を供えてくれた人は、故人のゆかりのあった方々ばかり。本来ならば、香典返しは一人一人のことを思い浮かべて品物を選びたいもの。ですが、そんな手間はかけられませんね。そういう点では、それぞれが自分が欲しいものを選べるカタログギフトはおすすめです。
教えてくれたのは・・・中山みゆきさん
冠婚葬祭アドバイザー。All Aboutで冠婚葬祭サイトの運営に携わる。現在は、その知識を生かして冠婚葬祭関連のアドバイス活動を重ね、「思いやり」の心を大切にした情報を発信中。
取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)