キユーピーのマヨネーズ“穴”が3つになった理由とは?
2018/09/10
食卓に欠かせないアイテムのひとつ、キユーピーのマヨネーズ。この“美味しい”マヨネーズに“楽しい”が加わったのは2005年のことでした。いまやすっかりお馴染みとなった「ダブルキャップ」の登場です。キャップを空けると現れる「細口」のノズルは、料理をマヨネーズでデコレーションするのに最適。食卓で“お絵描き”を楽しんだ人も、少なくないでしょう。
そして2018年、マヨネーズの“楽しい”がさらに進化しました。これまで企画品(おまけ)および限定販売の商品のみで提供されていた「3つ穴キャップ」が、正規のキャップとして採用されることになったのです。「3つ穴キャップ」が使われているのは容量350gの「キユーピー マヨネーズ」で、2018年8月3日から全国で順次出荷を開始しています。
今回、この登場したばかりの「3つ穴キャップ」を含む、マヨネーズの“穴”の活用講座が、東京・仙川にあるキユーピーのマヨネーズの“なるほど!”を楽しく体感する施設「マヨテラス」で開催。サンキュ!編集部も参加してきました。
3つ穴キャップは「マヨネーズ穴のハイブリッド」だった!
キユーピーマヨネーズの楽しさの最新型「3つ穴キャップ」。パッと見は従来の「細口」が3つになっただけ……に思えるかもしれませんが、もちろんそんな単純な話ではありません。
たとえば、ノズルは位置によって穴にかかる力が異なるので、3つそれぞれの高さや傾斜が違っています。キャップ自体の形も企画品のころと比べてスリムになり、ヒンジ部分の出っ張りも小さくなりました。穴の大きさも出しやすさを追求して微調整がくり返されるなど、開発者の情熱が微に入り細に入り形になっているのです。
穴の数が2つでも4つでもなく、3つなことにもちゃんと理由があります。と言っても、難しい理由ではありません。開発スタッフの方いわく、「キレイに線が描ける穴の数を追求した結果」が3つだったんだとか。シンプルな理由ゆえに強いこだわりがうかがえます。
では、このこだわりの「3つ穴」はどんなマヨネーズ体験を提供してくれるのでしょうか。活用講座で聞いた内容や、実際に使って感じたことをひと言でまとめれば「マヨネーズ穴のハイブリッド」です。
「細口」にあった線描きの楽しさ、キャップを外すと使える「星型」の利便性――その両方がバランスよく混じり合ったのが「3つ穴」の魅力であると、個人的には思うのです。
たとえば、お好み焼きに「3つ穴」を使えば、お店で出されるようなマヨネーズの線(細くて全体をしっかりと覆うアレ)が誰でも簡単に描けちゃいます。サラダに使えば、多すぎず少なすぎずの絶妙な量のマヨネーズで味付けが可能。小さな仕事も、大きな仕事も、どちらもしっかりやり遂げてくれる頼れるヤツ。それが「3つ穴キャップ」なのです!
……と、息巻いてみましたが、今回の活用講座はあくまでマヨネーズの“穴”に関するもの。「3つ穴」だけでなく、「星型」や「細口」の活用方法についても学んできましたので、以下に合わせてご紹介しましょう。
「星型の穴」はたくさん使うとき頼りになる!
広い範囲でも簡単に覆うことができる「3つ穴」ですが、量が必要なシーンではやはり星型の出番。ポテトサラダや、マヨネーズで“土手”を作る必要がある中心に卵を落としたマヨトースト(上写真)など、活躍のシーンは少なくありません。
デコレーションにこだわるなら「細口の穴」を
細くマヨネーズが出せる――という点では「3つ穴」も「細口」も同じですが、「細口」の1本線は細かなデコレーションをするうえで、やはり欠かせません。活用講座ではお好み焼きの上に「細口」でキユーピー人形の顔を描くデモンストレーションも。確かにこれは「3つ穴」では難しいですよね。
ちなみに「3つ穴キャップ」の各穴の断面積合計と、「細口」の断面積はほぼ同じとのこと。穴の数が増えたから、必然的に使う量も増えるということはないそうです。
「心地よさ・おいしさ・楽しさ」で進化してきたキユーピーのマヨネーズ
今回の講座のなかでは、キユーピーのマヨネーズの歩みも聞くことができました。とても興味深い内容でしたので、最後にご紹介します。
キユーピーのマヨネーズが日本で発売されたのはいまから約90年前、1925年(大正14年)のこと。当時はガラス瓶に封入されており、ラベルの文字はすべて英語表記と、どこか西洋の雰囲気を漂わせる商品でした。
日本で初めてのマヨネーズ製造・販売ということで、当然認知度はゼロの状態。そのためキユーピーは、商品の宣伝において「マヨネーズはこう使うんですよ」といった“使い方提案”を積極的に行っていたそうです。ちなみに、そのとき提案された使い方の代表がポテトサラダ。確かにマヨネーズなしでは成立し得ないメニューなので、使い方提案としてはコレ以外ありませんね。
キユーピーマヨネーズが転換期を迎えたのは1950年代。ポリ袋入り(ケースは紙箱)が1956年に、そして現在も使われている自立式ポリボトル入りが1958年に相次いで発売され、使う際の“心地よさ”が向上したのです。
ポリボトルは“おいしさ”の向上にもひと役買うことなりました。油を含むマヨネーズにとって、空気(酸素)に触れることで起きる酸化をいかに防ぐかは、至上命題のひとつ。瓶と比べて開発・改良に適したポリボトルは、1972年の多層構造化を皮切りに進化を続け、現在では製造工程における酸素濃度低減を実現するなど、マヨネーズの“おいしさ”を担ってきました。
“楽しさ”を彩るマヨネーズの出し口は、1972年に「星型」となり、前述のとおり2005年に「細口」、そして今回の「3つ穴」登場となりました。
キユーピーマヨネーズは、心地よさ・おいしさ・楽しさの進化を経て現在に至っているわけです。マヨネーズを使うときは、そんな進化の軌跡を意識してみると、いつもと違った楽しみが見つかるかもしれませんね。